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カスハラ客の7割が男性との調査も。70代父の迷惑クレーム行為に「娘は怖くて泣き始めて…」

オールアバウト / 2024年6月21日 22時5分

カスハラ客の7割が男性との調査も。70代父の迷惑クレーム行為に「娘は怖くて泣き始めて…」

接客サービス業を中心に問題化している「カスハラ」だが、40代女性が70歳を越えた義父と久しぶりにレストランに行くと「カスハラ」がひどい。理由なく、威張るために威張っているとしか思えないのだが……

「カスハラ(カスタマーハラスメント)」が大きな話題になっている。悪質クレーム行為に悩む企業側も、独自のマニュアルを作成して対策を講じているところが増えているという。

カスハラは40代以降が9割、男性が多い

それにしても怒りの沸点が低すぎる。ある男性は、自分がスーパーのレジでお札を手渡ししたのに「店員がおつりをトレイに置いただけで怒りが湧いた」とテレビで話していた。

それだけのことで「なんだその態度は!」となるのだというから首を傾げてしまう。

お金を投げて寄越して受け取れなかったというならいざ知らず、コロナ禍でお金のやりとりもトレイを使うところが多くなったのだから、そういうものだと受け取ればいいだけのことなのに。

自分の正義というほどのことでもない。自分の流儀と違うやり方をされると、自分がバカにされたような気になるのだろう。なんと小さなプライドではないか。

UAゼンセンが公表した「カスタマーハラスメント対策アンケート調査結果」によれば、カスハラをするのは40代以降が9割以上で、迷惑行為をしていた客の7割が男性だったという。

無条件に自分が偉いと思っているのか、あるいは「わからないヤツには教えてやる」という社会人的な思い込みなのか。

70代義父のカスハラにびっくりした話

結婚して7年、遠方に住んでいること、コロナ禍があったことなどで、なかなか義父母とどこかで食事をとるような機会がなかったノブコさん(40歳)。

今年のゴールデンウィークに義父母が上京、ともに外食をすることにした。

「あまり接点がなかったから義父母と食事は緊張しましたが、4歳の娘が緩衝材になってくれるだろうと思って。夫は『うちのオヤジは口うるさいんだよ。オレがフォローするから何か言われても気にしないで』と事前に注意書きみたいに言っていました」

ノブコさん一家と義父母の5人が訪れたのは、手頃な個室の和食屋さんだった。個室なら多少、娘が大きな声を出しても周りをせずに済む。

「ゴールデンウィークでしたから、お店は混んでいました。予約していたし早めの時間でしたからスムーズに入れましたが、個室に落ち着いてからお店の人がなかなか来てくれない。

何度か呼び鈴を押してようやく女性店員さんが来たんですが、まだお茶もおしぼりもなかった。すると義父が『きみは何しに来たの? 呼ばれたから来ただけ? 新規で入った客なんだからお茶やおしぼりを持ってくるのが当然だろ。

呼ばれたから来て、注文とって、それからまたお茶を持ってくるのか。1度で済むことを2度手間にするから効率が悪いんだろ』と説教を始めた。その説教のほうが時間の無駄だと思いましたが」

アルバイトの若い女性は顔を引きつらせていた。まあ、とりあえず注文だけしちゃいましょうとノブコさんは言った。

店の対応に嫌な予感がした

その後、お茶を持ってきたのは30代くらいの男性だった。

「先ほどは申し訳ありませんでした」

そう言ってお茶とおしぼりを置いていった。ノブコさんは「面倒だな……」と思った。義父の言い分が通ったような感じになったからだ。こういう人はエスカレートしそうだと感じたとき、料理が運ばれてきた。

「先ほどの男性店員さんだったんですが、手早く置いていったのはいいんだけど義父の前に煮物を置いたとき、ちょっと位置がずれたみたいなんです。正面がちょっと斜めになっていた。

それほど気どった店じゃないんですよ。なのに義父はスイッチが入っちゃったんですね。『おい、おまえは和食というものをどう考えているんだ』と始まっちゃった。

夫が『忙しいんだから、いいですよ、そこに全部置いていって。こっちでやりますから』と店員さんに目配せしながら言ったら、義父は『ちょっと待て。オレが教えてやっているのに逃げるのか』と煮物を店員さんに投げつけた。

これには驚きましたね。それほどの怒りを表明する場じゃない」

義父はもともと義母にも子どもたちにも厳しいし、口うるさいタイプではある。だが、身内にはあそこまでの怒りを表したことはなかった。

70歳近い年齢がそうさせたのか、定年退職して基本的にやることがなくて暇になってストレスがたまっているのかと、ノブコさんは考えたそうだ。

「謝罪っていうのは土下座だろ」と義父

「私たちも唖然とするばかり。すると義父が『謝れ』と店員さんに言ったんです。わけがわからないまま、彼も『申し訳ありません』って。すると『謝罪っていうのは土下座だろ』と。

そこで夫が義父を押しとどめて、『ごめんなさい。もう下がってくださってけっこうです。本当にこちらが申し訳ないことをした』と頭を下げた。義父は憤懣やる方ないという感じでしたね」

娘は怖かったのだろう、目に涙をためている。ノブコさんが大丈夫よと抱きしめると声を上げて泣き始めた。

「我慢できなくなって、私は夫に伝えて娘とふたりで先に帰りました。あんな現場にはいたくなかった」

あの日の義父は異常だったと、ノブコさんは振り返る。結局、義父は自分が正しいのに、誰も自分の言うことをありがたがって聞こうとしないことが重なってブチ切れたようだ。

だが初対面の、しかも忙しい接客業の人に、なぜ偉そうに説教をするのかがわからないと彼女は言う。

「年をとっているから偉いわけじゃない。相手が社内の後輩や部下なら教えることも必要かもしれませんが、店と客の関係ですからね、威張るために威張っているだけで、威張っている自分に酔っているとしか思えない。

悪いけど2度とあなたのお父さんには会いたくないからと夫には言いました」

夫もそれには反論できなかった。母親に、父の脳の検査をしたほうがいいと進言したそうだ。認知症を疑ったらしい。だが検査結果は異常なし。

「夫自身、大学入学で上京して、ほとんど実家にも帰ってないんです。久々に会った父親があんなふうだったのはショックだったんだと思います」

カスハラする父親には家族でさえ対応に苦慮することだろう。怒りの源は何なのか、周りの人間を下に見る癖はどうしてできたのか。なぜ自分が正しいと思えるのか。周りには理解できないことだらけだ。

<参考>
「カスタマーハラスメント実態調査」(2024年1月18日~3月18日、UAゼンセン/ n=3万3133人)

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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