オープンAI、中国企業が米国のAI技術を模倣と指摘

ディープシークとオープンAIのロゴ（2025年1月29日撮影）。（c）Lionel BONAVENTURE/AFP

【AFP＝時事】生成AI（人工知能）「ChatGPT」の開発元である米新興企業オープンAIは29日、中国企業が自社の高度なAIモデルを積極的に模倣しようとしているとし、セキュリティー対策の強化と米国当局との緊密な協力が必要だと述べた。

中国の新興企業「DeepSeek（ディープシーク〈深度求索〉）」が開発した同名の生成AIは、欧米企業が投じている開発コストのごく一部で同等の性能を実現したと評価され、今週の金融市場にパニックを引き起こした。

しかし、ディープシークのその高い性能をめぐっては、ChatGPTなど欧米企業のAIモデルの能力をリバースエンジニアリングしたものだとして非難が巻き起こっている。

オープンAIの広報担当者は「中国を拠点とする企業やその他の企業が、米国の先端AI企業のモデルを常に蒸留しようとしていることを把握している」とAFPに語り、米国と中国の間でAI知的財産保護に関する緊張が高まっていることを指摘した。「蒸留」とは、他のAIの回答を活用する手法を指す。

また「今後、米国政府と緊密に協力して、競争相手や敵対する相手が米国の技術を奪おうとする試みから最高性能のモデルを保護することが極めて重要だと信じている」とした。

ドナルド・トランプ米政権でAIと暗号資産関連の政策を担当するデービッド・サックス氏は、米FOXニュースに対し、「ディープシークがオープンAIのモデルから情報を蒸留したという実質的な証拠がある」と述べた。

オープンAIは、蒸留のプロセスが利用規約に違反しており、さらなる試みを防止するために取り組むとしている。

しかし、オープンAI自身も、自社の生成AIモデルを訓練するために著作権で保護された資料を使用したとする問題を中心に、複数の訴えを起こされている。

こうした状況についてコーネル大学の上級客員講師ルッツ・フィンガー氏は、「蒸留はほぼすべての利用規約に違反するものだが、大手テクノロジー企業がそれを非難するのは皮肉であり、あるいは偽善的だ」と指摘。

著作権で保護された資料は「ChatGPTの訓練に役立ち、今はディープシークを助けている。知識は自由であり、保護するのは難しい」と付け加えた。

【翻訳編集】AFPBB News