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結婚も出産も“しない”選択が増えた日本で、女性が「なんとなく29歳までに結婚したい」ワケ

オールアバウト / 2024年7月2日 20時15分

結婚も出産も“しない”選択が増えた日本で、女性が「なんとなく29歳までに結婚したい」ワケ

女性の平均初婚年齢は29.7歳だといいます。東京都の出生率はついに1を下回り、婚姻率も低下……それでも女性は「29歳で結婚したい」のでしょうか。婚活現場のリアルな本音とは?

2023年の「合計特殊出生率」が8年連続で減少して1.2と過去最低を更新し、都道府県別では東京都が初めて1を下回り、0.99を記録したことに衝撃が走りました。

若い世代の人口自体が少ないにも関わらず、1人の女性が生涯で出産する子どもの数が1を切るということは、人口減少がより加速していくことを意味します。

Q. 出生率や婚姻率が低下しても29歳のうちに結婚したい?

少子化や出生率の低下と深く関連しているのが結婚です。厚労省の最新データによれば、婚姻件数は前年比で約3万組減少し、婚姻率も低下。出生率が全国最低の東京都は、平均初婚年齢も最も高く、妻31歳台を記録していますが、全国で見ると平均初婚年齢は夫31.1歳、妻は29.7歳で、夫婦ともに前年と同年齢となっています。

今回はこれに対して、「出生率は減少しても、女性が30歳になる前に結婚したい気持ちが変わらないのはなぜ?」という疑問に答えていきます。

29歳で結婚したい……“なんとなく29歳”の正体

女性の結婚適齢期については、昭和から平成初期にかけては婚期を逃した女性を指して「オールドミス」、クリスマスケーキに例えて「25を過ぎたら売れない」などと言われてきました。令和の時代になっても、初婚同士に限って言えば「女性は20代で結婚するものだ」という“なんとなく”の常識は、ずっと漂っています。

結局、人はなんとなく物事を捉えているに過ぎません。

記憶をさかのぼれば、子ども時代に触れ合った絵本やアニメに描かれていたプリンセスの嫁入りシーンは、決まって若々しいお姉さんの姿でした。そして、それらを読み聞かせながら母親は娘にこう言います。

「お母さんは短大を卒業して、22歳でお父さんと結婚したのよ」

そんな親世代の価値観が娘の中で言霊のように一人歩きし続けて、結婚式と言ったら若くてかわいい花嫁がウエディングドレス姿で指輪交換をするという先入観が植えつけられていくのです。

かといって、「今どき25歳で結婚するのは早い!」ということを言いたいのではありませんよ。年齢を重ねてから結婚する人の割合が増えて、データ上の平均初婚年齢を押し上げているということです。

「初婚の妻の年齢(各歳)」の構成割合を10年ごとに比較すると、ピークの年齢は20年前は27歳で、令和5年は26歳となっています。つまり女性が結婚する年齢のボリュームゾーンは、20年前からずっと26~27歳。

今でも26~27歳ごろに結婚ラッシュがあり、晩婚化が進む首都圏在住の女性にも地元の同級生から結婚式のお誘いが次から次への舞い込みますが、そのうちパタッと結婚式に呼ばれなくなるのです。すると焦りを感じて、「28歳になったし、なんとか20代のうちに結婚したい!」と婚活に励むようになる……これが“なんとなく29歳”の正体です。

「29歳で結婚」することは、データや世の中的な結婚観と照らし合わせても「ボリュームゾーンより少し遅い」年齢ですから、適正な焦りではあるのです。

結婚相談所における29歳と30歳の差

29歳と30歳には天と地ほどの差が? 婚活現場の実情とは……
結婚相談所においては、29歳と30歳は“天と地ほど”違います。30~35歳の男性にお見合いを申し込むと、成立する数は倍以上違うのが現実です。

男性は年齢が上がるほど年下を好む傾向があり、20代女性の人気は絶大です。

ただし、それは男性側の思い込みによるところが大きく、当初は若い妻がいいと主張していても婚活を通して年齢へのこだわりが薄れ、結果的には年の差2歳以内の同世代結婚が7割と、現実的なラインにおさまります。

30歳に突入すると「34歳・39歳の壁」が出現

20代のうちに結婚できなかった場合、次は出産を意識した34歳、39歳の波が来ます。35歳を超えると「マル高」(母子手帳に高齢出産のマークが付くこと)という時代が長かったため34歳の壁ができました。

男性側も、「出産を考えると、33歳くらいまでの女性が希望」と言います。これも実際に活動するうちに変わるのですが、婚活現場では「30歳を超えたら1歳でも若いほうがいい」との声を多く聞きます。35歳を超えると、今度は「何とか40代になる前に……」となり39歳の壁が作られた、というわけです。

婚活現場には、結婚・出産をしたくないのではなく、40歳手前になって「若い頃は仕事に夢中で、結婚と天秤にかけることが想像できなかった」、「気づいたら、結婚や出産が難しい年齢になっていた」と言う女性も多数います。

これについて筆者自身は、結婚と仕事は切り分けて進めるべきだと思っています。「ここまで出世したら結婚」「仕事をやりきったら結婚」では遅いので、仕事も恋愛も全部同時にやってほしいし、できると思っています。

若いうちに結婚を意識する人が増えている

最近は若くして結婚を意識している人も多く、大学を卒業して間もない23~25歳の方のご相談も増えてきています。

コロナ以降は自然な出会いが少ないのが当たり前になってマッチングアプリが普及しましたが、次第に怖い体験談を聞くようになり、ならば結婚までの安心安全なレールを敷いてサポートしてくれる結婚相談所に早い段階で入った方が合理的と考えるようです。

彼女たちの多くは、29歳までに複数人の子どもを産み終えたいとも考えているようです。

若いうちは子育てにあてる体力があり、出産年齢にも余裕がありますから、「落ち着いたからあともう1人、仕事をしながら育てられるかもしれない」と思えるようになるかもしれません。

結婚に対するネガティブ訴求ばかりが目につく昨今ではありますが、パートナーや子育ての辛さを愚痴る人たちだって、結婚を後悔しているとは限りません。

「100歳まで一緒なんて想像できない」28歳女性の選択

20代で「結婚したい!」と思った女性の本音(画像出典:Wilcza Fotografia /  Shutterstock.com)
最後に、東京のIT企業に勤務する28歳女性の事例をご紹介しましょう。

彼女は、「子どもが欲しいかどうかすらわからないけど、結婚したい」といって結婚相談所にやってきました。

「本当は結婚も怖い。ひとりの相手と100歳まで一緒にいるなんて想像できない」「出産や結婚の怖い情報ばかりをネットやSNSで見かけ、先延ばしにしてきた」と言います。お姉さまが婚活に苦労して34歳で結婚したといい、その経験を踏まえて20代のうちに活動しなさいと説得されたそうです。

彼女に対しては、こんなアドバイスをしました。

「今、結婚したいならそれでいい。先の先まで考えすぎなくていい。ほんのちょっと先。この先の10年、どんな生活をしたい? どんな家庭を築いていたい? それくらいの短いスパンで考えて結婚したら? それに相手に一生しがみつかないと生きていけないなんて思わなくていいのよ」と。

そんな彼女も、最終的には婚活当初の不安なんてすっかり忘れて、「駆け込んでよかった」と前向きに結婚していきました。お相手は31歳の一級建築士。家柄もいい高学歴エリートの彼を紹介したら、願ってもないと飛びついていました。

若くして結婚するって、いいこと!

いま支援すべきは、若くして結婚することに前向きになること。

日本の学校教育は受験対策に偏重しがちですが、社会に出てからの自分のライフプランをきちんと考えられるような教育が必要です。また行政支援においても、キャリアと結婚して子どもを産み育てることを両立できる環境づくりやそのための支援も大切なことではないでしょうか。

※参考:厚生労働省「令和5年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」

この記事の筆者:植草 美幸
結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオやWebメディアも含め、年間約2000件の恋愛・結婚相談を有し、自身が代表を務める相談所では年間成婚率80%を達成するなど業界異例の成果を誇る。『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)をはじめテレビ出演多数。著書に『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)、『結婚の技術』(中央公論新社)など。
(文:植草 美幸)

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