どんな町になる? 立体化工事と再開発でダブル変貌中の京成立石駅と界隈
47NEWS / 2024年12月13日 11時0分
【汐留鉄道倶楽部】京成押上線で東京都葛飾区の京成立石駅に行った。駅も界隈(かいわい)を歩くのも4年ぶり。かつては行列ができる煮込みの店をはじめ、おでんや鶏唐揚げなど、店をはしごするのが目的だった。慣れない路地や商店街をうろうろするのも魅力の一つだった。今回は「駅も周辺も変貌を遂げている」と雑誌や新聞が報じるため、どんなものかと確認してみたかったのが理由。
押上から下り普通電車に乗車。荒川を渡り高架の四ツ木を出ると一気に地上に下りて立石へ。この地上区間を高架にする工事が進行中で、沿線の踏切11カ所がなくなる。確かに地上区間の踏切の多さに気付く。
立石駅の相対式プラットホーム自体は以前と変化なかった。ただ、橋上駅までの階段は閉鎖されていた。かつて階段で2階に1カ所だった改札口がなくなり、下りが地下道から改札へ、上りは地上から入る、という上下別々の改札口に変わっていた。ホームから見上げるとお役御免となった橋上駅は老朽化が目立ち、時代を感じさせる雰囲気となっていた。人が上り下りしないだけで早くも古ぼけてしまうのか。いつかは解体されるだろう特徴ある古い駅舎を目に焼き付けた。
駅を降りると、下り線の脇には既に立派な仮線が敷かれ、11月末には線路がこちらに移設されるようだ。のんびり線路際を歩いているうちにも電車はひっきりなしに通っていく。その都度ホームそばの踏切は警報器を鳴らし、遮断機を下ろし、人や自転車が並ぶ。通勤時間帯など文字通り開かずの踏切と化すのだろう。
立石駅下り線脇には仮線がほぼ完成
まずは北口を歩く。いきなり目の前一帯が白いフェンスに覆われた風景に出合う。再開発事業にありがちな外側からは中がほとんど見えない仕組み。フェンスの隙間からのぞくと中はだだっ広い更地になっていた。密集していた多くの住宅や店舗が立ち退いたことだろう。
駅北口前は再開発にありがちな白いフェンスがひたすら続く
南側に回る。こちらは4年前の駅前風景が残っており、商店街もそのままで懐かしかった。ただ、この一帯も再開発の範囲に入っている。今も残る煮込みやもつ焼きを出す店は、午後の早い時間なのに開店待ちの客で長蛇の列だった。店独自の注文ルールは私のような素人にはただ見とれるだけだった。以前と同じ場所にあった店でコロッケを買う。店の人は「この辺も北口同様やがてなくなる。いつになるかは分かりませんがね」と話していた。当時、入った鶏の唐揚げ店もギョーザの店も見つからなかった。無人と思える家屋や閉店した店もあちこちにあった。いつの日か北口同様更地となることを見越してのことか。
東京都内の立体化、地下化工事について書かれた看板があった。それによると、押上線のみならず、西武新宿線や東武伊勢崎線、京王線など多くの路線で実行されたり、計画されたりしている。踏切がなくなれば、事故は起きない。渋滞が解消され遮断された町が一つにつながる。鉄道と道路は平面で交わらない方が何かと都合がいい。
東横線の高架化工事を伝える東急の広報誌。奥に往年の名車7000系ステンレス車急行が(東急グラフ1969年6月号)
立体化工事の看板を見て、はるか昔の東急東横線中目黒―都立大学間の高架化工事を思い出した。1966年から始まった大事業で、沿線にいた私はこの工事前後を覚えている。渋谷から桜木町行きの先頭車に乗って初めて完成した高架に上がって見た空の大きさと周囲の家々の屋根の連続に驚いたことを覚えている。当時の「東急グラフ」には「踏切を一気に16カ所も取り除くという、東急はじまって以来の大工事」と巻頭ページに紹介されている。これ以降も鉄道各社はずっとどこかで高架や地下化で踏切をなくして立体交差化を進めてきたのだ。
昭和の風情を残す「立石仲見世」商店街
今回訪れた立石駅と界隈は事前の情報通り、大変貌を遂げつつあることが分かった。高架化と再開発の一大事業が本番を迎えるのはこれからだろう。いつの日か高架や再開発が完成し、整然とした駅前広場ができ、高層マンションやビルがいくつも建つころには、記憶を呼び戻せないくらい町並みががらりと一変していることだろう。
☆共同通信・植村昌則
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