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50万円を超えると老齢厚生年金が支給停止になる?在職老齢年金制度とは

オールアバウト / 2024年6月11日 8時10分

50万円を超えると老齢厚生年金が支給停止になる?在職老齢年金制度とは

厚生年金保険に加入しながら働く場合で、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)と給与などの合計が1カ月あたり50万円を超える場合には老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)は支給停止措置を受けます。どのようなケースで支給停止になるのか、その場合の支給停止額はどうなるのか、ケーススタディでみていきましょう。

老齢基礎年金と老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金は、給与収入がある場合でも受け取ることができます。ただし、厚生年金保険に加入しながら働く場合で、老齢厚生年金の月額と給与などの合計が1カ月あたり50万円を超える場合、老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金(以下、このコラムでは厚生年金等という)の一部または全部が支給停止となります。

これを在職老齢年金制度というのですが、この計算方法をみていきましょう。

老齢厚生年金等が全額支給されるケースと一部または全部支給停止されるケースをフローチャートでチェック

図のフローチャートにあるように、基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下の場合、支給停止を受けることなく全額支給されます。
在職老齢年金で支給停止を受けるケースと受けないケースのフローチャート(出典:日本年金機構より)
一方、基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円を超える場合には、

・(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2

という算式に基づき、老齢厚生年金等の一部または全部が支給停止を受けることがあります。

なお、ここでいう基本月額とは加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額を指し、総報酬月額相当額とは、(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12を指しますが、ここではザックリと以下の2点ということで、説明させていただきます。

・基本月額=厚生年金等の額面月額
・総報酬月額相当額=給与の年額を12で割ったもの

老齢厚生年金等を全額受給できるAさんの場合

まず老齢厚生年金等が支給停止されず、全額受給できるケースを見てみましょう。

ここで紹介するAさんのケースでは給与の額面月額は25万円、賞与は年間30万円です。老齢厚生年金等は月額10万円です。

●総報酬月額相当額の計算式
・(25万円×12カ月)+30万円=330万円
・330万円÷12カ月=27.5万円

この場合、総報酬月額相当額は、上記のように算定されるため、総報酬月額相当額は27.5万円としています。

●基本月額と総報酬月額相当額との合計の計算式

一方、老齢厚生年金等は月額10万円であることから、

・27.5万円(総報酬月額相当額)+10万円(基本月額)=37.5万円

と算定され、50万円以下であるため老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金を全額受給できます。
支給停止を受けず全額支給できるケースのイメージ図 (出典:日本年金機構)

老齢厚生年金等が一部支給停止となるBさんの場合

一方、老齢厚生年金等が一部支給停止となるBさんの場合を見てみましょう。

Bさんの場合、給与の額面月額40万円、賞与は年間120万円、老齢厚生年金等は月額14万円です。

●総報酬月額相当額の計算式
・(40万円×12カ月)+120万円=600万円
・600万円÷12カ月=50万円

と算定されるため、総報酬月額相当額が50万円となります。

一方、老齢厚生年金等は月額14万円であることから

●基本月額と総報酬月額相当額との合計の計算式
・50万円(総報酬月額相当額)+14万円(基本月額)=64万円

と算定され、50万円を超えるため、支給停止の措置を受けることになります。

支給停止金額は(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2という算式にあてはめると

・(64万円-50万円)÷2=7万円

在職老齢年金制度によって月額7万円の老齢厚生年金等が支給停止措置を受けるということです。
一部支給停止を受ける場合のイメージ図 (出典:日本年金機構より)
なお、両方のパターン共通ですが、在職老齢年金制度の影響を受けるのは、老齢厚生年金等だけなので、老齢基礎年金についてはAさんのパターンでもBさんのパターンでも全額受給できます。

またここで紹介した在職老齢年金制度ですが、この50万円という基準に引き上げられたのは2024年4月からです。2022年3月までは28万円、2022年4月から2023年3月までは47万円、2023年4月から2024年3月までは48万円でしたので、「人生100年時代」にあわせた制度設計といえるでしょう。

文:田中 卓也(税理士)

都内税理士事務所にて13年半の勤務を経て、開業。事業計画の作成・サポートを中心に、経営相談、キャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・事業承継対策など多岐にわたる業務をおこなう。
(文:田中 卓也(税理士))

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