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「こんなことを言ったら叱られるかもしれませんが」 ミン・ヒジン VS HYBEを見て20代編集者が思うこと

オールアバウト / 2024年5月29日 21時45分

「こんなことを言ったら叱られるかもしれませんが」 ミン・ヒジン VS HYBEを見て20代編集者が思うこと

K-POP業界は今、大きく揺らいでいる。大手事務所HYBEと傘下レーベルADORの代表で、NewJeansのプロデューサーであるミン・ヒジンさんが背任問題を巡り大バトル中だ。アーティストやファン、法廷を巻き込んだ泥沼の争いを整理する。※サムネイル写真:YONHAP NEWS/アフロ

M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
今回のテーマは、韓国国内はもちろん、日本や海外のメディアをも揺るがしている「HYBEグループの内紛問題」について。

HYBEの経営陣と傘下レーベルADOR代表でNewJeansのプロデューサーとして知られるミン・ヒジンさんが背任問題を巡り、アーティストやファン、法廷を巻き込んで大バトル中。複雑かつ、まだ行く末の見えないこの事件について、現時点でのまとめと背景についてお話しします。

K-POP業界が今、大きく揺らいでいる

ADOR代表でNewJeansのプロデューサー、ミン・ヒジンさんは4月25日に緊急記者会見を行った ※写真:YONHAP NEWS/アフロ
編集担当・矢野(以下、矢野):K-POP業界を揺るがす事件が起きてしまいました。現在進行形で続いているHYBEとミン・ヒジンさんの争いについてお話ししたいです。

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):論点が多く、10人いれば10人なりの見方が出てくるような状態で、全く先が予想できません。もう少し状況が見えて落ち着いてからお話ししようかとも考えたのですが……。

矢野:日本でも報道されていますし、多くの記事が出ています。なのに、なぜかイマイチ全体像がつかめずモヤっとする部分があるんです。なので、“現時点での整理”をやっておきたいなと思いました。個人的にはSMエンターテインメント(以下、SM)のお家騒動のほうが分かりやすかったんですよ。

ゆりこ:(SMの場合は)登場人物や関わる企業は多かったものの、結局のところ「次の経営者(大株主)は誰になるのか?」という着地点が明確でした。でも今回は、単なる社内のもめ事だったはずが、かなり広範囲に延焼しています。そしてK-POP業界全体にも関わる解決すべき問題も提起されている。

「HYBE VS ADOR代表 ミン・ヒジン」これまでの流れ
4月22日:韓国メディアがADOR代表ミン・ヒジンさんの「背任疑惑」を報道。

4月25日:HYBEがミン・ヒジンさんを「背任容疑」で告発すると発表(※告発は翌日)。同日の夕方にミン・ヒジンさんが弁護士と共に緊急記者会見。

5月7日:ミン・ヒジンさんがHYBEを相手に議決権行使を禁止する仮処分を申請(※一方的な解任を防ぐため)。

5月17日:7日に申請された「議決権行使禁止仮処分」に関する結論が出ると言われていたものの先送りに。裁判所は両者へ追加の資料提出を求める。

5月18日:NewJeansメンバーが裁判所に「嘆願書」を提出したことを発表(提出は前日17日、詳細な内容は非公開)。

5月19日:NewJeansメンバーの親たちがエンターテインメント業界の問題に強い専任弁護士を選任したと報道(実際に選任したのは14日)。

5月22日:「コピー疑惑」を指摘されたグループが所属するHYBE傘下レーベルBELIFT LABがミン・ヒジンさんを「名誉毀損(きそん)」で告訴。

矢野:まずはHYBE側が「ミン・ヒジンさんが独立を仕組んでいる、背任行為だ」と訴えたのが発端ですね。

ゆりこ:はい。第1の争点は「ミン・ヒジンさんが背任行為を働いたのかどうか」です。ここについてはすでに告訴されている状態なので、司法の判断に任せるほかありません。現在、ミン・ヒジンさんとADORの役員が持つ株は合わせて20%。本当に“乗っ取る”ためには、株の過半数を手に入れなければいけません。しかし、実は残る80%の株の持ち主は……HYBEなんです。

矢野:えっ? ではHYBEが彼女に株を売らない限り、ADORを独立させることは無理なのでは?

ゆりこ:そうなります。そんな状況で「独立を図る」というのは、一体……という純粋な疑問が出てきます。HYBEはADORに社内監査を入れた結果、「脱・HYBE」を計画していた証拠資料が見つかったとしていますが、ミン・ヒジンさんは会見で「個人的に書き記したメモレベルの内容」と否定していました。

矢野:どこまでが法的に認められる“証拠”と言えるのか、ですよね。そして最新の報道ではミン・ヒジンさんが韓国のインターネット企業・NAVERなどに買収の相談をしていたとか何とか……。

ゆりこ:はい。HYBE側から、ヒジンさん側が他社へADORの買収を持ちかけていたのでは?という情報が出てきました。これまでは「現状のままでは背任での立件は難しい」と言われていましたが、少し風向きに変化があったようです。そこへ加えてNewJeansメンバーや親たちも出てきました。ミン・ヒジンさんを擁護すべく、弁護士をつけて嘆願書を裁判所に提出。さらにはミン・ヒジンさんが記者会見で「NewJeansのコピーだ」と指摘したグループのレーベルが名誉毀損で彼女を訴えまして……。

矢野:登場人物がどんどん増えている。メンバーやその親御さん、他レーベルまで出てきて、事態はさらに複雑化していますね。

ゆりこ:そうなんです。今回はいったんパクリ問題については置いておくとして。いずれにしてもNewJeansの今後を大きく動かすのは、ミン・ヒジンさんがHYBEを相手取って起こした「議決権行使禁止仮処分申請」が通るかどうか。今月末までに裁判所のジャッジが下る予定です。却下されればおそらく解任は免れず、通ればHYBEはヒジンさんを簡単に解雇できなくなります。

矢野:本当にドロドロですね。ただ1番腑に落ちないのは、NewJeansを世界的人気グループに育て、HYBEグループに利益をもたらした貢献者を、なぜそこまでして血祭りに上げたのかという点です。アーティストにも悪影響を与えますし、実際に複数のグループにも飛び火しているじゃないですか。

暴露合戦から透けて見える「人間関係のこじれ」

ゆりこ:今回の件だけではなく、この4カ月ほどHYBEの株は下落傾向だったんです。そこにさらなる打撃で大暴落。さらにNewJeansのカムバ(新曲発売)を控える大事な時期になぜ? とも思いますよね。繰り返される暴露合戦からは根深い“恨み”の感情が読み取れます。

矢野:どんなにお金を稼いでくれる人でも、いくら報酬をくれる会社でも、「これ以上一緒にやるのは無理」という“人間関係のこじれ”がベースにあるということですね。お金で目をつぶれる域を超えてしまったと。

ゆりこ:SMのお家騒動のときも、創業者と後継者であったおいの間にいろいろな感情が渦巻いていたかと思いますが、重要な目的は「SMを立て直す」「改善させる」ことであって、あくまでも会社を主語にした騒動でした。ただ今回はもっと私的な感情やプライドに重きを置いた争いに見えてしまう。ミン・ヒジンさんの会見の中でも、それを象徴するような韓国のことわざが出てきました。

「여자가 한을 품으면 오뉴월에도 서리가 내린다
女が恨みを抱けば、5、6月にも霜が下りる
=(初夏に霜が降りるほど)女の恨みは怖い」

矢野:そんな言葉があるんですね。一方で内部告発の話も出ていましたが。

ゆりこ:はい。ミン・ヒジンさんは記者会見で、HYBEグループ内の“悪い慣習”について内部告発したことが、ADORに監査が入るきっかけだったと話していました。自分のプライドやNewJeansだけではなく、業界の未来も守りたかったという主張です。

矢野:HYBE側の言い分を見ると、アーティストを守ろうという確固たる “目的意識”よりも、経営陣たちの命令に従わず、意見してくる人間を処罰したいという憤りが見え隠れします。一方、ミン・ヒジンさん自身が言っていた通り「雇われ社長」である限り、全て好き勝手にできないのも仕方ないのかな、と思ったり。全部自分のお金とパワーで成し遂げたのなら自由にできますが……。

ゆりこ:それも一理あります。ネット掲示板にHYBE本社の社員だという人たちが匿名で書き込んだ内容が韓国で報道され、話題になっていました。HYBE側のスタッフがいかにNewJeansのために予算やパワーを使って頑張ってきたか、裏で必死に働いてきた人たちの苦労や貢献を無視しないでほしいという声です。

矢野:確かにHYBE側で頑張ってきたスタッフがミン・ヒジンさんの会見を聞いたら、悲しい気持ちになるでしょうね。やはり、実質的には「HYBE」というより「HYBEトップ(代表取締役社長と取締役会長)の2名」VS「ミン・ヒジン」という構図なのだと思うんです。こんなことを言ったら叱られるかもしれませんが、僕には“大人たちによる子どもっぽいけんか”に見えて仕方ない。

ゆりこ:矢野さんの口から本音が出てしまった(苦笑)。10代、20代の人からすれば、お金も地位もキャリアもあるいい歳の大人たちが、未成年も含むアーティストまでも巻き込んで一体何を……というのは至極真っ当な意見だと思います。実は韓国でも徐々にこの件の報道は減少傾向にあります。互いにこれ以上の暴露合戦は今後の裁判に影響が出ると踏んだのか。いずれにしても、韓国の知人たちは口をそろえて「HYBEのニュースにはもう食傷気味」と言っていました。

矢野:ファンの見えない水面下で、トップ同士が長い間もめてきたことは分かりましたが、ここに至るまでのコミュニケーションに不足があったように感じます。どうにか社内の会議室の中だけにとどめて、収拾をつけられなかったのだろうかと。公にしなければ、傷つかずに済んだ人もいたのではないでしょうか。僕は1人のK-POPファンとして、また純粋にK-POPを楽しめるような環境になってほしいと思います。まあ、今さら言っても仕方のない理想論できれい事ですが。大人の事情があることも十分に理解しているつもりです(偉そうなことを言ってごめんなさい!)。

ゆりこ:話し合いすら不可能なほど大きな亀裂が入っていたのかもしれませんが、家族経営の中小企業ならまだしも、HYBEは世界的に名の知れた上場企業ですからね。5月15日にはついに韓国公正取引委員会によって「大企業集団」に指定されました。エンタメ企業として初めてのことです。韓国経済をプラスにもマイナスにも動かしうる存在として、さまざまな情報の公示義務が発生します。社内紛争をダラダラ続けてはマズイ状況です。

矢野:この件の大元であるミン・ヒジンさんの「内部告発」の内容も気になります。

ゆりこ:そうですね。まずは裁判所がどのようなジャッジを下すのか、その動向を見守りましょう。

【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやメンズファッション記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)。
(文:K-POP ゆりこ)

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