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64歳一人暮らし、貯金は900万円。毎月、貯金を取り崩しています

オールアバウト / 2024年5月26日 22時20分

写真

体調不良で働けず、収入が少なく、貯金を毎月取り崩しているという64歳の一人暮らし女性。今後の生活が不安だといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

ローン完済を機に新たに別の仕事を始めましたが、生活できる収入になりません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、体調不良で働けず、収入が少なく、貯金を毎月取り崩しているという64歳の一人暮らし女性。今後の生活が不安だといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

シンデレラさん(仮名)
女性/パート/64歳
中国地方/持ち家(マンション・集合住宅)

家族構成

一人暮らし

相談内容

一人暮らし。息子2人は結婚し独立。マンションのローンは完済。ローン完済を機にそれまでの仕事を辞め(この時点で貯金額1300万円)、新たに別の仕事を始めましたが、生活できるまでの収入になりませんでした。

パートにいくものの、体調を崩し辞めることに。現在もアレルギー治療継続中。その間、貯金を崩すことになり、このままだとこの先が不安です。

保険の見直しもしました。車のローンも完済して、自動車税、自動車保険、ガソリン代のみです。年金は国民年金。

現時点でどのようなことを考えておくことが必要なのか、将来に向けてできることは何があるのか、アドバイスいただきたいです。よろしくお願いします。

家計収支データ

シンデレラさんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「シンデレラ」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)収入5万円と働き方について(相談者コメント)
収入5万円は短期アルバイト代。アレルギーが原因でパートを辞め、その後は短期アルバイト。以前に勤めていたパート先で、忙しい時などに手伝うこともあります。

いつまで働くか、体力と相談しながらになりますが、体の続く限り働くことになると思っています。生活自体を切り詰めることは、これまでもしてきたことなので、平気です。ただ、気付いていない無駄な出費を知りたいです。

(2)年金について
厚生年金が年8万2697円、国民年金が年80万円くらい(65歳からの受給)

(3)住宅コスト3万5000円の内訳
・管理費:6400円
・修繕積立金:6020円
・駐車料:7500円
・水道費:2000円
・組合費:300円
・固定資産税:10万9100円(年額)

(4)支出の内訳
通信費:携帯電話費1万1000円、パソコン5000円、年19万2000円
雑費:美容院代2700円、年3万2400円
娯楽費:年2~3回映画(1回1200円)
ガソリン代:1万円、年12万円
他:衣服、事務用品など

娯楽費は削減してもいいと思っている、とのこと。

(5)現在かかっている病院の医療費
アレルギーの薬代が月5000円くらい。歯の治療費も現在かかっている。

(6)加入している保険について
・県民共済/毎月の保険料2000円
・傷害保険/年払い1万8500円
・医療総合保険/年払い8万1038円
・自動車保険/年払い10万5160円

(7)今後の暮らしと生活費について(相談者コメント)
私は地方、2人の息子は東京で生活しているため、同居は考えておりません。地方で健康に気を付けて、一人暮らしが続けられることを願っております。

いざという時は、多少の援助はあると思いますが、継続してというのは難しいと思っています。

どのタイミングで考えるのがいいのかがわかりませんが、マンションを賃貸(家賃10万円)に出して、安いところに移ることも視野に入れています(ただ、高齢者に部屋を貸してくれるかどうか……)。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:何にいくら使っているのか、手書きの家計簿をつけることから
アドバイス2:治療に専念し1年休み、その後は年金+月6万円の収入で生活
アドバイス3:家族に頼れることは頼る。手続きなど複雑なものはお願いしてもいい

アドバイス1:何にいくら使っているのか、手書きの家計簿をつけることから

病気治療で思うように働けないのは、仕方のないことですが、今の生活を続けていけば、4~5年で預貯金はゼロになってしまいます。支出をできる限り抑えるしか、今のところ方策はない状態です。もう、まったなしで、手を付けられるところから節約していきましょう。

まず、毎月の生活費と年払いのものが混在しているため、年間でいくら支出しているのか把握できていないのではと思われます。毎月の生活費も、何にいくら使っているのか、ご自身もよくわかっていらっしゃらないのではありませんか?

今さらかもしれませんが、家計簿をつけて、毎月の支出はシビアに管理してください。とりあえず3カ月続ければ、無駄な支出も見えてくると思います。

あらためて、シンデレラさんの支出を整理すると、以下のようになります。

●支出:合計17万5220円
住宅コスト:1万4720円(管理費、修繕積立金、水道費、組合費)
車両費:1万7500円(ガソリン代+駐車場代)
食費:4万円
電気料金:1万円
通信費:1万6000円
趣味娯楽費:1万8000円
教育費:2000円
小遣い:5000円
雑費:3万円
保険料:2000円(共済)
個人年金保険:2万円

●年払いでの支出
固定資産税:10万9100円
傷害保険:1万8500円
医療総合保険:8万1038円
自動車保険:10万5160円
自動車税:不明

年間支出合計:241万6438円

年間で240万円以上の支出があるので、1年後には預貯金は660万円に、65歳から年金が年間72万円程度だとしても毎年170万円の赤字。預貯金は4年持ちません。

支出で削減できる費目を見ていきましょう。

まず、保険ですが、個人年金保険を昨年から始められたようですが、貯金を取り崩してまで入るものではありません。解約してください。

傷害保険も解約。自動車保険でカバーできる保障もあります。その自動車保険ですが、かなり保険料が高いように思います。ネット通販型の自動車保険で割安に加入できるものもあります。そうした見直しをするようにしてください。

医療総合保険も県民共済と重複しています。最近入られたのか、保険料も割高。県民共済で十分で、解約していいと思います。

次に、通信費。携帯電話(スマホ)も格安なものがあります。特に仕事で使っているわけではなく、1万6000円の通信費は高いと思います。

以上の、保険と通信費は、一度見直せば、ずっと節約することができます。特に保険は年払いのものが多く、貯金が急速に減っていく要因にもなります。ぜひ、見直し、解約を実行してください。

さらに、趣味娯楽費、教育費、家族の小遣い、雑費を合計すると5万5000円になります。これは何にいくら使っていますか?

雑費には医療費も含まれていると思いますが、5万円程度は、言ってみればシンデレラさんの小遣い、ということではないでしょうか?

ここは、本当に必要な支出なのか、ひとつひとつチェックし、毎月の上限額を決める必要があるでしょう。

アドバイス2:治療に専念し1年休み、その後は年金+月6万円の収入で生活

これまでの生活から、思い切った節約生活に切り替えなければならないのは、大変だと思います。

まずは、この1年は治療に専念するとして、その間に生活の見直しをしてほしいと思います。1年後、月6万円程度の収入を得るように働き、年金6万円と合わせて、毎月12万円の生活にしないといけないのです。

これは本当に厳しいと思いますが、年払いの固定資産税や自動車保険、自動車税がある以上、貯蓄からの取り崩しは、最低限に抑えないとなりません。

いずれ自宅を賃貸に出して、と書かれていましたが、思惑どおりになるとは限りません。今できるのは、確実に生活コストを下げることです。

最後は食費を削る、車を手放すことになってしまいますが、そこまでするとストレスになりますから、大きな金額のものを減らす努力をしてください。

通信費を1万円程度に抑え、個人年金保険の2万円の支払いがなくなれば、基本の生活費は約9万5000円。残り2万5000円が趣味娯楽費、雑費となります。

アドバイス3:家族に頼れることは頼る。手続きなど複雑なものはお願いしてもいい

2人の息子さんは結婚、独立されたとのこと。息子さんを育て上げ、住宅ローンも完済、車のローンもない。これまで、しっかりと生活され、特に問題もなかったのは、これだけの支出をまかなえるだけの収入を得られていたからでしょう。

でも、今は今です。息子さんに経済的な援助を受けたくない気持ちはわかりますが、今は、頼っていい時ではないでしょうか?

もしも、金銭的な部分で頼れないということであれば、せめて、通信費や保険の見直しについては、息子さんに相談に乗ってもらったらいかがでしょうか?

こういうことは、若い男性は得意とするところですから、ネットで調べてもらったり、手続きのヘルプをお願いしてもいいのではないでしょうか? 息子さんなんですから。

厳しいことを言いましたが、本当に今のままでは、生活が立ち行かなくなります。1日でも早く、支出の見直しに取り掛かってください。応援していますよ。

相談者「シンデレラ」さんから寄せられた感想

先生のアドバイスをいただき、自分の見通しの甘さを知ることとなりました。何となく、何とかなる、これまでも、その場その場をしのいで、なんとかここまできたという感じです。

仕事柄、出費の多い生活をして過ごしておりましたので、その生活習慣が抜けていないと、反省しました。

手書きの家計簿……毎月きちんとつけています。つけてはいますけど、使ったものをきちんとつけているだけで、そこから将来に向けての計画的なことは余りにもザックリでした。

マンションのローンを返すことしか計画してなかった……。それと、学費と生活費だけで、いっぱいいっぱいだった(仕事を続けていけば、ローンと学費が終われば、そこからそれで何とかなると……)。安易でした。

年払いにすると安くなる……と思い、年払いにしておりましたが、今は毎月の収入がないわけですから、まずは毎月の支払いがちゃんと把握できるようにしなければいけないと思いました。通信費の見直し、保険の見直しが必要であるということ。

今まで仕事の必要経費での交際費を多く使っていた習慣も抜け切れず、人との関わりを続けていく上で必要だとも思いますが、おごったり、手土産としての出費も多すぎると思います。

私自身が現実を伝えてない(伝えにくい)こともあって息子達も、これまでの母親の生活ぶりの延長線で、母親を見ていると思います。

しかし、現実に目を向けて、生活の見直しをしていかないと、困るのは目に見えています。アドバイスの通り、通信費、保険の見直しについては息子に相談してみようと思います。ありがとうございました。

わけがわからず不安になっていましたが、具体的にしていただいたことで、1つずつ整理していけると思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

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