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女性議員、本当に増やそうとしてますか 次期衆院選は本来ならばチャンスなのだが…

47NEWS / 2021年7月18日 7時1分

東京都議選が告示され、支持を訴える女性候補者=6月25日、東京都中野区

 秋の公算が大きくなっている衆院選の注目点の一つは、女性議員が増えるかどうかだ。3月末に発表された男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)で日本は156カ国中120位。中でも政治分野の147位が総合順位の足を引っ張った。もし、日本の全ての政党がこの事実を真剣に受け止めていれば、今度の衆院選は遅れを少しでも取り戻す好機となるはずだ。各党の取り組みは、格差の縮小につながるのか。掲げた看板が選挙目当てで終わったなら、国民世論だけでなく、国際的にも厳しい評価を浴びかねない。(共同通信=嬉建吾、城和佳子)


 

 ▽格差是正に足りない熱量―自民

 自民党は衆院定数465の6割、議長含め277議席を占める巨大与党だ(7月15日現在)。このうち女性は21人。最近の選挙を見ても当選圏に届く候補が他党に比べて多く、衆院全体の女性の増減に直結するだけに責任は重い。選挙実務を統括する山口泰明選対委員長は、147位に「強い危機意識を持っている」と語る。


記者会見する自民党の山口泰明選対委員長=20年9月、東京・永田町の党本部

 ハードルは高い。共同通信の6月17日集計で衆院選立候補予想者のうち女性は25人止まりだ。289小選挙区の多くは男性現職で埋まっている。現職優先が原則なので、差し替えはめったにない。男性ベテラン議員の今任期での引退表明が相次いでおり、女性擁立のチャンスだが、「出たい人」による競争は既に始まっている。候補者選定は党の地方組織である県連の意向が強く働くため、党本部が頭ごなしに「女性限定」と枠をはめるのは難しい。

 党女性活躍推進特別委員会は4月、次期衆院選目標として(1)女性候補割合15%(2)比例代表11ブロックの三つで女性を1位優遇―との提言案を作った。しかし6月に完成した提言は、国政選挙候補者の女性割合を2030年までに35%にすると公約に明記―と後退させた。比例当選者を男女交互に決める仕組みを例示したものの、「将来課題」と位置付けるのにとどめた。熱量の少ない党内情勢に抑え込まれたと推測される。

 取り掛かりやすいのは比例候補擁立での女性優遇だろう。05年郵政選挙で実績がある。当選圏内の名簿上位に女性枠を設け、13人を登載した。小選挙区当選者を除く猪口邦子、佐藤ゆかり、阿部俊子氏ら8人がこの枠で当選。実務を仕切ったのは今の二階俊博幹事長だ。

 ただ現執行部は、選挙で擁立する女性の数値目標を打ち出す予定はない。党関係者は「結果を出すには、党総裁である菅義偉首相や二階幹事長が思い切って決断するしかない」と指摘する。


記者会見する菅首相=21年7月8日夜、首相官邸

 ▽当選という厚い壁―野党

 野党の多くは女性候補の数値目標を掲げる。

 野党第1党の立憲民主党は副議長含め衆院現有110人、うち女性は15人だ。女性候補については「最終的には男女半々。当面は3割を目指す」と目標を示す。自民党が大幅増を打ち出せないのを尻目に、差をつける思惑もありそうだ。既に女性限定の公募や地域集会を始め、候補者発掘に力を入れている。蓮舫代表代行は「女性が政治家に挑戦することが当たり前になる社会にしたい」と期待する。


参院予算委を終え、取材に応じる立憲民主党の蓮舫氏=2020年3月11日

 とはいえ課題はある。共同通信の6月集計では、次の衆院選立候補予想者207人中、、女性は34人。16%しかない。空白区は82残るが、自民党が強みを見せるガチガチの保守地盤が多い上、共産、国民民主、社民党との候補者調整はこれからだ。「3割」擁立はたやすくなく、達成できたとしても「当選」という壁は厚い。

 共産党は同集計で142人の立候補を予定し、うち女性は48人、約34%を占める。野党間の候補者調整により減る可能性はあるが、女性擁立を最も進めている政党の一つと言える。比例に限れば50%を超えた。候補者全体の今後の目標も50%に据える。だが何人を当選させられるのかという厳しい現実もある。


記者会見する共産党の田村智子政策委員長=21年6月11日午後、国会

 この他の政党の女性立候補予想者は同集計で、女性比率こそ約11~58%と異なるものの、実数は1~8人と1桁にとどまる。今後積み上がるのかどうか注目したい。

 ▽挑戦を阻むものは

 女性擁立が難航するのはなぜか。実情を探るため、共同通信は1~2月に全女性国会議員101人を対象にアンケートを実施した。立候補や政治活動の障壁を複数回答で選んでもらったところ、「政治は男性のものとする固定観念」を挙げた人が66%で最も多く、「家庭・子育てとの両立」が61%で続いた。

 自由記入欄からは「女性に何ができるのかという視線を感じる」(国民・矢田稚子氏)、「男性が妻子を地元に残しても当たり前と思われるが、女性が子どもを地元に残せば『子どもを捨てて仕事をしている』となる」(無所属・寺田静氏)など、現場の苦悩が浮かび上がる。


政治分野の女性参画拡大を目指す改正推進法を全会一致で可決、成立した衆院本会議=21年6月10日午後

 活動障壁の回答のうち「セクハラ」「女性差別」もそれぞれ30%を超えた。「子育て支援について(国会で)質問した際、『自分が産め』とやじがあった」(立民・金子恵美氏)、「女性の立候補には暗黙の年齢制限があると言われた」(日本維新の会・石井苗子氏)と、露骨な差別発言を投げつけられた経験が記されている。内閣府の調査でも女性地方議員の6割近くが、有権者や同僚から性的・暴力的な言葉などのハラスメント経験があると回答している。

 6月の通常国会閉会間際に、政治分野の女性参画拡大を目指す改正推進法が成立した。政治の世界に挑もうとする女性の背中を押すため、セクハラやマタニティーハラスメントの防止規定を新設。国や自治体に研修実施や相談体制整備を求め、政党にも自主的な取り組みを促した。ただし法律に強制力はなく、意識を強く持つかどうかが実効性を左右しそうだ。


政治分野の女性参画拡大を目指す改正推進法が全会一致で可決、成立し、議場に一礼する丸川男女共同参画相=21年6月10日午後、衆院本会議

 ▽有権者の注目点は

 国会の男女格差是正のため、衆院選で有権者は各党のどこをチェックすればいいのだろうか。ジャーナリストの治部れんげさんは「女性候補の育成やハラスメント対策に党の本気度が表れる。候補者の数だけでなく、こうした姿勢を見極めてほしい」とアドバイスする。


治部れんげさん

 政党の「選挙PR」に終わらせないために鍵を握るのは国民の関心だと、治部さんは指摘。「女性擁立の達成度、公約実現に向けた姿勢を選挙後もしっかり監視することが、各党に行動を促す」として政党の日常の在り方をチェックし続ける重要性を語る。

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