日本人フラメンコ舞踊家、歴史あるコンクールで外国人として初優勝

スペイン・セビリア在住の萩原淳子さん。同国を代表するフラメンコ・コンクール「カンテ・デ・ラス・ミナス」の舞踊部門で優勝した（2024年8月29日撮影）。(c)CRISTINA QUICLER / AFP

【AFP＝時事】スペインを代表するフラメンコ・コンクールの舞踊部門で、日本人の萩原淳子（Junko Hagiwara）さん（48）が外国人として初めて優勝し、フラメンコ界で話題を呼んでいる。


　スペイン南東部ラウニオン（La Union）で8月に開催されたフラメンコの祭典「カンテ・デ・ラス・ミナス（Cante de las Minas）」の閉会式で、「ラ・ジュンコ」として知られる萩原さんの名前が発表されると、拍手が起きるとともに一部からは野次も飛んだ。


　萩原さんは20年以上住んでいる南部アンダルシア（Andalusia）州セビリア（Seville）から電話でAFPの取材に応じ、「とても驚いた」と話し、「信じてはいたが、まさかと思った」と語った。優勝者として名前が発表された時は「頭が真っ白」になり、野次には気付かなかったという。

　萩原さんは、神奈川県川崎市出身。14歳の時にフラメンコに魅了され、早稲田大学（Waseda University）のサークル活動でフラメンコ舞踊を始めた。両親の反対を押し切り、2002年にフラメンコ発祥の地セビリアに移住した。


「日本でも技術や振り付けは学べるが、フラメンコは文化であり、生き方そのものなのです」と話す。


　スペインでは一流の指導者に師事。スペイン語にも堪能になり、アンダルシア出身の男性と結婚。舞踊家としてセビリアで徐々に存在を知られるようになり、フラメンコを教える立場にもなった。


　1961年に創設され、毎年開催されている「カンテ・デ・ラス・ミナス」は、世界で最も重要なフラメンコの祭典と見なされており、バイレ（踊り）に加え、ギター演奏、カンテ（歌）、楽器演奏の計4部門がある。


　批評家たちはそろって萩原さんを支持した。


　オンライン新聞セビージャ・インフォのフラメンコ批評家は、「他の出場者より好きだった理由が3点ある」として、「古典を重んじていること。観客にこびずに踊る姿勢。そして鍛錬を積んでいること」を挙げた。


　萩原さんは、「踊っている時は自分が外国人とか、日本人とかは意識していない」と言う。「ただステージに立ち、ギターと歌を聴き、感じることを自分の踊りで表現するだけ」だと話した。

【翻訳編集】AFPBB News