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激戦のアメリカ大統領選、ハリス氏とトランプ氏のどちらが勝つ可能性が高いのか? 両者が抱える問題、経済不満がハリス氏に逆風、トランプ氏は発言で自滅も

47NEWS / 2024年9月12日 11時0分

シカゴ大のジョン・ハンセン特別教授(シカゴ大提供・共同)

 アメリカ大統領選は、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領が激戦を繰り広げている。アメリカの民主主義に詳しいシカゴ大のジョン・ハンセン特別教授(政治学)は、経済に関するバイデン民主党政権に対する有権者の不満は強く、ハリス氏に逆風になると指摘した。一方、トランプ氏は発言が首尾一貫せず、自滅する可能性があると語った。(共同通信ワシントン支局=高木良平、インタビューは8月23日に実施)

 ―ハリス氏をどのように見ていますか。

 「喜びと前向きさがある。バイデン大統領が6月の討論会で失敗した後の民主党の憂鬱さを晴らし、興奮を生んだ。人工妊娠中絶など女性の権利、性的少数者の権利、学校の教育内容や投票権など民主党支持者に大切な問題を『個人の自由』という共通項でまとめた」

 ―バイデン氏の撤退とハリス氏の出馬をどう見ますか。

 「バイデン氏は世論調査の支持率でトランプ氏の後塵を拝していた。ハリス氏はバイデン氏が討論会で失ったものを全て取り戻した。状況は良くなっている。ハリス氏とトランプ氏の支持率は非常に近い」


 ―民主党の課題は何でしょうか。

 「経済状況には依然として強い逆風が吹いている。重要な指標になる可処分所得の伸びが今年前半は低かった。候補交代で現職の大統領が持つ優位性もなくした。トランプ氏の方が求心力が強い」

 「経済はバイデン氏の支持率にも影響している。最近の支持率は36%で、トランプ氏が現職だった2020年のころと比べ5ポイント低く、歴代大統領と比べても非常に低い」


 ―共和党はどのような戦略でしょうか。

 「不人気のバイデン氏とハリス氏を結び付けようとしている。選挙は現政権に対する信任投票で、現職副大統領のハリス氏は良い立場ではない」

 ―民主党はウォルズ氏、共和党はバンス氏を副大統領候補に選びました。

 「ハリス氏やトランプ氏が激戦州出身者を選んでいれば、その州の結果には影響を与えていただろうが、大統領を選ぶ選挙なので副大統領候補が誰であろうと基本的に関係ない。例えば、ハリス氏が激戦州の東部ペンシルベニア州のシャピロ知事や、ミシガン州のウィットマー知事を選んでいれば、より影響があっただろう」


選挙集会で登壇したハリス米副大統領(左)とウォルズ・ミネソタ州知事=8月、ウィスコンシン州ミルウォーキー(AP=共同)

 ―無所属候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏が撤退し、トランプ氏の支持を表明しました。影響をどう見ますか。

 「ケネディ氏は2桁台だった支持率が低下したので撤退した。このまま続けていれば最終的に良くて2%台まで落ち込んだだろう。有権者は最終的に無所属ではなく民主党か共和党の候補を選ぶことになる」


アリゾナ州で開かれた集会でケネディ氏(左)と握手するトランプ前大統領=8月(ロイター=共同)

 ―ハリス氏とトランプ氏のどちらが勝利すると予想しますか。

 「接戦になる。現時点でハリス氏よりトランプ氏が勝つ可能性がわずかに高いかもしれない。だがトランプ氏は史上最高齢の大統領候補になり、発言は支離滅裂だ。国民の所得が大幅に増えたのに2020年の大統領選で敗北し、22年の中間選挙でも波を起こせず、失敗を重ねてきた」

     ×      ×   

 JOHN・HANSEN 1959年、カンザス州生まれ。エール大で博士号。シカゴ大で政治学部や社会学部のトップを歴任した。米国の民主主義に関する著書がある。

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