前向きすぎる「ポジハラ」彼女に別れ話。「きみに疲れた」→「大丈夫。私は疲れてない(笑)」
オールアバウト / 2024年6月7日 22時5分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_107410_0-small.jpg)
明るく前向きな性格は、一般的には魅力的な要素のひとつといえる。その裏で、度を越すと「ポジハラ(ポジティブハラスメント)」と避けられることもあるようだ。
タレントのアンミカが、「前向きすぎて、相手の言い分を聞かず、いなしてばかりいた」自らの恋愛を「ポジハラ」と表現しながらテレビのトーク番組で語り、話題になった。
最終的には「他に好きな人ができた」といってフラれたらしい。
彼女の前向きさは知られたところではあるが、一般的にも「前向き過ぎる人」が周囲を疲弊させたり、ときには迷惑になったりすることはあるようだ。
ポジティブすぎる同僚は「ポジハラ」認定かも
「職場で前の席に座っている同僚のチアキさん。明るくていい人なんだけど、根っからのポジティブ思考なんですよ。以前、後輩が仕事で大きなミスをしたとき『大丈夫よ、今度は気をつけようね』と言っていたけど、そんな慰めで済むようなミスじゃなかった。
周りはフォローのために奔走しているのに、よくそんなのんきなこと言ってられるなという感じ。後輩を元気づけようとしたんだろうけど周りが見えてない」
リカコさん(38歳)は、そのときのことを思い出したのか含み笑いをしながらそう言った。
前向きなのは悪いことではないが、TPOを考えないと周囲から浮いてしまう。
いつもとにかくマックスに元気!
「しかも彼女、朝からハイテンションなんですよね。誰もが同じテンションでいられるわけじゃないし、時には静かにじっくり考えたいこともある。でも誰かに呼びかけるときの声のトーン、受け答えするときのテンション、いつもとにかくマックスに元気すぎる。2年くらい前、私が恋人と別れて落ち込んでいた時期があったんです。
別れちゃいましたよと彼女に言ったら、『大丈夫、大丈夫』と翌日、自分の知り合いとの合コン話を持ってきた。いや、今じゃないですと思わず言ってしまいました」
どうして? 会えばいいじゃない、別れたら次の人、と思ったほうがいいわよとチアキさんは笑っていたという。
いい人なのだろうが、当事者の思いをきちんと読み取ることなく、先回りするお節介さが、リカコさんをうんざりさせた。
「だけどチアキさんに悪気はないんです。それはみんなわかってる。本人も『私、止まったら死んでしまう体質なの。とにかく前に進んでいたいのよね。そのためにはネガティブなことを考えている時間がない』と言う。
わかるんですよ、その気持ち。そうありたいとも思ってる。だけど世の中、いろいろな人がいるからみんなが彼女と同じように、同じ速度で前向きなわけじゃない。
結局、そういう視野の広さが彼女には欠けているんだろうなと思います」
今となっては、チアキさんは“そういう人だから”とみんなに諦められている面があるという。それはそれで少し哀しい。
前向きすぎるポジハラ彼女に疲れ
付き合っていた彼女が超ポジティブだったため、振り回されて疲れ果てたことがあると話してくれたのは、サトルさん(35歳)だ。30歳のときに友人が紹介してくれたマリさんは2歳年下で、サトルさんの好みのタイプだった。話してみるととても明るくて元気な女性。
「僕はどちらかというと引っ込み思案というか、押しの弱いところがあるので、『マリさんみたいな女性が合うと思う』と紹介してくれたみたいです。
ふたりきりで食事に行き、楽しかったから付き合ってほしいと言ってOKをもらいました。年齢的にも結婚を視野に入れた付き合いが始まったんです」
お互いに仕事が忙しいので、会うのはほとんど週末だった。会うと彼女はひとしきり仕事の話をする。今の仕事を成功させる、今度はもっと大きな仕事を勝ち取るとポジティブだ。
「僕は仕事で悩んだり苦労したりしているので、あなたはいつも前向きですごいねと思わず言ったんです。すると彼女、『仕事は自分の力で勝ち取って成功させるものよ。どんな手段を使っても』って。
ちょっと怖いなと思ったけど、まあ、そういう側面もあるよねと納得しました」
恋愛にもデートにもポジティブで疲れマックス
ところが彼女のポジティブさは、恋愛に対しても同じだった。何もしないデートは許されない。デートでどこへ行って何をするのか、綿密な計画を立てるのは彼の役目。仕事が忙しくて計画を立てられないと言おうものなら、「そんなのすぐできるでしょ。仕事遅いって言われない?」という言葉が返ってきた。
「じゃあ、自分でやってよと言ったら、彼女はどこへ行きたいかとリサーチをかけ、僕がたまには海を見たいなと言うと、見事なまでに海へのドライブデートを計画してくれたんです。
どこで何時にお茶を飲んでランチをするのか、どの道を通るのか、途中の美術館にちょっと寄る、ここで車を降りて散歩という細かなスケジュールでした。
彼女はそれをやり遂げて喜んでいたけど、僕はもうちょっと緩いスケジュールでハプニングを楽しみたかった。前向きはいいけど、詰め込みすぎじゃないかと言ったら怒られました」
半年も経つころには彼女との付き合いに疲れていたとサトルさんは言う。
今度の週末は家で映画でも観てのんびりしようと提案しても、彼女は「そんなの時間の無駄。映画なら映画館で観たほうがいいし、今、○○でやっている展覧会、おもしろそうだよ」とアクティブに動くことを提案してくる。
「最後はごめん、もう疲れたわと別れを示唆したのですが、彼女は『体調コントロールも自分の責任だからね、大人なんだから』と説教じみていました。
そうじゃない、きみに疲れたんだよと言うと、『大丈夫。私は疲れてないから』と(笑)。前向きも度を超すと鈍感ということなんだと思ったのを覚えています」
マリさんと別れたあと、彼は「ほどほどに前向きで、ほどほどにくよくよする、自分と似たような女性」と付き合い始めたそうだ。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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