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相次ぐK-POPアイドルの「事務所独立」 背景にある“アーティスト側の事情”とメリット・デメリットとは

オールアバウト / 2024年5月29日 22時30分

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最近、所属グループは脱退することなく、ソロ活動は他事務所に移籍して行うK-POPアーティストが増えています。その背景にあるアーティスト側の事情、ファンから見たメリットやデメリットとは。※サムネイル写真:アフロ

M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
今回のテーマは「K-POPアーティストの事務所移籍問題」について。近年、所属グループを脱退することなく、ソロ活動は個人事務所や別の事務所に移籍して行うK-POPアーティストが急増しています。その背景にあるアーティスト側の事情、ファンから見たメリットやデメリットなどについて解説します。

K-POPアイドル事務所独立の背景

デビュー時からのマネージャーと共に個人事務所「Company SooSoo」を設立したEXOのD.O.さん ※写真:アフロ
編集担当・矢野(以下、矢野):2023年末から今年にかけてBLACKPINK、SUPER JUNIOR、EXO、そして最近ではSHINeeの一部メンバーが、これまで所属していた大手事務所から独立するというニュースが相次いでいます。あくまでソロ活動についての話でありグループには在籍、グループ活動の際は今まで通り古巣を通じて活動するということですが……それでも気になる「独立問題」です!

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):もう少し具体的な背景についても触れていきたいと思います。特にBLACKPINKのYGエンターテインメント(以下、YG)は2019年に起こったバーニング・サン事件をきっかけに、影響力と求心力が弱化傾向にあったことは否めません。7年ぶりの新人ガールズグループBABYMONSTERで名誉挽回なるか?という感じですね。

※バーニング・サン事件とは
2018年にソウル市内のナイトクラブ「バーニング・サン」で起こった暴行トラブルを中心とした関連事件の総称。当時のBIGBANGメンバー(脱退済み)が関与しており、その後多くの人気歌手、アイドルたちによるわいせつ事件も発覚。YG等、関与していたアーティストの所属会社の株価が暴落、逮捕者が出るなど韓国の芸能界へ激震が走った。

矢野:SMエンターテインメント(以下、SM)は昨年の買収問題・お家騒動もありました。創業者も去りましたし、良くも悪くも社内に大変革が起きたことは想像に難くないです。

ゆりこ:古巣からの独立を決めたアーティストの理由やきっかけは個々で違うと思うのですが、会社の変化や信頼していたスタッフの退社、そして自分の進みたい方向性とのズレを感じた結果かもしれませんね。実際にアイドルだけではなく俳優さんも信頼しているマネージャーやスタッフと共に独立するケースが多いです。

矢野:EXOのD.O.さんもそのパターンですよね。気心知れたスタッフとなら、一歩踏み出しやすいでしょうね。ただ……僕は個人的にSHINeeのテミンさんのニュースを見たとき、正直「もったいない」って思ってしまったんです!(テミンさん、ファンの皆さんごめんなさい!)

ゆりこ:おっと、矢野さんから意外な意見。それはどういう点からですか?

矢野:テミンさんは“SMの顔”で、会社のお気に入りメンバーという印象が強いんです。ソロ活動の機会も十分与えられていたと思いますし、あえて会社を出る必要があったのかなと。ご本人の気持ちや事情を知らないまま、勝手なことを言っちゃってます!

ゆりこ:実は……私も今年SMを去ったメンバーの中でテミンさんが一番意外でした。東方神起のユンホさん、少女時代のテヨンさんと並ぶ“きっとずっとSM”の1人だと思っていた節がありました。

矢野:ご自身の変化だけではなく、環境の変化も一因になりそうですよね。ただ、真相はご本人にしか分からないとして、長年お世話になり慣れ親しんだ事務所から独立、移籍するメリットって何でしょうか? まず思い浮かぶのが収入面ですが。

著名アーティストが続々移籍……あえて大手事務所から離れるメリットは?

ゆりこ:独立して最初から多くのスタッフを抱えない限り、単純にギャラの取り分は増えます。あと個人のファンクラブを設立すれば安定的な収益も見込める。大きな事務所に所属していると、いくら収益を上げてもマージンなどの影響でそのまま自分のところに入ってくることはないですし、自分たちのグループが稼いだお金が後輩グループの宣伝費や新人育成費用に回されることだってある。かつては先輩の稼ぎから恩恵を受けて育っているので、企業のシステムとしては真っ当なのですが、結果を出して会社に貢献すればするほど不満がたまっていくこともあるでしょう。

矢野:仕事がデキる会社員が抱きがちなモヤモヤと似ている(笑)。一方で、大手企業で優秀な成績を上げていた営業パーソンが、独立した瞬間に売れなくなる話もよく聞くじゃないですか。仕事が減るリスクもありますよね? それとも勝算があるからこそ出られるのか。

ゆりこ:辞めてから大手企業の名が載った名刺のパワーに気付くってやつですね。実際に私も20代に同じような経験をしたことがあります(苦笑)。ただ、最近独立や移籍を発表した方々は世界規模で知られるビッグネームばかり。既存のファンクラブ会員数、ソロアルバムの売り上げ、ソロコンサートの動員数……確信まではいかずとも、きちんと計算した上でいける!とジャッジしたのだと思いますよ。

加えて、「社内の他グループとの兼ね合い、スケジュールを気にしなくていい」ということもメリットなのでしょう。特に大手事務所には先輩・後輩含め多くのアーティストが所属しています。カムバ(新曲発表)やツアーの時期も他グループの動きも鑑みて調整しなければいけません。よく大手事務所の年間予定が流出するたびSNSで拡散されますが、個々のアーティストの意思とは別のところで、戦略的にスケジュールが決められてしまう部分も大いにあるでしょう。

矢野:社内の仲間同士で潰し合ってはいけませんしね。芸能事務所に限らずその他の企業でも、全体的な戦略に合わせて社内で対応順を調整するのはよくあることだと思います。

ゆりこ:移籍先にもアーティストが多ければ、似たようなことは起きるかもしれませんが、独立に近い状態であれば、ある程度自由になる。

矢野:キャリアと年を重ねて、いろいろなことが見えてくると、これからは「自分で決めたい、選びたい」という気持ちが生じるのも自然なことです。

ゆりこ:これは韓国に限った話ではありませんが、グループや本人のイメージなどを考慮して、本人に知らされないままマネージャーやスタッフの段階で断られている仕事も多数あるそうです。例えば、さわやかなイメージで売り出し中のアイドルに残忍な殺人鬼役のオファーが来たとして……本人は演技に興味があって、知ればやりたがりそうな仕事でも、事務所としてはNOと言わざるを得ない場合もある。逆に本人がやりたくない仕事を入れられることも。 

自由の対価? 大手から移籍・独立したアイドルを待ち受けるデメリットとは

矢野:ここまでの話だと、大手から出る「メリット」の方が大きいように感じました。しかし、再契約をして残るメンバーもいます。移籍や独立の「デメリット」についても聞きたいです。

ゆりこ:メリットとして挙げた「お金」はデメリットにもなります。あるアイドルのメンバーが独立してみて「(ライブや音楽制作に)こんなにお金がかかるなんて驚いた」と話していました。うまくいけば入ってくる額も大きいですが、良いものを作ろうとすると出ていく額も大きい。

矢野:かといって、金策に走っているのがあからさまだと、ファン心も萎えてしまうので難しいところです。

ゆりこ:まさに。異常に高価なファンミーティングを開催したりするのはファンの心も離れる悪手です。だから最初は「投資」と腹をくくって外へ出る人もいるのではないでしょうか。あともう1つのデメリットは「マンパワー」の問題です。

矢野:大きな会社だとアーティスト本人が見えないところでも、多くのスタッフが手を動かしてくれているんですよね。中小事務所への移籍や独立をしてみて、これまでの大規模なプロジェクトや華やかなステージが安定した資本と人海戦術で成り立っていたことに気付く、と。大手企業からベンチャーへ転職した友人からも似たような話を聞いたことがあります。

ゆりこ:はい。なので一部K-POPファンの間で「独立してすぐはサービスにアラが出やすい」という意見がたびたび散見されます。新設ファンクラブでの対応や、ライブスケジュールの急な変更など、あれ?というトラブルが生じたりして、ファン目線からしても明らかにマンパワー不足なのだろうと感じることがあります。そしてスキャンダルにも要注意ですね。その善悪はさておき、大手であれば何とかもみ消してくれることも無きにしもあらずですから。

矢野:重いけれど丈夫で便利な防具を脱いで、自由を得るというイメージでしょうか。融通が利きやすくなる分、今まで以上に大きな責任を伴うのかもしれません。

ゆりこ:はい。どちらを重視するかは人それぞれ。違う選択をしたメンバー同士が、互いの考えを尊重しながらグループを守り続けようというのは、一歩進んだすてきな関係だと感じます。

矢野:長年会社やグループに貢献して頑張ってきたアーティストが、元の仲間や会社とも長年続けてきたプロジェクトに関わり続けながら自分のやりたいことを実現していく。そしてファンもホッとする。うまくいけば「三方良し」の選択ですね。

ゆりこ:今後、“成功例”が続いていくと良いですね。「魔の7年」という言葉よ、早く消えてくれー!

【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:韓国芸能&カルチャーについて書いたり喋ったりする「韓国エンタメウォッチャー」。2000年代からK-POPを愛聴するM世代。編集者として働いた後、ソウル生活を経験。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやメンズファッション記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)。
(文:K-POP ゆりこ)

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