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なぜ今年も?自民党旧派閥からの寄付、計1千万円の不記載や誤記載 裏金事件の「激震地」あれだけ問題になったのに…議員側の釈明は

47NEWS / 2024年12月26日 10時0分

2023年分の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)。奥はチェックする職員=総務省

 自民党裏金事件を受けて解散表明した派閥からの寄付金について、今年も政治資金収支報告書に記載していないケースが相次いだことが共同通信の取材で分かった。11月に公開された2023年分の収支報告書では、旧安倍派や旧岸田派、旧茂木派の国会議員計8人が代表の政党支部で、派閥からの寄付金を記載していなかったり、誤って記載したりしていた。不記載、誤記載の総額は1千万円に及ぶ。派閥からの還付金(キックバック)の不記載が23年末からあれだけ問題になった中、その後に提出した収支報告書でも、なぜ「ミス」が相次いだのか。(共同通信=高津英彰)

 ▽旧派閥からの寄付金を追跡


2023年分の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)とチェックする職員=総務省


 共同通信は11月から12月上旬にかけ、総務省などが公開した23年分の政治資金収支報告書を分析。旧派閥から議員側に支出された寄付金を追跡した。
 政治資金規正法は、政治団体の1月1日から12月31日までの収支などを記した収支報告書の作成と公表を義務付けている。国会議員関係政治団体の提出期限は5月末で、裏金事件が大きく問題化した後に提出されている。不記載や虚偽記載には「5年以下の禁錮または100万円以下の罰金」という重い罰則もある。各議員の事務所に質問状を送り、理由や見解を聞いたところ、いずれも事務的なミスであるとの釈明が相次いだ。

 【不記載】
 ▽旧安倍派(清和政策研究会)からの寄付


関芳弘氏

 元経済産業副大臣の関芳弘衆院議員が代表の「自民党兵庫県第3選挙区支部」の不記載額は50万円。関氏の事務所は取材に「清和政策研究会からの寄付は、第3選挙区支部で普段使っている口座と異なる口座への振り込みで、収支報告書に記載する際に失念してしまった」と説明した。
 関氏は清和政策研究会から18~22年に受け取った裏金計836万円を選挙区支部の収支報告書に記載せず、自民党から戒告処分を受けている。一度処分を受け、人一倍気を付けなければならない立場で、不記載が見つかった形だ。


生稲晃子氏

 外務政務官の生稲晃子参院議員が代表の「自民党東京都参議院選挙区第6支部」の不記載額も50万円。生稲氏の事務所は文面で「確認したところ、当該寄付収入について記載漏れがございました。速やかに訂正手続きを行いました。今後は、こうしたミスが再発しないよう、事務処理の管理体制をさらに徹底してまいる所存です」と回答した。

 ▽旧岸田派(宏池政策研究会)からの寄付


神田潤一氏


国光文乃氏

 法務政務官の神田潤一衆院議員の「自民党青森県第2選挙区支部」の不記載額は100万円だった。神田氏の事務所は「宏池政策研究会から寄付金を受け取った際に領収書を出していたが、事務的なミスで収支報告書に載せていなかった。記載ミスだった」と説明。
 元総務政務官の国光文乃衆院議員の「自民党茨城県第6選挙区支部」の不記載額も100万円。国光氏の事務所は「事務処理上の誤りで、収支報告書を訂正しました」と回答した。

 ▽旧茂木派(平成研究会)からの寄付


中谷真一氏

 元経済産業副大臣の中谷真一衆院議員の「自民党山梨県第1選挙区支部」の不記載額は寄付2件で計200万円。
 中谷氏の事務所は今年12月5日に送った質問状に対して、山梨県選挙管理委員会が11月29日に公表した際に自主的にチェックして記載漏れに気付き、12月6日午前に報告書の訂正を済ませたと説明。その上で、「領収書の控えが管理ファイル中に紛れており、入力時に記載漏れが発生しておりました。今回は単純な記載漏れ、事務的なミスであり、今後このようなことがないよう事務所の管理体制を強化し再発防止に努め、今後も法令を順守し正確な事務処理に努めていきます」と回答した。


山下雄平氏

 元内閣府政務官の山下雄平参院議員の「自民党佐賀県参議院選挙区第2支部」の不記載額は100万円。山下氏の事務所は「東京事務所と地元事務所のミスコミュニケーションで記載済れとなっていましたので訂正いたしました」と説明した。

 【誤記載】
 不記載だけでなく、誤記載も目立った。

 ▽旧安倍派(清和政策研究会)からの寄付


岸信千世氏

 デジタル政務官の岸信千世衆院議員の「自民党山口県第2選挙区支部」は、清和政策研究会から23年3月9日に受けた寄付300万円について、岸氏の資金管理団体「誠信会」から23年3月29日に受けた寄付だと誤って記載していた。
 不可解なことに、誠信会は実際には支出していなかったこの300万円の寄付を支出したと収支報告書に計上していた。
 岸氏の事務所によると、清和研究会から現金で300万円の寄付を受けたが、第2選挙区支部は東京に口座がなく、誠信会の口座を使って第2選挙区支部に送金。その際、第2選挙区支部は誠信会からの寄付として収支報告書に記載し、口座に送金記録が残っていた誠信会も支出として記載してしまったという。「事務的なミスで誠信会からの寄付として記載してしまった」とした。

 ▽旧岸田派(宏池政策研究会)からの寄付


小林一大氏

 防衛政務官の小林一大参院議員の「自民党新潟県参議院選挙区第1支部」は、宏池政策研究会から受けた寄付金100万円を自民党本部からの交付金と誤記載。小林氏の事務所は「事務的なミスで宏池政策研究会からの寄付金を自民党本部からの交付金として記載してしまった」と説明した。

 ▽上脇教授「反省の色が見られない」


神戸学院大の上脇博之教授

 自民党の派閥裏金事件では、東京地検特捜部が政治資金規正法違反罪で議員ら複数人を立件し、2024年10月の衆院選での自民大敗につながった。
 政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大教授は「ここまで多くの不記載や誤記載が再びあったことは信じられない。反省の色が見られないと言うほかない」と厳しく指摘。
 1円や2円ならば数え間違いもあり得るが、50万円、100万円単位での不記載があれば、口座残高と収支報告書上の繰越金が合わなくなり気付くはずだと説明。「ここまで不記載が相次ぐと、裏口座の存在を疑ってしまう。不記載が発覚すると事務的なミスだと強調するが、個人的には故意ではないかと疑っている」と語った。

 ▽報告書の未提出、資料押収も


秋本真利氏


柿沢未途氏

 収支報告書の未提出や資料押収で、寄付金の行方を追えないケースもあった。
 有隣会(旧谷垣グループ)はいずれも寄付50万円を、秋本真利元衆院議員=受託収賄罪などで公判中=の「自民党千葉県衆議院第50支部(旧自民党千葉県第9選挙区支部)」、柿沢未途元衆院議員=公職選挙法違反罪で有罪=の資金管理団体「新都市経済研究会」に支出したと収支報告書に記載している。
 ただ、第50支部は千葉県選挙管理委員会に収支報告書を提出しておらず、新都市経済研究会は「関係資料が押収されている」として収入を「不明」としたため検証できなかった。


池田佳隆氏


大野泰正氏

 また、清和政策研究会が寄付50万円ずつを支出したとしている、池田佳隆元衆院議員=政治資金規正法違反罪で起訴=の「自民党愛知県第3選挙区支部」と、大野泰正参院議員=同=の資金管理団体「泰士会」も、いずれも「関係資料が押収されている」として収入を「不明」としたため検証できなかった。
 この他、唯一存続している麻生派(志公会)からの寄付についても所属議員側に不記載があった。


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