都市から廃村に移住を 伊建築家ら「ポストコロナ」の新生活提案

AFPBB News / 2020年5月23日 11時30分

イタリア南部セッリーアの集落(2016年1月11日撮影)。(c)TIZIANA FABI/STF / AFP

【AFP=時事】イタリアの建築家らが政治家に対して、将来の感染症の流行拡大リスクを減らすため、人々に都市部を離れて地方の廃村に移住することを奨励するよう求めている。


 イタリア北部が新型コロナウイルスによって破壊され、全国的なロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされる前の生活にこのまま戻るのは愚かなことだと話すのは、環境に優しい高層ビルの設計で知られるミラノの建築家、ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)氏だ。


「これまで通りの生活を求める考えが、この災厄を招いた原因の一つだ」とボエリ氏。「勇気を出して、現実的な決定を下す時がきた」と報道陣に話した。


 ボエリ氏は、同業者や社会学者、人類学者、都市計画家らと共に、有事を機に生活様式を変え、都市が「汚染爆弾」になることを防ぐ方法を提案している。


 イタリアの著名建築家マッシミリアーノ・フクサス(Massimiliano Fuksas)氏は、ロックダウンが段階的に解除されるにつれて、1970年代に起こったように、都市から地方に移住する人が急増すると主張している。


 日刊紙レプブリカ(Repubblica)のインタビューで同氏は、「若者たちはテロ、経済危機、薬物汚染に悩む都市を脱出した。こうした事態は再び起こる」と語り、「ウイルスは(都市よりも)地方の方が弱い。社会的接触が少ないだけではなく、風が吹き、金属やプラスチックが少なく、海が近ければ大気中にヨウ素も多いからだと研究者らも述べている」と付け加えた。


 イタリアにはおよそ5800の集落があり、それぞれの人口は5000人に満たない。ボエリ氏によると、このうち2300以上が事実上、廃村になっている。


 そこでボエリ氏は、政府がこうした集落を管理して新しい住民を呼び寄せ、税制上の優遇措置を講じて交通網を改善する一方で、ブロードバンドを整備してリモートワークを可能にすれば、都市への圧迫を軽減できると提唱している。




■村落のデジタルインフラ整備が急務


 イタリアの文化省は、ロックダウン解除後に観光業界の回復につながるよう休暇旅行に助成金を出す案を検討し、一部の国民が歴史ある集落を訪れるよう仕向けて、ビーチが混み合う事態を防ごうとしている。


 しかし、山間部にある町村の全国組合UNCEMの代表、マルコ・ブッソーネ(Marco Bussone)氏は、住み続ける人が出てくることを期待して村落で休暇を過ごすよう国民を説得するのは簡単にはいかないだろうと話す。


 長期的に人々を引きつけるには、山間部や洪水が発生しやすい地域の気候変動リスクを防ぎ、教育・保育にリソースを配分し、インターネットを整備しなければならない。


 一部の集落には商店や学校がなく、デジタルインフラが整備されていないため、約1200の村は、電話や電子メールの利用や、テレビの視聴さえ難しい状態にあるとブッソーネ氏は話した。

【翻訳編集】AFPBB News

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