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「各国代表の選手とやるのが普通」のプレミアリーグで三笘薫が自覚する現在地と課題、そして日本サッカーの将来

47NEWS / 2025年1月31日 10時0分

プレミアリーグについて熱く語るブライトンの三笘薫(BHAFC/Paul Hazlewood氏撮影、共同)

 世界最高水準のサッカーが展開されるイングランド・プレミアリーグで、日本選手たちが競演する時代が訪れつつある。ブライトンで3季目を迎えた日本代表の三笘薫は一級品のドリブル突破で本場のファンをうならせ、1月19日のマンチェスター・ユナイテッド戦で通算15ゴール目を決めて日本選手の最多得点記録を更新した。日々、研さんを積むリーグについて大いに語った。(聞き手、構成 共同通信=田丸英生)

▽加入時といま、変わったことは


リバプール戦で競り合うブライトンの三笘薫(右)

 ―最高峰と称されるリーグの魅力とレベルをどう感じているか。
 「僕はプレミアとベルギーでしかやっていないし、スペインやドイツもリーグのレベルが高いのは分かっている。それでもいろいろな国から集まっている代表選手の質が高く、スピード感やフィジカルの強さがある。個のレベルもだが、どちらかといえばチームの完成度が高く、戦っていてバラバラになるようなチームがあまりない。個のレベルが高い選手たちがチームとして戦っているからこそ、プレーの質が上がっているように見える」

 ―今季は過去最多となる5人の日本選手がプレミアリーグに在籍している。


(左上から時計回り)リバプールの遠藤航、アーセナルの冨安健洋、クリスタルパレスの鎌田大地、サウサンプトンの菅原由勢

 「今までは2、3人だったので、増えているのはいい傾向だと思うが、所属するだけでなく数シーズンにわたって活躍し続けることに価値がある。これが普通になれば日本サッカーも強くなる」

 ―ブライトンでプレーして約2年半。その間に自身が変化したと感じるか。
 「誰も(自分のことを)知らない1年目は、活躍すればすぐに評価された。2、3年目にはうまくいかないと批判されるが、それはいい状況だと思う。(ブライトンは)若いチームで自分はもう中堅なので、引っ張らないといけない立場は自覚している。そういうところは(加入時と比べて)だいぶ違う」

▽チームで主軸に。その活躍が日本代表にも反映される


三笘薫の歩み(写真はAPなど)

 ―2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会はプレミアデビューから数カ月で臨んだが、次回26年W杯は4年分の経験を積んで迎える。
 「前回W杯はレベルが分からない状態でドイツ、コスタリカ、スペイン、クロアチアとやって、そこで初めて感じることが多かった。今はFIFA(国際サッカー連盟)ランキング上位とあまり対戦できていないが、クラブで各国代表の選手とやるのが普通になって(対戦相手に)驚くことはない。コンディションの持っていき方や、自分がどこまで通用するのかが試合前から測れるので、その自信は大きい」

 ―日本代表はプレミア勢を含めてほぼ全員が欧州組となった。基準が高くなったと感じるか。
 「リーグのレベルよりも、所属チームでどれだけ主軸として活躍を続けられるかが大事。それができなければ代表には入れない。そういう選手が増えてきているのはいいことで、選手の基準が上がれば(代表)チームにも反映される」

▽アタッカーとして、手強いマッチアップ相手は


マンチェスター・ユナイテッド戦で競り合うブライトンの三笘薫(右)

 ―クラブの顔となり、リーグを代表する選手たちと肩を並べた実感は。
 「全くない。そういう選手はW杯で結果を残したり、欧州チャンピオンズリーグに出たりして何シーズンも活躍している。自分はまだ3季目で、クラスとしては新人だと思っている」

 ―対戦相手としてマッチアップして、最も難しいと感じた選手は。
 「サッカーは1対1だけではなく、試合の流れがあってチーム内の役割もある。それでも1対1ではカイル・ウォーカー選手(マンチェスター・シティーからACミランに期限付き移籍中)が本当に強いイメージがあり、キーラン・トリッピアー選手(ニューカッスル)も素晴らしいという印象がある」

 ―同じアタッカーで対戦して印象に残った選手はいるか。


トットナム戦で競り合うブライトンの三笘薫(手前)

 「トップ6のチームはそういう選手ばかり。チームとしても個人としても、そういう相手と対戦するたびに毎回『まだまだ差がある』と思わされる」

 ―ブライトンを含め最先端の戦術を取り入れるチームが多く、サッカースタイルのトレンドの発信地となっている。
 「プレミアリーグを見る人が多いので、それがトレンドと思われるのも分かる。僕も素晴らしい監督の下で初めてやるサッカーもあり、戦術的にいいプレーができているからこそ、自分自身の幅も広がっている。チームとして戦術が形になって強豪に勝った時に、それが評価されるのは当然のこと」

▽CLに出ないといけない


インタビューに答えるブライトンの三笘薫(BHAFC/Paul Hazlewood氏撮影、共同)

 ―今後欧州で成し遂げたいことは。
 「ゴールをもっと取らないといけないと感じるし、欧州チャンピオンズリーグには出ないといけないと思う」

 ―過去に欧州で活躍した日本選手に追い付き、追い越す勢いだ。
 「そういう(過去の選手と)比較をしたことがない。毎日スタメン争いがあり、練習を一生懸命やらないとチームでの立ち位置もなくなる。足りないものを練習すること、少しでも強くなることしか考えていない。最終的に引退した時にどう評価されてもいいが、今はやるべきことが多すぎて1日に何時間でも欲しい」
(インタビューは昨年実施)
  ×   ×

▽プレミア挑戦の系譜、フィジカルで苦戦のケースも


2004年、リバプール戦で競り合うフラムの稲本潤一(右)

 これまでプレミアリーグのピッチに立った日本選手は15人に上る。かつてはスピーディーな試合展開やフィジカル面で苦戦するケースが多く、技術や器用さを持ち味とする日本人がチームの求める戦力として認められるまでには時間を要した。


2006年、トットナム戦で攻め込むボルトンの中田英寿

 最初の挑戦は2001年。稲本潤一は強豪アーセナルでリーグ戦の出番がなく、翌年のワールドカップ(W杯)日韓大会で活躍後に移籍したフラムでリーグデビューした。同じ01年にボルトン入りした西沢明訓はカップ戦のみの起用で、約半年で退団した。
 戸田和幸は03年にトットナムでリーグ戦4試合に出場。当時の世界最高峰とされたイタリア1部(セリエA)で活躍した中田英寿は、05~06年シーズンにボルトンで21試合に出場し、06年W杯ドイツ大会限りで現役引退した。

▽香川、吉田、南野…日本代表の中心メンバーもプレー


2014年、攻め込むマンチェスター・ユナイテッドの香川真司

 世界的にも注目されたのが、香川真司のマンチェスター・ユナイテッド移籍。ドルトムントでドイツ1部リーグ連覇に貢献し、12年に名将ファーガソン監督に引き抜かれた。1季目にハットトリックを含む6ゴールを決め、チームはリーグ優勝。実力の片りんを示したが、約2年の在籍期間にドイツ時代と同じような輝きは放てなかった。


2016年、プレミアリーグの優勝トロフィーを手に笑顔を見せるレスターの岡崎慎司


2017年、チェルシー戦で競り合うサウサンプトンの吉田麻也(左)

 最多出場は12年ロンドン五輪後にサウサンプトンに加入し、約7年半プレーした吉田麻也の154試合。岡崎慎司はレスター入りした15~16年シーズンにレギュラーとして「奇跡の優勝」に貢献し、4年間で通算114試合に出場し、三笘に抜かれるまで日本選手最多の14点を挙げた。


 宮市亮、武藤嘉紀、南野拓実はプレミアで持ち味を発揮できなかったが、その経験を糧に今も国内外の第一線でプレーを続ける。近年はリーグの国際化が進み、パスサッカーを志向するチームが増加。フィジカル全盛の時代から移り変わったことも、三笘ら日本勢が適応しやすくなった要因に挙げられる。

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