Q. 毎朝起きるのがつらいです。どうすれば朝に強くなれますか?【脳科学者が回答】
オールアバウト / 2024年5月29日 20時45分
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「毎朝起きられない」「起きるのがつらい」「夜型だから朝に弱い」といったお悩みはありませんか? 朝がつらいのは、実は人間の体のしくみとして当然です。無理なくできる、朝起きるのがラクになるコツをご紹介します。
Q. 朝起きるのがつらいのは病気ですか? どうすれば改善できますか?
Q. 「春から部署が変わったので、もともと夜型なのですが、朝早めに出勤して新しい仕事を覚えたいと思っています。でもどうしても起きるのがつらく、毎朝ベッドでぐずぐずしてしまいます。情けないのですが、毎朝遅刻ギリギリの出社です。特に食欲が落ちているとか、むなしいといった、五月病やうつ病のような症状はありません。とにかく朝起きるのが苦手なのです。こういう病気はありますか? どうすれば改善できるでしょうか?」
A. 人間の体のしくみとして、当然です。「光」を味方につけましょう
新しい環境に慣れるまでは、体や心にストレスが生じ、知らず知らずのうちに調子を崩してしまいがちです。疲れていると感じたら、頑張りすぎないように過ごしましょう。朝起きるのがつらいとのご相談ですが、ご安心を。朝に起きられないのは実はみんな同じで、人間の体のしくみとして当然であることを示す証拠があります。
私たちが生活する今の地球は1日24時間サイクルで、日中は明るく、夜は暗くなります。しかし、明暗の変化がない場所、例えば1日中ずっと薄暗い室内などの環境で過ごすとどうなるでしょうか? それを試した実験があります。
この実験によると、眠った時間帯が、1日目は夜10時~朝7時だったのが、2日目になると夜11時~朝8時、3日目になると夜0時~朝9時と、およそ1時間ずつずれていったと報告されています。一週間後には寝るのが朝方、起きるのが昼過ぎと、完全に昼夜逆転してしまったのです。
このことから、私たちの体に備わった「体内時計」はもともと「25時間くらい」だということが分かったのです。本来の体内時計が25時間なのに、それを無理やり24時間に修正しなければならないのですから、つらくなるのは当然ですね。
でも、今の地球と社会は24時間サイクルで回っているわけですから、自分だけ25時間で生活するわけにもいきません。どうすれば、より負担なく24時間に合わせられるでしょうか? ここで重要な役割を果たしているのが「光」です。
上の実験には続きがあります。覚醒と睡眠のサイクルが完全に昼夜逆転してしまった人に、朝になったらしっかりと日光をあびさせ、夜は明かりのない環境で過ごさせるようにしました。すると、次第にサイクルが正常に戻り、夜暗くなると眠くなって睡眠に入り、朝の日の出とともに目覚めるようになったのです。
ここで重要なのが、脳の中の「松果体(しょうかたい)」という部分で産生・分泌される「メラトニン」というホルモンです。このホルモンは体内時計を調節して睡眠を促す役割を果たしています。
また、松果体は目の神経と間接的につながっていて、目に光が入るとその情報が松果体に伝わり、メラトニンの産生・分泌が抑制されるようになっています。そのため、日中の明るい環境ではメラトニン量が低下して睡眠が起きにくく、夜の暗い環境ではメラトニン量が増加して眠りやすくなるのです。
明暗の変化が少ない環境で過ごしていると、メラトニン量のリズミカルな増減がなくなるので、もともと体内にある25時間サイクルで覚醒と睡眠が繰り返されることになってしまいます。一方、しっかりと日中に光を浴びて、夜は暗い中で過ごすようにすれば、メリハリのあるメラトニン量の変動が形成され、覚醒と睡眠が自然とできるようになるのです。
ちょっとつらいなと思っても、朝になったらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を思いっきり浴びましょう。また、夜は、遅くまで明るい照明などのある環境で過ごさないようにできるだけ心がけ、ちゃんと部屋の電気を消して寝ましょう。「太陽の光」と「メラトニン」が、あなたの体を自然と24時間サイクルに合わせてくれますよ。
阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))
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