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メルケル前独首相、回顧録で「後悔なし」 対ロシア政策や難民危機振り返る

AFPBB News / 2024年11月26日 13時42分

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(当時)との会談を終え、自身の愛犬をなでるロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2007年1月21日撮影)。(c)AXEL SCHMIDT / AFP

【AFP=時事】ドイツのアンゲラ・メルケル前首相の回顧録が26日、30言語で出版された。「自由 回顧録1954 – 2021」と題された同書でメルケル氏は、欧州最大の経済大国を16年間にわたって率いた際の自身の政策を力強く正当化している。

2021年の退任以降、メルケル氏はロシアに対する宥和的な政策の結果、ドイツを安価なロシア産天然ガスに過度に依存させたと批判されてきた。加えて移民の受け入れ政策が社会不安と極右の台頭を招いたとして非難されてきた。

ここ数年は公の場から遠ざかっていたが、複数メディアのインタビューで、共産主義体制下の東ドイツで過ごした幼少期や、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、米国のドナルド・トランプ前大統領との緊迫したやりとりについて振り返っていた。次期米大統領として復権するトランプ氏については「独裁主義的な政治家に魅了されている」ようだったとの見方を示している。




■難民危機


回顧録では、2015年に難民が大量流入した際の自身の考えや行動についても詳細をつづっている。

メルケル氏を批判する人々は、オーストリア国境で大量の難民受け入れを認めた政策が、100万人を超える難民流入と、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を招いたと非難している。

だが、メルケル氏は「欧州は常に外部境界を守らなければならない」としつつ、「繁栄と法の支配という側面から、ドイツと欧州は常に人々が目指したがる場所となる」と強調。さらに、急速に高齢化が進むドイツでは「労働力が不足し、合法的な移民が不可欠」だと主張している。


■ロシア、そしてプーチン氏との関係


またロシア語を話すメルケル氏は、ドイツ語を話すプーチン氏との長年の関わりについて自らの姿勢を擁護する一方、旧ソ連の情報機関KGB出身のプーチン氏に抱いている疑念も明かした。プーチン氏が首脳会談の際、犬嫌いのメルケル氏をからかうためか、愛犬のラブラドールを同席させたことに言及し、「常に警戒を怠らず、自分が不当に扱われることを恐れ、いつも攻撃姿勢を取っている。自分の権力をちらつかせるために、ふざけ半分に犬を使ったり、他人を待たせたりする」人物だと表現している。

一方で「さまざまな困難はあったものの」、「ロシアとの接触を断たず、貿易を通じて関係を維持したこと」は正しかったと主張。「ロシアは米国と並び、世界の2大核保有国の一つ」だという現実を忘れてはならないと強調している。


■エネルギー政策


さらに、ロシアによる2014年のクリミア半島併合後にロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2」を承認したことについては、当時、ドイツや多くの欧州連合(EU)加盟国の企業や消費者に、ロシア以外から高価な天然ガスを輸入する代替案を受け入れさせるのは「難しかっただろう」と主張。

2011年に日本で起きた東京電力福島第1原発の事故を受け、ドイツは再生可能エネルギーへの転換と原発の段階的廃止を行っていたため、天然ガスは移行エネルギー源として必要だったと述べている。

【翻訳編集】AFPBB News

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