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なぜ北欧デンマークではDXが進むのか?来日したデジタル相に聞くと、納得できる答えが返ってきた 講座も用意、デンマークのデジタル相

47NEWS / 2024年9月2日 10時30分

インタビューに答えるデンマークデジタル政府相兼ジェンダー平等相のマリー・ビエア氏=4月、東京都内

 九州ほどの国土に約580万人が暮らし、農畜産業が盛んなデンマーク。その一方で、社会のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化がとても進んでいる国でもある。国連経済社会局(UNDESA)や早稲田大の電子政府ランキングなど、各種の調査で世界首位を独走する。DX化が国民に受け入れられている秘訣はどこにあるのだろうか。デジタル政府相兼ジェンダー平等相のマリー・ビエア氏が来日した際に、東京都内でインタビューした。

 ビエア氏はコペンハーゲン大を卒業後、外国での弁護士勤務を経て、物心ついた頃から関心を抱いていた政治の世界に飛び込んだ。取材した当時は37歳。その若さで閣僚に抜てきされた。デジタル化に対するビジョンや必要な政府の取り組みを聞くと、納得のいく答えが返ってきた。(共同通信=田井誠)

 ▽DX推進で必要なのは…
 「デンマークの人々はデジタル化に対して信頼を置いています」

 デンマークでなぜDX化が円滑に進んでいるのかを尋ねると、この言葉が返ってきた。

 2019年の経済協力開発機構(OECD)の資料によると、政府を信頼する国民の割合が高かったのはノルウェー(68%)やデンマーク(63%)など。一方、日本は38%にとどまった。

 自分に関わる重要情報が勝手にやりとりされず、安心して預けられる。こうした仕組みによる信頼感が最も重要なのだろう。では、デジタル化がなかなか進まない日本にとって何が必要で、今後の課題は何だろうか―。


デンマークデジタル政府相兼ジェンダー平等相のマリー・ビエア氏

 ビエア氏は、DX化を推進していく上ではスマートフォンを使った行政手続きなどに不慣れな高齢者に対するフォローだけでなく「ハンディキャップがある人に対する適切な支援が必要」との認識を示した。DX化に伴うメリットを利用者が実感できるようにすることも重要だと話した。

 デンマークでは1960年代に日本のマイナンバーに相当するCPR番号が導入され、本人確認のためのデジタルIDや認証システムが登場した。行政手続きの簡素化に役立っている。

 「銀行の手続きなどプライベートでも、公的な案件でも使える」とメリットを強調した。2千項目以上の手続きがインターネット上で完結できるという。マイナンバーカードの活用が進まない日本に対しては「より利便性を高めることが大切です」とアドバイスした。

 日本の技術力は評価し「日本には先進技術があり、人工知能(AI)の利用は非常に進んでいる」と述べ、デンマークの一層のデジタル化に向けて「日本から学ぶべきことはある」と話した。


マイナンバーカード

 ▽日本とデンマークに共通する課題は?
 デンマークでは全ての人がデジタル化を歓迎しているのだろうか。この点について聞いてみると「国民の70%が好意的で信頼度も高い。ただし20%は困難と感じています」と説明した。高齢者やハンディキャップがある人たちを中心にパソコンなどを使えない層が困難を感じているといい「どう対応するかが重要と考えています」と述べた。

 図書館でパソコンなどの操作方法を学べるよう小規模な講座を用意するなどサポートの充実に努めているという。

 日本では新潟県三条市や静岡県裾野市、北九州市など各地の自治体で、窓口予約をするのに使えるデンマーク製ITシステムの導入に向けた実証実験などが進んでいる。ビエア氏は「公的分野のデジタル化を進めてきたデンマークから、日本は学ぶことがあると思う」とも語った。

 日本とデンマークに共通する課題としてIT人材の確保を挙げ、「現在は人材の大半を男性が占めている」と指摘。より多くの女性をひき付けられるようにする必要があると訴えた。


デンマークデジタル政府相兼ジェンダー平等相のマリー・ビエア氏

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 MARIE・BJERRE 1986年5月生まれ。コペンハーゲン大修士、カリフォルニア大バークリー校ロースクール修了。ブリュッセルで弁護士として勤務、2019年からデンマークの国会議員に。2023年12月、デンマークのデジタル政府相兼ジェンダー平等相に就任した。

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