体形や肌の露出、ラッシュガードの許可制にも抵抗感「スクール水着」児童の心理的問題にどう向き合う?
オールアバウト / 2024年7月2日 12時0分
![体形や肌の露出、ラッシュガードの許可制にも抵抗感「スクール水着」児童の心理的問題にどう向き合う?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/allabout/allabout_108925_0-small.jpg)
学校指定の水着に抵抗感を示す児童は少なくない。スクール水着の規定は、時代とともにどのように変化しているのか、小学校で体育主任を務める附田賢一先生に話を聞いた。
体形への視線や日焼けが気になる…。水泳授業への抵抗感とは
「体形が気になる」「日焼けをするのが嫌だ」――。学校で水泳の授業が始まるこの季節、スクール水着の着用に“抵抗感”を示す児童は少なくない。性別によってデザインが分かれているものが多く、性差がはっきりと分かることに心理的な負担を感じる児童もいるだろう。
そんななか近年は、児童が前向きに授業に参加できるよう、水着の着用に関してルールを変更している学校が増えている。長野県の公立小学校で体育主任を務める附田賢一先生に、授業での水着着用のルールや児童の様子について聞いた。
「学校指定なし」のスクール水着。家庭に合わせてルールは柔軟に
「学校経由で水着を購入できるように、毎年いくつかの販売元の注文封筒を配布しています。ですが、学校指定の水着を着用しなければいけない、というルールはありません」附田先生が勤める小学校では、水泳学習の1カ月ほど前に水泳授業のスタートに向けて、各家庭で準備しておいてほしいものについて記載した文書を配布している。
着用する水着については、「1.色は紺、または黒とし、飾りのないもの」 「2.帽子は学年カラーのもの」「3.水着と帽子の両方に大きく名前を書く(水泳指導を民間施設に委託していることから、インストラクターにも名前が分かるようにするため)」 の3点。ルールは比較的少ない方ではないだろうか。
その背景について、附田先生はこう説明する。
「保護者には、すでに持っている水着や、スポーツ店で販売されているものでもいいとアナウンスしています。もともとスイミングスクールに通っている場合は、そこで使っている水着をそのまま使いたいことだってありますよね。その方がご家庭への経済的な負担も少ないのではないかと思います」
男女ともに、体形が分かりづらく露出控えめの水着を選ぶ傾向に
スクール水着の歴史をさかのぼると、女子はワンピース型、男子はブーメラン型やトランクス型など、露出が多く体にフィットしたものが主流だった。しかし、子どもからのさまざまな要望に合わせ、近年は太ももの半分ほどまでが隠れるセパレートタイプや露出が軽減されているデザインが増えている。なかには、男女でデザインが同じ「ジェンダーレス水着」もある。附田先生が勤める小学校では、男女ともに大半の児童が太ももの半分ほどが隠れるタイプの水着を着用しているという。また、両腕を覆えるラッシュガードを着用している児童も少しずつ増えているという。「私の学校では、水泳の授業を民間施設に委託しているため、室内プールを使います。そのため日焼けすることはないのですが、やはり体形や肌を隠したい児童もいるのではないかと思います」
ラッシュガードの着用に関しては、その児童・家庭の判断に任せられており、許可を取るための事前申請などは必要ない
仮に事前申請が必要な場合、保護者がその理由を用紙に記入し、教員に提出することが求められる。このプロセス自体に心理的な負担を感じる児童もいるだろう。そう考えると、着用するスクール水着の自由度が高いことのメリットは大きいように感じる。
また、中学校でも勤務していた経験がある附田先生によると、特に小学校高学年から中学生の女子生徒は、自身の体形が分かることや日に焼けることを気にしており、できる限り体形が分かりづらく露出の少ない水着を希望する傾向が強かったという。
「水泳の授業では、水に慣れることや泳ぐことを楽しんでもらうためにも、まずは『授業に参加したい』と思えることが重要だと思っています。水着の規定がそこまで多くないことが影響しているかどうかは分かりませんが、子どもたちがちゃんと授業に参加してくれているのはありがたいです」
水着規定については各校の判断に委ねられているため、学校によって違いはある。ルールや規則は児童の安全を守るために必要なこともあるが、その内容が児童の負担になっていないかどうかも大切な視点となるだろう。
この記事の執筆者:建石 尚子
大学卒業後、5年間中高一貫校の教員を務める。フィンランドにて3カ月間のインターンを経験したのち、株式会社LITALICOに入社。発達に遅れや偏りのある子どもやご家族の支援に携わる。2021年1月に独立。インタビューライターとして、教育や福祉業界を中心にWEBメディアや雑誌の記事作成を担当。
(文:建石 尚子)
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