世界は1.5度の温暖化時代に突入か 科学者ら指摘
AFPBB News / 2025年2月11日 19時19分
【AFP=時事】昨年の記録的な高温を受け、地球温暖化を観測する科学者らは、世界平均気温の上昇幅が産業革命前比1.5度以上で推移するという、現生人類が経験したことのない新時代に突入した可能性を指摘している。
温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」は、産業革命以降の平均気温上昇を2度未満に抑制することを掲げ、さらに1.5度未満を努力目標としている。
1.5度という基準値は一見小さな数字に思えるが、さらに温暖化が進めば、洪水、熱波、暴風雨の深刻化に加え、海面上昇や生物種の絶滅の進行に結びつくリスク指標となっている。
オレゴン州立大学のウィリアム・リップル教授は「この基準値をわずかに超えるたびに、異常気象、生物多様性の喪失、人的被害が増していく」と述べた。
世界気象機関(WMO)によると、2024年は観測史上初めて、1年間を通じて気温上昇幅が1.5度を超えた年となった。
英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジには10日、24年の観測に基づき、新時代に入った可能性を示唆する二つの研究が発表された。
ドイツとオーストリアの研究チームは、過去の気候パターンから、気温上昇幅の閾値(しきいち)を超えた最初の年は、より長期的な20年周期の温暖化傾向の一部である可能性が高いことを明らかにした。
カナダ環境・気候変動省による別の研究でも、同様の結論に至った。同省のアレックス・キャノン氏は「中程度のシナリオでは、2024年の一時的な1.5度超過から、長期的な超過が2029年以前に起きる可能性が高いことが示唆される」と述べた。ただし、今後数年間の気候要因が、そのタイミングに大きく影響を与えていくと強調した。
国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の専門家は、2030年代初頭に1.5度の上昇幅を超える可能性は五分五分だとしている。
上昇幅が1.5度の世界では、サンゴ礁が70~90%減少し、陸上生物の約14%が絶滅の危機に直面するとIPCCは予測している。
また上昇幅が1.5~2度に達すると、北極海の海氷やメタンを含む永久凍土、そして海面を十数メートル上昇させる量の水が凍結している氷床が、不可逆的な臨界点を超える可能性がある。
オレゴン州立大のリップル氏は「迅速に対策を講じない限り、2024年は異常な年としてではなく、リスクが高まり続ける新たな気候時代の始まりとして記憶されることになるだろう」と警告した。
【翻訳編集】AFPBB News
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