1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

引退する「ドクターイエロー」。座席数、ねぐら、後継車両…実はあまり知られていない7つの秘密

オールアバウト / 2024年6月20日 20時45分

引退する「ドクターイエロー」。座席数、ねぐら、後継車両…実はあまり知られていない7つの秘密

新幹線電気軌道総合試験車(通称「ドクターイエロー」)が引退する。東海道・山陽新幹線では2編成のドクターイエローが走行しているが、車両の老朽化に伴いJR東海のT4編成が、2025年1月をもって、JR西日本のT5編成も2027年度以降を目途に引退を表明した。

新幹線のお医者さん「新幹線電気軌道総合試験車」(通称「ドクターイエロー」)が引退する。東海道・山陽新幹線では2編成のドクターイエローが走行しているが、車両の老朽化に伴い、JR東海のT4編成が2025年1月をもって、JR西日本のT5編成も2027年度以降を目途に引退することが発表された。

ドクターイエローは7両編成なので、それにちなんで7つのトピックを取り上げてみたい。

1. ドクターイエローの正式名称は?

ドクターイエローの正式名称は新幹線電気軌道総合試験車、形式は923形。JR東海所属の0番代(T4編成)およびJR西日本所属の3000番代(T5編成)の2本がある。今回引退を表明したのはT4編成である。

線路や架線などの施設を点検するところから「新幹線のお医者さん」と言われ、車体が黄色であるため「ドクターイエロー」という愛称で親しまれている。「いつから呼ばれるようになったか、また、名付け親についても不明だ」(JR東海広報の話)。

2. ドクターイエローの編成は?

ドクターイエローT4編成 窓の配置に注目(写真提供=JR東海)ドクターイエローは7両編成。東海道新幹線を走る「のぞみ」「ひかり」「こだま」は全て16両編成なので、きわめて短編成だ。東京駅に停車していると、長いホームの後ろ半分にちょこんと停まっている感じだ。旅客用車両ではないので、窓の配置が特殊である。

1~3号車は電気測定関係、4号車は軌道測定関係、5号車は休憩室と観測ドーム、6号車にはミーティングルームや緊急時に復旧資材を載せるスペースがある。7号車には添乗員室(50人分の座席)があり、視察などで乗車するときに使われる。

3. ドクターイエローのねぐらは?

ドクターイエローは、普段は大井車両基地(東京都品川区)で休んでいる。T5編成の所属はJR西日本であるが、T4編成と同じく大井車両基地に常駐しているので、うまくすれば2編成ともに姿を見ることができるかもしれない。

東京モノレールの大井競馬場前駅から東に歩いて10数分。陸橋の上から車両基地の一部を眺めることができる。

4. ドクターイエローの後継車は?

老朽化により引退するドクターイエローの後継車はどうなるのか?

T4編成引退後はT5編成のみで検測を行う。T4編成が引退するまでの間にT5編成の必要な検査などを十分に行うとともに、T4編成の機器を予備品として確保するなど備えを万全に行うことで、現在の検査頻度を維持することができるという(JR東海の話)。

今後投入されるN700Sの一部に検測機能を搭載し、ドクターイエローの代わりとするT5引退後、追加投入するN700Sの一部編成に、かねてより技術開発を行っていた地上設備の検測装置を搭載することにより、ドクターイエローによる検査を代替する。2027年以降はわざわざドクターイエローのような特別な列車を走らせるのではなく、営業列車による検査となる。

西九州新幹線「かもめ」に使用中のN700Sには、ドクターイエローの代わりを務める検測機能が搭載されているまた、新たな検測機能として、電車線設備の画像を解析して設備の異常を検知する機能や画像および点群データから軌道材料の状態を詳細に把握できる軌道材料モニタリング機能などを搭載する。これらにより、営業車両でドクターイエローと同等以上のデータを高頻度で取得可能となり、設備の安全性・信頼性が向上する。

5. 先代ドクターイエローは保存中

「リニア・鉄道館」で保存展示中のドクターイエローT3編成の先頭車0系新幹線をベースに製造されたのが922形のT2編成とT3編成。このうちT3編成は2005年に廃車になった後、名古屋市内にある「リニア・鉄道館」で先頭車両が保存展示されている。T4編成も引退後は「リニア・鉄道館」にて保存されるとの新聞報道がある。

6. 東北新幹線などでドクターイエローに相当する車両は?

JR東日本の新幹線の点検車両イーストアイ東北・上越・北陸新幹線などのJR東日本の新幹線各線にも検査車両がある。国鉄時代からしばらくは、似たような別の「ドクターイエロー」が使われていたが、現在は、East i(イーストアイ)と呼ばれる白を基調とした専用の車両が働いている。線路がつながっている北海道新幹線や北陸新幹線のJR西日本区間でも走行する。

ドクターイエローのような大衆的な人気がないのは、黄色い車両みたいにインパクトに欠けるからであろうか?

7. 見ると幸せになれる?

ドクターイエローT4編成(写真提供=JR東海)ほぼ10日に1回、東京駅と博多駅の間を2日かけて1往復するドクターイエロー。運行日時や列車ダイヤは公表されていないため、会えたらラッキー、会えたら幸せになるという都市伝説がある。それだけ人気車両であり、鉄道ファンでなくとも、駅で見かけるとスマートフォンなどを取り出し、撮影する人は数多い。

京急のイエローハッピートレイン「黄色い鉄道車両=幸せをもたらす車両」という伝説は各路線に根強く、京急のイエローハッピートレイン、東急世田谷線の黄色い電車も1編成しかなくドクターイエロー並みの人気車両だ。

東京駅で見つけたドクターイエローのスイーツドクターイエローの引退にともない、JR東海ではさまざまなイベントを計画している。引退は残念だが、なかなかお目にかかれない車両を間近に見ることができるチャンスがあるのはうれしいことだ。詳細発表を楽しみに待ちたい。

取材協力=JR東海この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。(文:野田 隆)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください