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運航会社社長の責任追及へ。知床沈没、2年半経て起訴 初の臨時情報、理解深める。震度6弱の宮崎県、官民で

47NEWS / 2025年1月8日 9時0分

海面上までつり上げられた観光船「KAZU Ⅰ(ワン)」=2022年5月、北海道斜里町沖

 新しい年が始まった。2024年に大きくメディアに取り上げられたものや地域での関心が特に高かったもののいくつかは、今年も話題が続きそうだ。昨年起きたさまざまなニュースの「その後」を追った。今回振り返るのは、(1)10月に運航会社社長が起訴された知床観光船沈没事故と、(2)8月に起きた日向灘地震と南海トラフ臨時情報。(共同通信=(1)阿部倫人、吉野桃子、野島奈古、松本はな(2)佐野七海)

 ▽知床観光船沈没事故とは


 2022年4月23日、北海道・知床沖で26人が乗った観光船が沈没した。釧路地検は2024年10月、悪天候が予想される中、出航中止などを指示する義務を怠ったとして、業務上過失致死罪で運航会社社長(61)を起訴した。

 ▽26人死亡認定し、起訴

 約2年半の捜査を経て経営者の刑事責任が問われる事態となり、初公判は2025年以降開かれる見通しだ。乗客家族は2024年7月、社長と会社に計約15億円の損害賠償を求めて提訴しており、被告側は争う構え。
 観光船「KAZU 1(カズワン)」は2022年4月23日、観光名所「カシュニの滝」の沖合で沈没した。第1管区海上保安本部(小樽)は2024年年9月18日、同容疑などで社長を逮捕。釧路地検が10月9日に起訴した。
 地検は26人全員が死亡したと認定。起訴状によると、悪天候が予想され、安全統括管理者、運航管理者として出航や航行継続の中止を指示する義務があったのに怠り、沈没を招いたとしている。

 ▽遺族が被害者参加制度に


保釈された観光船運航会社社長=2024年10月、北海道釧路市

 釧路地裁は10月、公判前整理手続きの実施を決定。関係者によると、月に1回程度打ち合わせをする予定で「手続き終了まで半年はかかるのではないか」とにらむ。
 捜査関係者によると、社長は逮捕後の調べに容疑を否認する供述をしていた。弁護人は取材に「検察の証拠の検討を始めた段階」とし、認否を明らかにしなかった。
 地検は起訴後、家族らを対象に説明会を開き、公判の見通しなどを伝えた。被害者参加制度の紹介もあったといい、複数の家族が取材に対し、参加の意向を示している。
 7歳だった息子と元妻が行方不明のままという北海道帯広市の男性(52)は「犠牲になった子どもや、残された家族がどんな思いでいるか分かっているのか」と問いただしたいと話した。


提訴のため札幌地裁に向かう知床観光船沈没事故の被害者弁護団=2024年7月

 乗客14人の家族らは2024年7月、社長と会社に損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。会社側は請求棄却を求める答弁書を11月29日付で提出。答弁書で、社長に過失はないとし、会社は相当額の賠償責任を負うことを認めた上で、額の算定について争うとしている。

  ×  ×  ×
 ▽8月の日向灘地震


南海トラフ地震の臨時情報発表を受け、遊泳禁止となった宮崎県日南市の海水浴場=2024年8月

 2024年8月8日、南海トラフ巨大地震の想定震源域の南西端に当たる日向灘を震源とした、マグニチュード(M)7・1の地震が起きた。行楽シーズンと重なり、多くの宿泊キャンセルが発生。観光業を中心に、経済的にも大きな影響が出た。
 地震では宮崎県日南市で震度6弱を観測。初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表された。聞き慣れない情報に戸惑う住民も多く、発信や周知の在り方など課題が浮き彫りに。県では、自治体や自治会がそれぞれ防災セミナーや講話を通じ、臨時情報への理解を深めようと働きかけを続けている。
 「臨時情報は『いつも』と『もしも』の両立が大事です。普段の生活を可能な限り維持しつつ、何もない時に比べて警戒レベルを上げます」。12月7日、県庁の会議室で京都大防災研究所宮崎観測所の山下裕亮(やました・ゆうすけ)助教(観測地震学)が語りかけ、民間資格の防災士の認証を受けた約80人が熱心に聞き入った。

 ▽「巨大地震注意」、何をすればいい?


民間資格の防災士の認証を受けた人たちが参加したセミナーで、南海トラフ地震臨時情報について話す京都大防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教=2024年12月、宮崎県庁

 臨時情報は、静岡県の駿河湾から日向灘にかけての南海トラフ沿いで、大規模地震発生の可能性が平常時に比べて相対的に高まった場合などに、気象庁が発表する。「巨大地震注意」では、住民は備えの再確認や避難の準備をする。
 セミナーは、防災士を通じて啓発を図ろうと、県が2024年度一般会計補正予算に費用を計上、企画した。山下助教は終了後、「地域の中で情報を正しく普及してもらうことが大切だ。簡単に理解できるものではないが、学びを深めるきっかけになれば」と話した。

 ▽住民の理解進める取り組み

 自治会でも啓発が進む。先立つ12月1日には、日南市の公民館で防災講話が開かれ、約40人が集まった。NPO法人宮崎県防災士ネットワーク日南支部長の柏田寿さん(78)は臨時情報の概要を説明し、「地震の時、家族が一緒にいるとは限らない」と指摘。住民に避難経路や備蓄品の確認の必要性を丁寧に訴えた。
 参加した70代女性は「発表当時はよく分からなかったが、理解できた。普段からも備蓄しようと考えるきっかけになった」と振り返った。

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