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筋トレ効果を上げるために「BCAAサプリ」は必要か【薬学部教授が解説】

オールアバウト / 2024年7月16日 20時45分

筋トレ効果を上げるために「BCAAサプリ」は必要か【薬学部教授が解説】

筋トレやダイエット用のサプリメントなどで見かける「BCAA」や「EAA」。科学的にどのような効果がある成分なのか、わかりやすく解説します。

Q. 筋トレをするとき、BCAAにはどんな効果がありますか? EAAとの違いも知りたいです

Q. 「筋トレの効果をもっと高めたいのですが、BCAA入りのサプリなどを取った方がよいのでしょうか? 同じくよく見かけるEAAとの効果の違いも知りたいです」

A. どちらも筋肉を作る上で大事な成分ですが、普通の食事から十分摂れます

近年、筋トレ向けのサプリメントやダイエット飲料などで、「BCAA」や「EAA」という文字を見かけることが増えてきました。いずれもアミノ酸を表しており、筋肉を構成しているタンパク質を作るのに必要な成分です。あまり馴染みがないと思いますので、これらの役割としくみから、わかりやすく解説してみましょう。

私たちの体を構成している骨や筋肉のタンパク質は、たくさんのアミノ酸がつながってできています。アミノ酸は非常にたくさんの種類が知られていますが、タンパク質を構成するアミノ酸は20種類ということがわかっています。

そのうち、体内で十分量を作り出すことができないため食べ物などで体外から取り入れなければならないものは「必須アミノ酸」、体外から取り入れなくても体内で十分作ることができるものは「非必須アミノ酸」と区別されます。「必須アミノ酸」は英語で「Essential Amino Acids」です。「EAA」は、これを略したものです。

少し専門的になりますが、具体的に「EAA」に該当するアミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、リシンの9種類です。

このうち最初の3つは、下の図に示したように、化学構造中の側鎖(灰色で塗った部分)が枝分かれ状になっているので、特に「分岐鎖アミノ酸(Branched-Chain Amino Acids)」、略して「BCAA」と呼ばれています。
3種類のBCAA
BCAAは、筋肉に含まれるEAAの約30~40%を占め、筋肉を維持するために重要なアミノ酸です。激しい運動をしたときや体力を消耗したときには、足りないエネルギーを補うために、筋肉のタンパク質が分解されてBCAAも使われてしまいます。

そのままですと、筋肉量が減ってしまいますので、BCAAを補給したいところです。そのためには、サプリでBCAAを摂るのが効率的だと考えられて、関連商品が売られているのです。

ただし、BCAAを補給するためにサプリを利用することは悪いことではありませんが、本当に必要かどうかはケースバイケースだと筆者は考えています。

BCAAの効果を検証する実験では、わざとBCAAが含まれてない食事と、BCAAを添加した食事を与えて比較されることが多いのですが、それで筋肉量に差が出たとしても当たり前のことです。普通の食生活で、BCAAをまったく摂れないなどという状況はありえません。

1日3食、肉や魚の良質なたんぱく源を含めたバランスのよい食事ができていれば、それだけで十分なBCAAが摂取できます。日常的な運動をしたとしても不足することはそうそうありませんから、わざわざサプリを利用する必要はないと思います。

また、BCAAを摂取しただけで筋肉がつくわけではありません。ちゃんと運動をしないと、BCAAを原料にしてタンパク質は作られません。質問者の方は、筋トレに励まれているとのことですが、もしBCAAだけ摂って筋肉をつけたいと考えている方がいれば、運動習慣を心がけることも必要であることを申し添えておきます。

阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))

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