1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ネットで1000人から「今年の十大ニュース」を集めてみたら… 報道機関が選ぶ恒例のトップ10と何が違った?

47NEWS / 2021年12月28日 6時0分

ネット1000人アンケートで国際ニュースのトップとなった米大リーグ大谷翔平選手=9月、アナハイム(共同)

 年末になると、さまざまな報道機関が発表するその年の「十大ニュース」。共同通信と全国の加盟新聞社、放送局の報道責任者らも合同で選んでいる。ニュースを出す側として、それぞれの出来事に思い入れがあるため、じっくり考えてトップ10を決めるのが毎年の恒例行事だ。一方、ニュースを受け取る側はどう感じているのだろう。そこで今回、インターネットを通じて全国47都道府県の千人に、2021年の十大ニュースを選んでもらった。方法は報道機関が決める際と同様に国内、国外それぞれ30のニュースから選ぶ仕組み。結果は、どれほど異なったのだろうか。違いが著しいのは、どんなニュースだったのか。(共同通信=亀井淳志)

 ▽大谷選手活躍がトップに

 ネット調査はネットリサーチ事業運営の「GMOリサーチ」を通じ、12月中旬に実施した。国内・国際各30のニュースから選ぶ方法で1025人の有効回答を得た。

 上位で目立つのはスポーツ関連だ。米大リーグ大谷翔平選手が投打の二刀流で大活躍し、満票でア・リーグ最優秀選手(MVP)に初選出された話題が国際ニュースでトップとなった。自由記述欄で、兵庫県の男性が「気がめいっているときに明るいニュースとして毎日の大谷選手の活躍がうれしかった」と振り返っている。コロナ禍で励みになっていたことをうかがわせた。

 ゴルフの松山英樹選手による日本男子初のマスターズ優勝はネット調査で6位。報道責任者によるランク付けを見ると、大谷選手は3位、松山選手は9位でいずれもより低い順位となっている。

 ▽印象弱い衆院選

 国内ニュースを見比べると、トップ10はおおむね似ている。その中で、衆院選の順位は大きく異なった。報道側は5位、ネット調査は14位だった。一方、岸田政権誕生は報道側が3位、ネット調査で4位と、いずれも上位。関連するニュースなのに、この違いは何か。

 芸人でコラムニストのプチ鹿島さんは「岸田文雄首相は何も新しいことはしていないのだが、当たり前のことをやるだけで前任者との違いが新鮮に見えた」と指摘する。菅義偉前首相は記者会見で質問に正面から答えない姿勢が批判された。これに対し、岸田首相は就任後初めての会見で質問に対応し続け、「聞く力」をアピールした。

 

衆院選の順位がネット調査で低い点についてプチ鹿島さんは、自民党が絶対安定多数を確保し、衆院の勢力図が大きく変わらなかった結果、ニュースの印象が弱くなったとみている。

 国内で起きた事件は、ネット調査の方が関心の強さがうかがえる結果となった。報道側でトップ10に入らなかった小田急線・京王線の刺傷事件が9位に入っている。

 首都圏の回答者は「自分自身が利用している電車で起きた事件だ」「自分の身に降りかかるかもしれないと恐怖を感じた」「電車に乗るのが怖くなった」と、不安を訴える記述が目立つ。

 報道側が7位とした秋篠宮家の長女眞子さんと小室圭さんとの結婚は、ネット調査で5位。10月の婚姻届提出から11月の渡米にかけて、2人の一挙手一投足がネットニュースで盛んに報じられた。

 自由記述欄には祝福するコメントが見られた一方で批判的な意見も。「普通の女性ならこんなに大変ではないだろうと、かわいそうに思った」と眞子さんをおもんぱかる声もあった。


結婚し、記者会見に臨む小室圭さんと眞子さん=10月26日、東京都内のホテル

 ▽五輪に賛否両論

 コロナのニュースも、ネット調査では軒並み上位に入った。国内ニュースの首位は「度重なる緊急事態宣言」。2位はスポーツ関連でもあるものの、感染拡大防止のために無観客開催となった東京五輪・パラリンピック。コロナ第5波による医療崩壊が3位に付けた。「自宅療養者が何人も亡くなってしまったことがとてもショックだった」(神奈川県の60代以上の女性)との記述も。ワクチン接種率7割超は6位だった。

 東京五輪には賛否両論が寄せられた。肯定派は「金メダルラッシュでコロナのもやもやを吹き飛ばした」「たくさんの感動をもらい、力強く生きようと思えた」。その半面で「コロナ禍による世界規模の非常事態の中で強行された」「平和の祭典のはずなのに、心から楽しむことができなかった」などの意見もあった。

 ▽「自分ごと」はさらに検索

 国際ニュースは隔たりが大きい。

 報道側が6位とした「香港のリンゴ日報廃刊と民主派弾圧」は、ネット調査では14位。「中国共産党の歴史決議」は報道側の8位に対し、ネット調査は19位。習近平総書記が地位を固める節目として大々的に報じられたが、日本では盛り上がりを欠いたようだ。

 「バイデン米政権発足」は1位、「アフガニスタン米軍撤退」は2位、「トランプ支持者の米議会襲撃」は7位と、報道側が国際政治を重視しているが、ネット調査では3位、4位、10位と、いずれもやや順位が低い。


就任式で演説するバイデン米大統領=1月20日、ワシントンの連邦議会議事堂(AP=共同)

 地球温暖化予測の研究者、真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞受賞は報道側がトップ10から外したが、ネット調査では7位だった。そんな中、唯一順位が同じだったのは5位の「ミャンマーでの軍事クーデター」。ネット調査では「クーデターが起きても結局どの国も手助けできないことを実感した」(新潟県の50代男性)と歯がゆさを訴える意見が上がった。

 トレンド評論家の牛窪恵さんは、この違いについて、報道機関は新聞の1面に載せる社会的に大きな出来事を選び、一方ネット調査ではコロナ関連など自らの生活に直結するニュースが上位に入ったと分析した。「『自分ごと』はネットでさらに検索する」と説明し、身の回りから遠い話題はネットで拾わないため、あまり関心を持たないとの見方を示した。

 ▽コロナへの関心強いのは高年層

 ネット調査は、いくつかのニュースでは回答者の属性によって傾向に違いがあった。

 「日経平均株価が3万円台で約31年ぶりの高値」は全体では国内11位。ただ男性だけで見ると9位になる。「バブルなのか、実体経済を反映しているのか、目を離せない」と京都府の30代男性。

 女性の関心が高かったのは「東日本大震災10年」「静岡県熱海市の大規模土石流」「小田急線・京王線の刺傷事件」だった。眞子さんの結婚を上位に挙げた女性の比率は、男性の2倍を超えた。

 年代別では、若年層(30代以下)より、高年層(60代以上)の方がコロナ関連に関心が強い。

 若年層の注目度が高いのは、女子テニスの大坂なおみ選手が「うつ」を告白して全仏オープンを棄権したニュース。若年層だけの順位では国際の6位となったが、高年層だけでは26位にとどまった。

 ▽「震災の記憶、決して忘れない」

 居住地ごとの特色もある。東北地方では震災10年を選ぶ回答が目立つ。宮城県の60代以上の男性は、時間とともに風化しがちだと懸念を示した上で「東日本大震災の記憶は決して忘れてはいけない」と呼び掛けた。宮城県の50代女性は「目に見える復興は進んだかもしれないが、まだ地元に戻れない方もたくさんいる」と説明。被災地でのコミュニティー活性化が課題だとの見方を示した。

 広島県では、地元の河井克行元法相の買収事件を国内トップニュースとした回答も。岸田政権発足を推す人は「広島から久々に総理大臣が誕生した」とコメントしている。

 愛媛県の男性は、真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞と松山英樹氏のマスターズ優勝を選んだ。ともに同県出身だ。

   ×   ×   ×

 具体的な調査方法

 【ネット調査】ネット千人アンケートは、国内・国際各30選択肢から上位3位を選ぶ形式で、47都道府県の1025人から有効回答を得た。ネットリサーチ事業を運営するGMOリサーチを通じ、12月14~15日に実施した。性別と年代で人口分布に比例するように回答を集めた。単純合算した3075票を基に、国内・国際それぞれでランキングを作成した。選択肢は編集者版と一致させた。

 【報道側の順位付け】まず共同通信の編集局各部が投票対象となる主要ニュースを提案し、編集委員室が国内・国際各30項目の候補を決定した。共同通信に加盟する全国の新聞社の編集・論説責任者と契約放送局の報道責任者、共同通信の編集局長、局次長、部長、支社局長ら計244人が投票した結果に基づいて順位を付けた。

   ×   ×   ×

 ネット千人アンケートの回答一覧 ※( )は報道側の順位

 【国内】

 1位 新型コロナで度重なる緊急事態宣言 609票(2位)

 2位 東京五輪・パラリンピック無観客開催 521票(1位)

 3位 新型コロナ「第5波」で医療崩壊 329票(4位)

 4位 菅首相退陣、岸田政権誕生 231票(3位)

 5位 眞子さん、小室圭さんと結婚 226票(7位)

 6位 新型コロナワクチン接種率7割超 158票(9位)

 7位 記録的大雨で土砂災害、熱海土石流 130票(8位)

 8位 藤井聡太さんが竜王位獲得で最年少四冠 105票(10位)

 9位 小田急線、京王線で相次ぐ刺傷事件 94票

 10位 東日本大震災10年 91票(6位)

 11位 株価31年ぶり高値、3万円台に 63票

 12位タイ 海底火山の軽石が沖縄に大量漂着 57票

 12位タイ 作家の瀬戸内寂聴さん死去 57票

 14位タイ みずほATMで大規模障害相次ぐ 48票

 14位タイ 衆院選で自民絶対安定多数 48票(5位)

 16位 自殺者11年ぶり増加、女性と若者増 38票

 17位 デジタル庁発足 29票

 18位タイ 政府が原発処理水海洋放出の方針決定 28票

 18位タイ 河井克行元法相、買収事件で実刑確定 28票

 20位タイ 東京五輪・パラ組織委森会長が女性蔑視発言で辞任 26票

 20位タイ 大相撲の横綱、白鵬が引退 26票

 22位 夫婦別姓禁止は合憲と最高裁 24票

 23位 日米首脳が共同声明で「台湾海峡」明記 21票

 24位 40年超原発、初の再稼働 17票

 25位タイ 改正国民投票法が成立 16票

 25位タイ 工藤会トップに死刑判決 16票

 27位 立憲民主党の枝野幸男代表が辞任表明 12票

 28位 菅首相長男が接待、総務省幹部を処分 11票

 29位 「黒い雨」訴訟で国が上告断念 9票

 30位 人間国宝の落語家、柳家小三治さん死去 7票

 【国際】

 1位 大谷「二刀流」で大活躍、満票でMVP初選出 482票(3位)

 2位 世界の新型コロナ死者が500万人超 451票(4位)

 3位 バイデン米政権発足 402票(1位)

 4位 アフガン米軍撤退、タリバン政権に 236票(2位)

 5位 ミャンマーで軍事クーデター 195票(5位)

 6位 松山英樹がマスターズ優勝、日本男子初 141票(9位)

 7位 ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏 124票

 8位タイ メルケル独政権に幕 81票

 8位タイ 北朝鮮が発射実験繰り返す 81票

 10位 トランプ支持者が議会襲撃・一時占拠 80票(7位)

 11位タイ G7首脳声明に台湾明記、米中対立激化 73票(10位)

 11位タイ 国連「1・5度上昇」報告 73票

 13位 中国の大手不動産「恒大集団」の経営危機 64票

 14位 香港リンゴ日報廃刊、民主派弾圧 62票(6位)

 15位 大坂なおみ、うつ理由に全仏を棄権 61票

 16位 G20「今世紀半ば」に温室効果ガス実質ゼロ 56票

 17位 米スペースXが初の民間人宇宙旅行 55票

 18位 日本のコンテナ船、スエズ運河ふさぐ 48票

 19位 中国共産党が歴史決議、習氏が歴史的指導者へ 40票(8位)

 20位 中国、台湾がTPP加盟申請 35票

 21位 イスラエルで12年ぶり政権交代 34票

 22位 元慰安婦訴訟で日本に賠償命令 33票

 23位 日米豪印の「クワッド」が初の首脳会談 27票

 24位 中国共産党創設100年 26票

 25位 米国が量的緩和縮小開始 25票

 26位 韓国、元徴用工の訴え却下 22票

 27位 米中首脳初会談、衝突回避へ対話継続 21票

 28位 イラン大統領選で保守強硬派の政権 17票

 29位タイ 米英豪が新安保枠組み「AUKUS」創設 15票

 29位タイ OECDが国際課税新ルールで合意 15票

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

ミッション中・・・

10秒滞在

記事を最後まで読む

ミッション中・・・

10秒滞在

記事を最後まで読む

10秒滞在

記事を最後まで読む

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください