大学駅伝3冠へ、国学院大のエースが抱く熱意 平林が「走り続ける」理由とは
47NEWS / 2024年12月17日 9時0分
今季の「大学三大駅伝」は国学院大がここまで同校初の2冠を達成し、来年1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝で史上6校目となる3冠制覇に挑戦する。主将、エースとしてけん引するのは平林清澄(22)。今年2月には大阪マラソンを初マラソンの日本最高記録で制したホープは、三大駅伝でも1年時から“皆勤賞”を続ける。「自分は走り続ける必要がある」との思いで駆け抜ける4年間の集大成へ、抱く熱意に迫った。(聞き手 共同通信・山本駿)
▽チームのために
出雲全日本大学選抜駅伝でゴールする国学院大の平林=10月14日、出雲ドーム前
10月の出雲全日本大学選抜駅伝と11月の全日本大学駅伝は、ともに最終盤まで競る展開で勝ち切った。
「自分個人の力より、本当にチームの力が大きかった。出雲は区間賞を取れたけど、全日本は助けられた。チームとして強くなったと思う」
「箱根の総合優勝が目標で、それができる力があれば、出雲と全日本は勝てるんじゃないかと、当初からチームとして考えていた。狙いにいって取れたのは大きい。やってきたことが間違いじゃなかったと感じている」
主将としてもチームづくりにこだわって取り組んできた。
「自分が3年間過ごしてきた中で、もっとこうした方がいいと思った部分は全部やるようにしている。例えば、目標についても、より細かく設定した。年間の目標だけではなく前期、夏合宿、後期などと区切り、ミーティングで振り返りまで徹底してやっている」
「寮の環境整備についても考えながらやってきた。走りやすい環境は自分たちでつくらないといけない。掃除など、当たり前のことを当たり前にやることは、普通にやれないといけない。寮長としても大事にしてきた」
▽仲間のために
全日本大学駅伝の初制覇に貢献した国学院大の山本歩夢(左)と平林清澄=11月3日、伊勢市
陸上を本格的に始めた福井・美方高から入った国学院大で、三大駅伝には全て出場してきた。
「もちろん、三大駅伝に全部出るというのは入学時からの目標だった。区間賞や優勝を狙う中でも、走り続けていたいという思いはあった」
「陸上自体は個人戦だけど、駅伝だけはチーム戦。誰かがミスをしてもカバーできる。大学駅伝では特にチームの助け合いや人とのつながりを感じられた。駅伝の醍醐味はそこにある」
「(4年で副主将の)山本歩夢が出られたり、出られなかったりで苦しんでいるのを見てきたのもある。歩夢が出る時に自分が走っていないと嫌。そう思ったら全部自分が出て、歩夢が走ったタイミングで一緒に走れたらと思っていた」
山本は入学前から日本一を誓い合った同期。故障などで苦しむ時期には「歩夢と優勝したい」「復活を待っているから」と声をかけ続けた。最後の全日本の前夜には珍しく電話もかけたと聞く。
「何となく話したいなと思って電話した(笑)。自分も緊張していた部分もあったし、しゃべると落ち着くので声を聞きたかった。全日本では初めてのたすきリレーになるのがうれしくて、『自分たちの最後の全日本でしっかり優勝を取りに行こう』と話した」
「4年間ずっと一緒にやってきて、競技観や価値観が合っている。友でもあるけど、それ以上に仲間という感じがすごく強い存在です」
下級生からも日頃から「絶対勝ちます」「ぶっ倒します」と挑戦状をたたきつけられている。
「とがっていていいんじゃないかなと(笑)。それに対して、僕が負けるとは思っていないので。下の選手から言われることも当たり前になって、いい雰囲気のチームになっている」
「主将としても『俺らはできる』と後輩にはよく言っている。本当にできると思っていないことは言いたくない。特に夏合宿の頃からは、心の底からできると思えるようになった」
大学ではマーケティングのゼミの勉強にも力を入れている。
「ゼミ生が出雲も全日本も応援に来てくれて本当にありがたかった。大学で勉強していく中で、マーケティングが面白いなと思った。陸上に通ずるところもある。自分をマネジメントする部分は競技やチームづくりの面でも生きていると思う」
▽世界で戦うために
大阪マラソンで優勝し、ポーズをとる国学院大の前田康弘監督(右)と平林清澄=2月25日、大阪市
大阪マラソン優勝で、来年9月に行われる世界選手権東京大会でもマラソン代表の有力候補に挙がる。来年2~3月には選考レースも控える。
「今は箱根のことしか頭にないが、東京世界陸上は代表を取りに行きたいし、次の五輪もしっかり狙いたいと思っている。世界と戦えるような選手になっていかないといけない」
「(世界を意識するようになったのは)2年生の時のドイツのレース。海外で競技する大変さも感じたし、肌身で世界レベルを感じられた。その経験が大きかったと思っている」
卒業後は実業団ロジスティードに進む。
「引き続き前田(康弘)と大学を拠点にやらせてもらうことを一番に考えてもらえた。国学院大としても、ロジスティードさんとしても新しい試みですが、サポートしてもらえるところが大きかった。今のこの環境、競技への取り組み方が自分にはすごく合っている。自分が結果を出すために、というのを一番に考えて選ばせてもらった」
▽最後の箱根のために
2024年1月の箱根駅伝で3区の青木瑠郁(左)にたすきをつなぐ国学院大2区の平林清澄=1月2日
国学院大は2022年の箱根駅伝から総合8位、4位、5位と来ている。個人では9区2位、2区7位、2区3位で、残すは最終学年のみ。
「ラストイヤーは大事にしているし、4年の時に優勝しようと言ってきて、最後に達成することが重要。チームとしても優勝を狙えるレベルまで来たと思っている」
「前回は直前にチームでインフルエンザがはやり、自分もかかった。そこはチーム全体で徹底して気を付けていかないといけない。自分の力が120%発揮できるようなコンディションをつくれるようにしたい」
「優勝するためにもまずは自分が区間賞を取る。箱根ではまだ一回も取っていないので、最後は取って終わりたい」
外部リンク
- 小児がんで娘を亡くし「どう生きていけば」…喪失感の中、見つけた生きがいは菓子作りだった 「同じ患者たちの支援に」売り上げを寄付し、絵本を出版。母は子を想い今日もシフォンケーキを焼く
- 「証言、行動のきっかけに」「授賞、戦時下のシグナル」 英語で、紙芝居で、体験を伝える人が語る賞の意義【私の視点 ノーベル平和賞】
- 「寿命半分」を掲げた電車、登場30年超で〝再就職〟できる秘訣は? JR東日本209系、置き換え用車両も判明 【鉄道なにコレ!?】第68回
- 「私たちが問われている」「被爆体験、世界の記憶に」「全ての人に、平和な日常を」 後を継ぐ世代やウクライナ避難者が語る、自分たちがやるべきこと【私の視点 ノーベル平和賞】
- 高齢者の年齢を引き上げる?働き手拡大に期待する経済界と政府、「死ぬまで働かされる」と反発も
この記事に関連するニュース
-
国学院大の5区候補は「平林、上原、高山、飯国」…箱根で3冠へ 壮行会で前田監督明かす
スポーツ報知 / 2024年12月13日 16時11分
-
国学院大のエース・平林「優勝して前田監督を号泣させたい」…箱根駅伝で初優勝と3冠へ壮行会
スポーツ報知 / 2024年12月13日 12時35分
-
箱根路初V狙う国学院大、「史上最強」メンバーそろう…前田康弘監督「つなぎ区間で勝負かける」
読売新聞 / 2024年12月12日 12時25分
-
3冠狙う国学院大は平林ら 箱根駅伝エントリー選手発表
共同通信 / 2024年12月10日 19時27分
-
国学院大の大黒柱・平林清澄 仲間からの〝ライバル視〟が刺激に「常にお尻に火」
東スポWEB / 2024年11月28日 6時9分
ランキング
-
1オリオールズが菅野智之との1年契約を正式発表 公式Xに日本語で「オリオールズへようこそ!」
スポニチアネックス / 2024年12月17日 9時37分
-
2大谷翔平、また動かした日本の大企業 1.7兆円メガ組織との提携にX驚嘆「影響力恐るべし」
Full-Count / 2024年12月17日 7時40分
-
3上沢直之がソフトバンクを選んだ納得の理由 「4年8億円」に対し日本ハムは単年提示だった?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 11時10分
-
4田中将大&ライデル獲得の真相 巨人、12球団トップの防御率もあえて投手補強 阿部監督の強い要望も…どうする得点力強化
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月17日 11時37分
-
5照ノ富士「後継者育成」にも迫るタイムリミット…横綱らしからぬ“醜態”で限界説いよいよ裏付け
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)