関西はタコ、香川県はうどん…「夏至」の食べ物とは?意外と知らない各地の風習
オールアバウト / 2024年6月20日 21時15分
![関西はタコ、香川県はうどん…「夏至」の食べ物とは?意外と知らない各地の風習](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_108125_0-small.jpg)
冬至といえば“かぼちゃ”が有名ですが、夏至の食べ物といわれてもすぐには思いつかない人が多いのではないでしょうか。タコ、小麦餅・半夏生餅、いちじく田楽など、意外と知らない夏至ならではの食べ物をご紹介します。
実は地域で異なる「夏至」の食べ物
日本には季節の行事や節目にいつもとちがう特別な料理を食べる習わしがあります。夏至にも、地域によっては「夏至に食べるとよい」とされる食の風習があります。タコ、小麦餅・半夏生餅、いちじく田楽など、各地で食べられている夏至の行事食と風習をご紹介します。
1年で最も日が長くなる日「夏至」と食べ物や風習の関係
![夏至の食べ物は、田植えと豊作祈願にまつわるものが多い](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/9/4/5/202405290823/10112003287.jpg)
夏至の日(6月21日頃)は、1年で最も日が長くなる日。1年のうちで最も太陽の位置が高くなるため、太陽が昇ってから沈むまでの時間が最も長くなるのです。そこで夏至は太陽の力が最も強まるときだと考え、太陽の恵みに感謝して豊作を祈願するようになりました。
昔は、田植えを終える目安が二十四節気の夏至の日から11日目の「半夏生(はんげしょう)」という雑節の日まででした。「二十四節気」とは季節の目安として1年を24等分し、「春分」「夏至」などそれぞれに季節を表す名称をつけたものです。
「雑節」とは日本の農作業や生活の目安としてもうけられ、「節分」「八十八夜」などがあります。二十四節気の夏至の期間は、6月21日頃~7月7日頃。雑節の「半夏生」は7月2日頃です。
夏至の食べ物といってもそのほとんどは、田植えを終える目安とされた「半夏生」にまつわるもので、田植え作業をねぎらい豊作を願う意味をもっています。
奈良県や大阪府の一部など:小麦餅、半夏生餅
![収穫した小麦で餅を作り田の神様に供えたことから「小麦餅」「半夏生餅」を食べる](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/9/4/5/202405290828/81629012605.jpg)
奈良県や大阪府の一部などでは、小麦で作った餅を食べる習わしがみられます。小麦の収穫が終わって田植えもひと段落するため、収穫した小麦を使った餅を作り、田の神様に供えて豊作を祈ったことに由来します。
この餅は、「小麦餅」「半夏生餅(はんげしょうもち/はげっしょうもち)」「さなぶり餅」などと呼ばれています。さなぶりとは、田植えが終わって田の神様に感謝する「早苗饗(さなぶり)」という行事のことです。
関西地方:タコ
関西では、稲の根がタコの足のように、強く深く広く大地に根付いて欲しいと願い、タコを食べる風習があります。福井県大野市:焼き鯖(さば)
![農作業の疲労回復になる「半夏生鯖」は丸焼きが多い](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/9/4/5/202405290832/28144086070.jpg)
福井県大野市では、江戸時代に農作業の疲労回復と盆地特有の蒸し暑い夏を乗り切るために、大野藩藩主が焼き鯖を奨励したことから、「半夏生鯖」と呼んで鯖の丸焼きを食べる風習があります。
香川県:うどん
![香川では農作業を手伝ってくれた人にうどんを振る舞った](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/9/4/5/202405290834/10404009316.jpg)
香川県では、収穫した小麦でうどんを打ち、農作業を手伝ってくれた人たちに振る舞う習わしがあります(香川県製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」に制定しています)。
愛知県の一部:いちじく田楽
![豊作祈願の田楽踊りから、いちじく田楽を食べる](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/550/auto/aa/gm/article/5/0/3/9/4/5/202405290835/66307003298.jpg)
愛知県の一部では、不老長寿の実とされるいちじくに、豊作祈願の田楽踊りに由来する味噌田楽をかけた「いちじく田楽」を食べる風習があります。
先人の知恵や地域ごとの文化が感じられる食べ物を取り入れて、これから迎える暑い夏を乗り切りましょう。
(文:三浦 康子(暮らしの歳時記ガイド))
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