40~50歳代と60歳代以上、それぞれの世代で感じる「長生きに対する不安とは?」
オールアバウト / 2024年6月11日 18時30分
![40~50歳代と60歳代以上、それぞれの世代で感じる「長生きに対する不安とは?」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_107351_0-small.jpg)
生命保険文化センターの「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の中にある「長寿社会において最も不安なこと」の結果では、40~50歳代と60歳代以上で不安と感じる項目に違いがあります。その理由を探ってみましょう。
内閣府がまとめた「令和5年度高齢社会白書」によると、日本人の「平均寿命」は、令和元年に男性81.41歳、女性87.45歳となっています。最近では、90~100歳まで生きることは珍しいことではなくなりました。
長寿は喜ばしいことですが、長生きになればなるほど多くの老後資金が必要……、身体が弱って病気にかかれば、さらに経済的な負担が増す……、などの「長生きリスク」を心配する人も多くいるようです。
今回は、公益財団法人生命保険文化センターが2021年6月に発行した「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」の中にある「長寿社会において最も不安なこと」の結果をご紹介しながら、長生きに対する不安について考えましょう。
長生きに対する不安は経済面よりも健康面の方が大きい!
まずは、老後が迫る40~50歳代以上と60歳代以上の「長寿社会において最も不安なこと」に対する結果をみてみましょう。長寿社会において最も不安なこと
![参照:生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/2/8/1/9/202403311807/20240331.jpg)
【40~50歳代】
・経済面(生活資金の不足等):39.9%
・健康面(からだの機能の低下等):28.7%
・健康面(もの忘れや判断能力等の低下等):23.7%
・生きがい:3.7%
・その他:0.8%
・不安はない:3.2%
【60歳代以上】
・経済面(生活資金の不足等):16.9%
・健康面(からだの機能の低下等):46.0%
・健康面(もの忘れや判断能力等の低下等):29.1%
・生きがい:2.6%
・その他:0.8%
・不安はない:2.6%
・無回答:1.9%
40~50歳代が長生きに対して感じる経済面の不安は「39.9%」ですが、60歳代以上になると「16.9%」に大きく減少します。
60歳代以上になると、老後に直面しています。経済面の不安については、公的年金の受給額にあわせて家計費を縮小したり、働いて収入を得たりと対策を打ち、結果的に「心配していたほどではなかった」という人が多いのかもしれません。
一方、健康面の不安については、40~50歳代はからだの機能低下と判断能力を合計すると「52.4%」ですが、60歳代以上になると「75.1%」にまで増えています。
誰でも高齢になれば相応に体力が衰えることは分かっているものですが、60歳代以上に不安が多いというのは、もしかしたら、思っていた以上に体力や認知機能に衰えを感じて不安に襲われていることの表れかもしれません。
若いうちから健康寿命を延ばす意識をもっておこう
これらの調査結果から健康不安に対処するとしたら、何をすればいいのでしょうか?冒頭で、日本人の「平均寿命」は、男性の場合が81.41歳、女性の場合が87.45歳とお伝えしました。
その一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる平均期間を指す「健康寿命」は、男性の場合が72.68歳、女性の場合が75.38歳です。
平均寿命から健康寿命を差し引いた年数は、男性が8.73歳、女性が12.07歳になりますが、この期間は日常生活に制限がある不健康な状態をさし、場合によっては他人の手助けなど介護が必要となります。
もし、長生きできたとしても、介護状態が長くなれば、楽しい・充実した人生とはかけ離れたものとなります。老後が、健康的で自立した生活となるよう若いうちから「健康寿命」を意識していくことが大切なのではないでしょうか。
健康長寿を目指す一方で「介護費用」の準備も忘れずに!
健康長寿を目指し、若いうちから運動を習慣化したり、バランスのとれた食生活をおくったりすることは基本といえます。そうはいっても、やはり介護が必要になることもあります。そんなとき、介護費用が準備できていなければ、経済面での不安が重なってしまいます。
生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度」によれば、平均的に要した介護費用や期間は以下のとおりです。
・住宅改造や介護用ベッドの購入などの「一時費用※」:74万円
・実際の介護のため月々にかかる費用※:8万3000円
・介護期間:約5年1カ月(61.1カ月)
※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む
目指すのは「ピンピンコロリ」かもしれませんが、こればかりは誰にもわかりません。将来困ることのないよう、介護費用は忘れず準備しておくようにしましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))
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