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安楽死への旅路、仏からベルギーに AFPが同行取材

AFPBB News / 2024年6月28日 21時0分

仏東部ブザンソンのアパートでペットのウサギ「ラッキー」と一緒の最後の日を過ごすリディ・イムホフさん(2024年1月30日撮影)。(c)Simon Wohlfahrt / AFP

【AFP=時事】フランス人のリディ・イムホフ(Lydie Imhoff)さん(43)は、生まれた時から半身不随で、目もほとんど見えなかった。徐々に手足が動かなくなり、昨年、ベルギーで安楽死の処置を受けることを決めた。「死んでいるような体で生きる」のを恐れてだ。


 AFPがリディさんを初めて取材したのは2023年3月。ベルギーの首都ブリュッセルで精神科医と面会するリディさんに同行した。この医師は、リディさんに安楽死の許可を出していた。ベルギーでは20年前に安楽死が合法化された。フランスでは、治る見込みがない病に苦しむ患者に医師が致死量の薬物を投与する「積極的安楽死」はまだ認められていない。


 取材班は今年1月、リディさんの最後の旅に同行した。ペットのウサギと暮らしていた仏東部ブザンソン(Besancon)のアパートから、ベルギーの病院までの移動、そしてブリュッセル近郊で遺灰がまかれるまでを追った。




■1月30日(火) 仏ブザンソン


 ほぼ何もなくなったリディさんのアパートの出窓に夕日が差す。飼っているウサギの「ラッキー」が部屋の中を動き回っている。車いすの上で体を丸めたリディアさんがため息をつくと、がらんとした室内に響き渡った。


「解放されるのが待ち遠しい気持ちもあるが、愛する人たちを残して先立つことに後ろめたさもある。でも、どっちにしても、これが自分で選んだことだから」と語った。


 重苦しい雰囲気の中、リディさんはジョークを飛ばすのも忘れない。


「郵便受けに鍵を入れておくのを忘れないようにしないと。じゃないと、後で殺されちゃう」




■1月31日(水) 夜明けに出発


 まだ外が暗い中、ドニ・ルソー(Denis Rousseaux)さんと妻のマリージョゼ(Marie-Josee Rousseaux)さんがレンタカーでリディさんのアパートの前に到着した。ドニさんは元麻酔専門医で、マリージョゼさんは元看護師。昨年からリディさんが国外で安楽死をできるよう夫婦で協力してきた。


 家族と絶縁しているリディさんは、ルソーさん夫婦のようにボランティアで支援してくれる一握りの友人たちに全面的に頼っている。


 ワゴン車の後部座席に座ると、リディさんはマリージョゼさんに体を寄せ、毛布を引っ張り上げた。毛布には、あちこちにラッキーの毛がまだ付いている。ラッキーは前日、「里親」に引き取られていた。


 車いすを積み込んだドニさんがエンジンをかける。ルソーさん夫婦が誰かに付き添ってベルギーまで行くのはこれが初めてだった。

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