娘を虐待・餓死させた女に終身刑 フランス
AFPBB News / 2025年1月25日 15時8分
【AFP=時事】南仏モンペリエの裁判所は24日、13歳の娘を虐待の末に餓死させた母親に終身刑を言い渡した。娘は長年虐待を受け、2020年8月6日に心臓発作を起こして死亡した。食事をずっと与えられておらず、身長155センチに対し、体重は28キロしかなかった。
サンドリーヌ・ピサラ被告(54)は、娘のアマンディーヌさんを虐待したとして有罪となった。判決によると、仮釈放の資格を得るまでに最低でも20年服役しなければならない。
判決はこの罪に対する最高刑。検察の求刑が、裁判官3人と陪審員6人の合議体によって認められた。
また、ピサラ被告の元パートナー、ジャンミシェル・クロ被告(49)は、アマンディーヌさんへのネグレクト(育児放棄)で禁錮20年を言い渡された。
クロ被告には仮釈放の可能性はない。検察が求刑した禁錮18年より重い量刑となったが、法定刑では最長で禁錮30年を科される可能性もあった。
ジャンマリ・ベニー検事はクロ被告について、「アマンディーヌさんが死ぬまで世話しなかった」「卑怯(ひきょう)な協力者」と非難した。
ピサラ被告は同日午後の最終陳述で、「子どもたちに謝りたい。それだけだ」「何も付け加えることはない」と述べた。
検視報告書によれば、アマンディーヌさんは極度に痩せ、筋肉量も極めて少なく、敗血症を患っていた。歯も数本失い、髪も抜けていた。窓のない物置部屋に何週間も閉じ込められ、食事も与えられていなかった。
ベニー検事によると、アマンディーヌさんは幼少期から、ほうきなどでたたく、殴る蹴る、小突く、髪を引っ張るなどの暴行を受ける他、たびたび怒鳴られ、言葉の暴力も受けていた。
ベニー検事はピサラ被告を「家庭内の暴君、家庭内の独裁者、アマンディーヌさんの処刑人」と呼び、最低20年は仮釈放が許可されない終身刑以外あり得ないと訴えた。
■元パートナーへの憎しみを娘の体に
モンペリエの南西にあるモンブラン村でアマンディーヌさんが死亡した翌日、ピサラ被告は取り調べに対し、アマンディーヌさんは摂食障害を患っていたと主張した。この主張は他の誰からも裏付けを取れていない。
ピサラ被告によれば、アマンディーヌさんが死の当日に口にしたのは、砂糖ひとかけら、フルーツピューレ少量、高たんぱく飲料だけで、その後、嘔吐(おうと)を始め、呼吸が止まった。
2021年3月から勾留されているピサラ被告は、ネイルサロンの経営者で、3人のパートナーとの間に8人の子どもがいる。
本件を担当する捜査判事は報告書で、アマンディーヌさんがピサラ被告から暴力を受けていたことは「疑いようがない」と指摘。「その唯一の目的は、アマンディーヌさんを恥ずべき、屈辱的な苦しみに引きずり込むことだった」と続けた。
さらに、アマンディーヌさんは幼い頃からピサラ被告の標的にされ、食事を与えられず、「罰としての書き取り」を延々とさせられ、監視カメラ付きの物置部屋に閉じ込められていたとしている。
精神鑑定によると、ピサラ被告はアマンディーヌさんの父親に対する憎しみを、アマンディーヌさんの体にぶつけようとしていたとされる。ピサラ被告は周囲の人々から、怒りっぽく、暴力的だと評されていた。
【翻訳編集】AFPBB News
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