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「オレが鍛えてやる」と言われて即決…「スピード離職」経験者が振り返る配属ガチャ、上司ガチャ

オールアバウト / 2024年5月9日 22時5分

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4月に入社したばかりの新入社員の「スピード離職」が話題になっている。実際に配属ガチャや上司ガチャに悩み、退職した人たちの声を紹介しよう。

入社初日に退職する「スピード離職」が話題になっている。自分の希望がまったく配慮されていない配属先に、会社への不信感が募ったという。

初日はともかく、「石の上にも3年」という言葉は、就職に関しては今は昔の話。ブラック企業だとわかればすぐ逃げろ、心身を壊してまでやる仕事はないというのが定説だ。

配属後1カ月で離職した24歳女性の場合

昨年春、就職したものの4カ月で離職したというエツコさん(24歳)。最初の3カ月は研修期間で、同期と苦労をともにしたこの時期は有意義だったと感じているそうだ。

「ところが配属先が、私の希望とまったく違っていて、しかも顔を合わせた上司の最初の一言が『すぐにでも戦力になってほしい』というもの。これ、新入社員にはプレッシャーでしかない。その上司に『なぜ私がこの部署だったんでしょう』と聞いたら、『使えそうだったから』って。

戦力だの使うだの、まあ、結局、会社員はただの“駒”ですよね。わかってはいるけど言いようがあるんじゃないのと思いました」

配属初日から上司に不信感を抱いてしまったエツコさん。実際に仕事を教えてくれた指導社員は、彼女のプレッシャーを和らげようとしたのだろう。「まあ、慣れれば誰にでもできる仕事だし、言われたとおりにやっていれば大丈夫だから」と適当なことを言った。

「当時は私も神経過敏になっていましたから、誰にでもできる仕事なら私でなくてもいいじゃんと思ったし、上司の言葉と合わせて、使える駒で誰にでもできる仕事を早くやってくれる人材がほしかったんだと理解しました」

最初に与えられた仕事は確かに簡単で、彼女はすぐに次のステップへと進んだ。指導社員は「無理しなくていいから」「頑張りすぎないで」と言うが、それは自分を無能だと思っているのかとエツコさんを傷つけた。

「君は使える」「オレが鍛えてやる」は嫌

「そして1カ月ほどたったころ、例の上司に『君は本当に使える。オレが思い切り鍛えてやるから頑張ってほしい』と言われて退職しました。上司個人に鍛えられるなんて嫌でしたから。

1カ月、部署内を観察していると、みんながその上司の言いなりという雰囲気で、通常の社員にはほとんどやる気が感じられない。というか部署内が暗いんですよ。まとまりもないし、やりがいを感じさせる出来事もない。すぐに退職届を出しました」

研修期間に学んだことは大きかったから、いい会社だったとは感じている。ただ、配属先が悪すぎた。自分には合わなかったのだ。サラリーマンで楽したいわけではなかった。自分でなければできない仕事を、一生かけてやっていきたかった。

「やりがい搾取なんて言われるけど、そのやりがいさえ私にはなかった」

半年後、彼女は今の中堅企業に再就職。収入は減ったが、チーム単位で上司と部下の明確な区別もなく、言いたいことが言える環境に満足している。

配属ガチャ→新卒1年で辞めた33歳の後悔

「私もかつて、新卒で入った会社を1年足らずで辞めたんです。配属先が合わなかったのが原因で、結局、大学の恩師の手伝いをしながら大学院に進みました」

カナさん(33歳)は、10年前をそう振り返る。現在も大学で教鞭をとるかたわら、研究所の職員として自らの研究も続けている。経済的には決して楽ではないが、「好きなことをしている」実感があるという。

「ただ、かつての会社で親しくなった同期に聞くと、私と同じように配属ガチャで苦しんだ彼女、3年目に希望の部署に異動になって、毎日がものすごく楽しいって。私ももうちょっと我慢していたら、そうなれたかもしれない。

ある先輩も最初の部署で頑張って5年後に昇進、その後、大きなチャンスを与えられて成功、今は社内でも若手のホープとして期待されているそうです。ガチガチの社風だと思っていたけど、そんなことはなかった。頑張った人は認めてもらえる。私はそこまで至らないうちに辞めてしまったんですよね」

そこは後悔しているとカナさんは言う。今もあの会社にいたら、どうなっていただろうかと想像すると悔しくてたまらない夜もある。

あの頃の私は、あれ以上頑張れなかった

「ただ、あの時点で私はあれ以上頑張れなかった。頑張る量って個人差が大きいと思うんです。我慢の限界の個人差も大きい。私は本当に好きなこと以外にはキャパが狭いタイプなんでしょうね」

だが、この先何があるかわからないのが人生だ。いくつになってもチャンスもリスクも降ってくる。何をどうキャッチして生かしていくかは自分の裁量となる。あの時点で頑張れないと思ったのなら、後悔している暇はない。

「そうですね。みんなそれぞれの道でやっていくしかない。辞めたことが問題ではなく、その後どうするかが重要なんでしょうね」

仕事に何を求めるのか。人は一度仕事に就いてみて初めて、リアルにそれを自問するようになるのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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