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トランプ氏暗殺未遂めぐる偽情報、米国の政治的分断浮き彫りに

AFPBB News / 2024年7月16日 16時5分

米ペンシルベニア州バトラーで行われた選挙集会で、銃撃された後に耳から血を流しながらシークレットサービスに囲まれて退場するドナルド・トランプ前大統領(2024年7月13日撮影)。(c)Rebecca DROKE / AFP

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領の暗殺未遂事件を機に矛盾に満ちた陰謀論が氾濫し、11月の大統領選を前に政治的二極化の進行が改めて浮き彫りになっている。


 トランプ氏は血を流しながらステージを離れたが、ソーシャルメディアには、銃撃は「やらせ」で血は「偽物」という根拠のない主張や、事件直後に笑っている警護要員の加工写真が拡散されるなど、左右両派から、さまざまな臆測と陰謀論が飛び交っている。


 この事件は、大統領選を前に分断された米国の政治的な対立を過熱させ、偽情報を氾濫させていると専門家は警鐘を鳴らしている。


 内部犯行や偽旗作戦を指摘する声はネット上で瞬く間に広まり、SNSユーザーは事件の責任をトランプ氏またはジョー・バイデン(Joe Biden)大統領に負わせようとしている。




 事件について、一部の左派は、政治的な同情を得るためにトランプ氏が仕組んだと主張。一方、右派のトランプ氏支持者は、バイデン政権の命令で、大統領警護隊(シークレットサービス)が攻撃を許したと主張している。


 民主党の著名な戦略家ドミトリ・メールホーン(Dmitri Mehlhorn)氏は、暗殺未遂はやらせだと主張し、謝罪に追い込まれた。




■「陰謀論の影響を受けない人はいない」


 米国の陰謀論に詳しいアンソニー・マンスイ(Anthony Mansuy)氏は、「陰謀論の影響を受けない人はいない」とAFPに指摘した。


「SNSへのアクセスが容易になったことで、私たちの誰もが犯人捜しに参加している気分になってしまう可能性がある」


 右派のSNSユーザーは、暗殺未遂が「内部犯行」だとする根拠のない主張は虚偽での証拠として、トランプ氏の警護隊がステージから人々を遠ざけている場面の動画を共有。


 また、警護隊員の一人がトランプ氏を急いでステージから降ろす際に笑みを浮かべている加工画像も出回ったが、リバースイメージサーチで見つかったオリジナル画像では笑っていなかった。


 大統領警護隊は14日、トランプ氏の選挙集会の前に警備強化の要請を拒否していたとの臆測を「全くの虚偽だ」と主張した。




■極右が好む「ディープステート」論も


 仏トゥール大学(University of Tours)のジュリアン・ジリ(Julien Giry)氏は、暗殺未遂は「トランプ氏が危険にさらされているという主張に信ぴょう性を与える」とし、支持者を勢いづかせるとの見解を示した。

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