「失礼なことを聞くようだけど……」外国人が不思議に思う、日本人女性の徹底した「白肌信仰」
オールアバウト / 2024年6月20日 19時0分
日本人の「白肌信仰」はどこから来ているのでしょう。小麦肌至上主義のヨーロッパ在住日本人によれば、いくつかの事情が絡み合っているようです。
「失礼なことを聞くようだけど、日本人女性はSPF50の日焼け止めを塗らないと外出しないって本当?」とは、先日ロシア系の知人に恐る恐る聞かれたフレーズです。
ヨーロッパでは「小麦肌」が羨望の的
確かに筆者の住むヨーロッパでは、シミ・シワ・ソバカスの3点セットがどれだけ増えようが、こんがりと焼けたセクシーな肌は「リッチなバカンスを享受できるぜいたくさの象徴」「アクティブなアウトドア派(=魅力的)」と捉えられており、日焼けのデメリットを補って余りある存在です。そんな理由から小麦肌は男女問わず羨望のまなざしで見られるものなので、日本人の白肌信仰は不思議で仕方ないのでしょう。
それに対して、古くから「色の白いは七難隠す」と言われるように、一点の曇りもない明るい肌を崇める日本人。この美的感覚に何か理由があるのか考察してみました。
日本人の意外なパーソナルカラー
ここ数年で日本でも認知度が上がったパーソナルカラー概念ですが、これは「第三者から見てその人に似合う色」を診断する方法。生まれ持った髪・肌・目の色などから春夏秋冬の4タイプを中心に、似合う色が導き出されます。筆者を診断してくれたベテラン講師(誤診者の駆け込み寺的存在です)によると、一般的には日本人に少ないとされるウィンタータイプが実は結構多いとのこと。
ウィンタータイプとは、「ブルーベースの色が似合う」「ハリ・コシ・艶のある太くて多い黒髪」「白眼と黒眼の境がくっきりしている」「血色感のない肌」などの特徴を持ち、白・黒などを筆頭にコントラスト配色がとても似合う肌タイプとされます。
つまりカラーリング技術が導入される以前の日本では、「黒髪×白肌」のコントラストが映えるウィンタータイプの女性が美しく見えたことから、白肌が美の象徴となったのかもしれません。
日本人の顔立ちは肌のアラが目立ちやすい?
ヨーロッパに住んで気づいたのですが、こちらの人はキメが細かく繊細な美しい肌をしているものの、25歳を過ぎるとそれが目に見えて衰える人が少なくありません。
しかし顔は立体的で、彫が深く大きな目鼻や鮮やかな瞳の色などは、シミや小じわなどよりもはるかに目立つ存在で、結果的に肌のアラが気にならないのです。
対する日本人は、顔立ちが薄くなだらかで、生まれ持った色彩もシックであるため、必然的に肌質を意識する人が多いのでしょう。
日本人の完璧主義とモノを大切にする習慣
また、日本人は「車の傷を気にしすぎ」と不思議がられることも多いものですが、こちらの人と比べて日本人には完璧主義者が多く、小さな傷や欠陥もなかなか許容しにくい気質を感じます。ヨーロッパのブランド街では、日本人は傷や縫製の不具合を入念にチェックしてから商品を購入することで有名ですし、手に入れた後も極力痛まないよう車やバッグに保護カバーを使用したり、定期的にメンテナンスしたりと、ヨーロッパでは考えられないほど丁寧に扱っています。
一方で、ヨーロッパの女性はシャネルやエルメスのような高級メゾンのバッグでも割とぞんざいに扱う傾向があり、角の汚れや破れは当たり前で、中には目を疑うようなボコボコのバッグも。新品状態をできるだけ完璧に保ち、モノを大切にする習慣がある日本人とはかなり対照的です。
同様に、自分の肌もできるだけ労わって、シミやシワがなるべく増えないように努力するのは、日本人の国民性の1つと言えるでしょう。
「おばさん」は若さ至上主義の副産物?
また日本では、ヨーロッパよりも「若い女性」に価値が置かれているように思えます。
そもそも英語やドイツ語などのヨーロッパ言語で「おばさん」という、中年女性を年齢でディスるような表現はほとんど聞いたことがありません。
映画『007』のボンドガールとして知られるモニカ・ベルッチや、同じく映画『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズのガールフレンド役を演じたジェニファー・コネリー、Netflixの人気ドラマ『エミリー、パリへ行く』で主人公の艶やかな上司役をこなすフィリッピーヌ・ルロワ=ボーリューのように、セクシーな役どころを現役で演じる50歳以上の女性俳優は日本では稀有ではないでしょうか。
また、それに対して「おばさん」と揶揄(やゆ)するようなコメントが付くのも容易に想像できます。
年配者=地味色の服が適切?
服装においても、年を重ねた日本人女性は着物であれ洋服であれ華やかな色味は控えて地味で目立たない色を(=恋愛市場からの退場勧告)という通念があるようにも思います。何歳になっても派手なビキニ姿でビーチに寝そべるヨーロッパ女性と比べると、何かと肩身が狭いのではないでしょうか。
「若い女性」に価値が偏重しがちな社会では、粗が少なく、若見えする白肌に人気が出るのもまた不思議ではありません。
いろいろな理由が重なっての白肌信仰と思われますが、年齢を重ねてもきれいな日本人女性の肌がヨーロッパで称賛されているのも事実ですので、ぜひこのまま大切に美肌を極めていただきたいと思います。
この記事の筆者:ライジンガー 真樹
元CAのスイス在住ライター。日本人にとっては不可思議に映る外国人の言動や、海外から見ると実は面白い国ニッポンにフォーカスしたカルチャーショック解説を中心に執筆。All About「オーストリア」ガイド。
(文:ライジンガー 真樹)
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