「私、あなたよりモテるわよ」って…美しい「アラ還」実母が“美をまき散らし”困っています
オールアバウト / 2024年6月13日 22時5分
![「私、あなたよりモテるわよ」って…美しい「アラ還」実母が“美をまき散らし”困っています](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_107798_0-small.jpg)
「美しいアラ還著名人」が話題だが、今どきの一般「アラ還女性」もまたアクティブで美しい。しかし、家族にしてみれば、モヤモヤすることもあるようで……
黒木瞳さん(63歳)や君島十和子さん(58歳)ら、「美しいアラ還著名人」が話題になっている。一般的にも、かつての60歳と今の60歳、比べようもなく今はみんなきれいで若々しい。
母親が「きれいなアラ還」でモテモテ
「うちの母、62歳になるんですが、つい先日も絵画教室で、一緒に習っている10歳年上の男性に“告白”されたんですって。でも怒ってるんですよ。『あんなおじいさんと私が付き合うとでも思っているのかしら』と。さすがバブル世代の女ですよね(笑)」そう言って苦笑するハルカさん(35歳)。5年前にハルカさんの父が亡くなり、それ以来、母は水を得た魚のように生き生きと世間を泳いでいるという。
「両親は仲がいいように見えたんですが、おそらく父が母をつなぎとめていたんでしょうね。母はもともと恋多き女で、父はそれを知っていながら結婚した。私は10年以上前に実家を出てひとり暮らしを始めたから、その後の両親のありようをよく知らないけど、母は時々『お父さんが過干渉、嫉妬深くて困る』とは言っていました」
娘相手にモテ自慢、マウントをとる母
それでもそんな父がいなくなった直後は、さすがの母も意気消沈していたそう。だが数カ月も経たないうちに立ち直り、パート仕事に習い事に、友だちとの旅行にと精力的に動き始めた。「私は姉がいるんですが、結婚して遠方で暮らしているので、母は何かあると私に連絡してくる。時々一緒に食事をすることもありますが、母の自慢はナンパされただの結婚を申し込まれただの、そういうことばかり。『私、あなたよりモテるわよね』って。それがそんなにうれしいことなのかどうかわからないけど、そんなことで娘相手にマウントとって楽しいかと言ってやりました」
すると母は、「あなたもそろそろ女として考えなくちゃ」と説教を始める。仕事が楽しいというハルカさんに、母は否定的だ。
「つい先日は、『ねえ、整形してみる?』と言い出した。きれいになれば人生観が変わるわよって。別に私、自分の顔にコンプレックスを感じてはいないし、顔なんてついていればいいじゃないですか。どうして母がそこまで娘の顔にこだわるのかさっぱりわからない。
『製造者責任ってやつかしらね。あなたがモテないのは私のせいみたいな気になるから』って。失礼ですよね、いくらなんでも」
夫の死後、メイク教室に通い、ヨガにはまって美を追究してきた母を、ハルカさんは否定しない。だが、自分とは違うとはっきり感じている。
60代前半、美をまき散らす母
ヨウコさん(39歳)の母もまた60代前半。このところ、美への意識が「異常なほど」向上しているという。「まあ、いいんですよ。健康的に美しくなろうとする気持ちは、いくつになっても大事だと思う。でも先日父から聞いた様子では、ダイエットばかりしていて食べることに興味をなくしているようだと。
実家に帰ったとき、母と話したら、『スポーツジムで友だちになった同世代の女性がとてもきれいで。私もああなりたいと思ったのよ』って。顔にコラーゲン入れたりしているみたいで、それもかまわないけど食べないのはよくないと説教したら、『健康に必要な栄養はサプリでとってるわよ』と」
定年後、別の会社に再就職して70歳も間近の父は、母との食べ歩きを楽しみにしていたのだという。ふたりとも健啖家で、おいしいものには目がなかったはずなのに。母は食べる快楽より美をとったようだ。
「お父さんがかわいそうだから、たまにはおいしいものをふたりで食べに行けばいいのにと言うと、『あと3キロ痩せたら、食べるから』と母はにべもない。父は食材を買ってきて、母に低カロリーのおいしいものを自ら調理して食べさせようとしているが、母は『お父さんの作るものは決して低カロリーとはいえないのよ』と、あまり食べないらしい」
アラ還女性の「忘れ物を取りに行く感覚」
仕方がないので、ヨウコさんが月に1、2回、父と食べ歩きをしている。父は行った店のメニューや味を記録し、写真も撮って楽しそうだが、本来は母と一緒にやりたかったことだというのはヨウコさんにも感じられ、父が不憫だと思っている。「私は若いときに結婚しちゃって、あとは子育てと家事に追われてきたの。今になって20代を取り戻したい、若くありたいと思って何が悪いのと母は言うんです。そう言われると、父は何も言えなくなる。でも結婚だって自分で決めたんでしょと私が言ったら、『あんたを妊娠したから結婚しただけ』と。
今さらそんなこと言うのかと驚きましたが、60代になると若いころへの後悔が大きくなるのかもしれませんね。複雑なアラ還女性の心理は、私にはわかりませんが……」
やり残したことへの思い、しなかったことへの後悔、そして忘れ物を取りに行く感覚。確かに「今ならまだ間に合う」と思うのがアラ還世代の思い残しなのかもしれない。
「体を壊さないよう、緩く見守るしかないと思っています」
ヨウコさんは渋い表情でそう言った。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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