花粉の飛散量は去年の約5倍! 医師「1日6回くしゃみが出たら診察を」 アレルギーに慣らす舌下免疫療法は3年かかるが保険適用
ABCニュース / 2025年1月31日 14時29分
1月も下旬となり、まもなく花粉症の時期がやってきます。花粉症は、今や国民の2人に1人が悩まされているといいます。
パナソニックの調べによると、花粉症による生産性の低下は、国内で1日に約2340億円の経済的損失を招くとされます。ウェザーニューズが今月発表した今年の飛散予想では、大阪、兵庫、京都で去年の約5倍、徳島は7倍近くの花粉が飛ぶと予想されています。過去10年で最も多いか、それに匹敵する恐れがあるといいます。
なぜ今年は多いのでしょうか。気象予報士の岡雄介さんに尋ねたところ、2つの理由があるということです。
①花粉には基本的に、良く飛ぶ年=表の年と、あまり飛ばない年=裏の年が交互に来ると言われています。今年が表の年に当たるので去年に比べて飛散量が多くなります。
②去年の夏は猛暑が続き、日照もかなりあったので、スギの雄花の成長が促進された。
【なぜ花粉症増えた 食生活との意外な関係】
では、どのように花粉症対策をすれば良いのでしょうか。葛西医院の小林正宜院長の解説です。
花粉症の人が増えている理由は大きく3つです。
①戦後、スギ・ヒノキがたくさん植えられた。
②都市化によってコンクリートが増えたから。土と違ってコンクリートには花粉が吸収されないので、再び舞ってしまう。
③食生活の変化に伴い、アレルギー体質の人が増えた。
食生活の変化とはどういうことでしょう?
(小林院長)免疫の能力は変わります。油の多い食事や外食が多くなるとアレルギーが出やすい体質になることが言われています。
【1日6回くしゃみがでたら受診を 重症化しやすい人の特徴とは】
では、病院へ行く目安はどれくらいなのでしょうか。
(小林院長)1日に6回くしゃみが出たら受診をおすすめします。1日に6回くしゃみが出る、または鼻づまりで口呼吸が時々ある場合は、花粉症の中等症といえます。鼻づまりは不快感も大きく、仕事の効率も下げますので、受診をおすすめします。
花粉症が重症化しやすい人の特徴はあるのでしょうか。小林院長によると、①若者②女性③ドライアイ④トマトアレルギーは要注意ということです。それぞれ解説してもらいました。
(小林院長)
①若い方は免疫が活発です。例えば小児喘息のように、子供のときは喘息持ちだったけれども、大人になったらなくなったという感じです。
②免疫系統の病気というのは、女性に多いことが多いです。花粉症についても約1.3倍、男性よりも多いとされています。
③ドライアイは、涙が花粉症を洗い流す作用、保護する作用を受けにくいです。涙が出にくいと、花粉症にさらされて攻撃を受けやすくなります。
④トマトアレルギーは、アレルギーを起こすもとの「アレルゲン」が花粉症のアレルゲンと似た構造を持っているためです。
【対策は市販薬でOK!シーズンの1週間前から服用を】
病院に行けない人は、市販薬で対応しても良いのでしょうか。
(小林院長)市販薬でも十分です。ポイントは飲み薬で、花粉が多くなる時期のおよそ1週間前(今年なら2月上旬)から飲み薬を内服すると症状が悪化しづらくなるでしょう。病院で出す抗ヒスタミン薬の”第2世代”は比較的眠くなりにくく、市販も多くされています。
【花粉症対策の食べ物はコレ! 対策は内と外から】
花粉症対策は何をすれば良いでしょうか
(小林院長)”外側”と”内側”それぞれからの対策が必要です。外側は、マスクやゴーグルをつける。花粉が多いところに行かない。内側は、十分な睡眠と善玉菌(ヨーグルト、納豆チーズ味噌など)を摂取することです。花粉症は花粉が目や鼻の粘膜に入ってくることで発症しますので、これを物理的に防ぐというのが”外側”です。花粉は着ていたものに付きますので、アウターは玄関に置いて、ひどい人はすぐに着替えてシャワーを浴びるなどの対策も有効です。一方”内側”は免疫を整える効果があります。不摂生や油の多い食事を避けることです。善玉菌を摂取すると花粉症の症状を良くするという研究データがいくつかあります。また、睡眠不足になると、ヒスタミンという花粉症によって出てくるかゆみや鼻水の原因物質が出やすくなるので、睡眠も重要です。
【それでも治らない人へ「舌下免疫治療法」とは】
それでも花粉症の症状が治まらないという方は、「舌下免疫療法」という治療法があります。これはどういう治療法なのでしょうか?
(小林院長)アレルギーの原因となる物質を体内に入れることでアレルギー反応を起こしにくい体質にするというものです。保険適用で、通院は2週間から4週間に1回、薬を1日1回、3年以上の治療が必要です。これをすると症状が出なくなることが多いです。アレルギーそのものを体内に取り入れるので、荒療治ともいえますが、体をアレルギーに慣らします。ただ、この治療は花粉症のシーズンが終わってから始めることになります。花粉症のシーズンに始めると、より症状が出てしまう恐れもあります。6月から10月くらいに治療を始めるのが良いでしょう。
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