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おひとり様の老後資金と終活サポートの対策、どうする?

オールアバウト / 2024年7月31日 19時30分

おひとり様の老後資金と終活サポートの対策、どうする?

2023年6月1現在、単独世帯は全国の総世帯の34%、65歳以上の高齢者世帯でも52%を占め最多です(国民生活基礎調査の概況)。おひとり様が普通になった今、そのイメージの変化や老後資金の目安、行政の終活サポートについてご紹介します。

総世帯の3割、高齢者世帯の5割が単独世帯

2024年4月に公表された「2024年(令和6年)「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(国立社会保障・人口問題研究所)」では、世帯主が65歳以上の世帯のうち単独世帯が占める割合を、2025年に37.4%、2040年43.2%、2050年には45.1%、と推計しました。

一方、2023(令和5)年「国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)」によると、2023年6月1日現在、高齢者世帯(*)では単独世帯が51.6%(男性35.6%、女性64.4%)でトップです。ちなみに、総世帯でも単独世帯がトップで34%を占め、単独世帯は着々と増加しています。

(*)65歳以上の者のみ、または18歳未満の未婚のものが加わった世帯

「ぼっちと思われても怖くない」が74%

単独世帯増加の背景の一つに、「おひとり様」に対する意識変化があります。株式会社電通のプロジェクトチームDENTSU DESIRE DESIGNが行った2つの調査を参考までにご紹介します。

まず第5回「心が動く消費調査」(2022年11月実施、20~74歳男女3000人)では、おひとり様を肯定する次のような結果になりました。

・消費者の約75%が「一人で行動するほうが(どちらかというと)好き」
・同77%が「ひとりで行動することが(どちらかというと)多い」
・同74%が「周りの人から一人ぼっちと思われるのは怖いとは(どちらかというと)思わない」

次に、第7回「心が動く消費調査」(2023年11月実施、15~74歳男女3000人)のデータをもとに分析された「人間の消費行動に影響を与える「11の欲望」2024年版」では、「孤独だと周りから思われるのは嫌」が「一人でいても別に恥ずかしくない」という価値観に変化しています。

では、「みじめさ」を強烈に感じる経済面について、考えていきましょう。

年金受給額は男性が70万円多い

老後の収入の要である公的年金受給額は、男性200万8072円、女性130万9980円です(65歳以上の厚生年金保険(第1号)老齢年金受給権者の年金額(基礎年金を含む))「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚生労働省)より)。現役時代の男女の賃金格差が年金受給額70万円の差という形で表れ、女性は厳しいやりくりを老後も強いられます。

・男性:200万8656円(16万7388円/月)
・女性:130万9980円(10万9165円/月)

この年金額で生活が成り立つのか、「令和5年家計調査報告(家計収支編)」(総務省)を基に考えてみました。

公的年金で男性は生活できる。女性は?

65歳以上の単身者の月間の消費支出は、男性15万1182円、女性14万8028円です。

非消費支出(直接税と社会保険料)1万2243円を加えた月間の家計収支は、男性16万3425円、女性16万271円になります。

男性:15万1182円+1万2243円=16万3425円
女性:14万8028円+1万2243円=16万271円

男性は、公的年金受給額が16万7388円なので、現時点では公的年金だけで生活費を賄うことができます。しかし、2024年7月3日に公表された5年ごとに行われる公的年金の「財政検証」によると、成長率がほぼ横ばいの場合でも年金の給付水準は2割程度下がる、とありますので、将来的には、男性も年金で生活費を賄うことが厳しくなりそうです。

女性は、年金額10万9165円なので、生活費の3割強に相当する5万1106円が不足します。将来的にはどのくらい不足するのか……。不安です。

では、準備すべき老後資金を計算していきましょう。

女性が準備すべき老後資金は1840万円

老後資金の算出では、老後期間をどのくらいにするかが非常に重要なポイントです。「令和4年簡易生命表の概況(厚生労働省)」によると、90歳まで生存する男性は約26%、女性は50%。女性の生存率が約25%になるのは95歳。

これらから老後期間を、男性は25年(65~90歳)、女性は30年(65~95歳)と考えるのが一般的になりました。老後期間30年として女性が準備すべき老後の生活資金を計算すると、約1840万円になります。

毎月の不足額5万1106円×12カ月×老後期間30年=1839万8160円

安寧な老後を過ごすためには、医療・介護費用や余暇費用などの予備資金も必要です。特に医療・介護費用は、2人以上の世帯に比べ、どうしても他者に頼らざるを得ません。その分少し多め見積もる必要があります。

男性の多くは、老後の生活費を年金で賄い退職金を予備資金に充当できます。一方、女性は「老後資金約1840万円+予備資金(1000万円程度)」を退職金でカバーするのはハードルが高いので、現役時代から計画的に準備する必要があります。では、老後資金の準備についていくつか提案したいと思います。

現役時代は「支出削減+貯蓄」、退職後も収入の道を

現役時代から、固定費(通信費や保険料、家賃等)や交際費、使途不明金の支出内容と支出額を定期的にチェックして、不要な支出を削減しシンプルに生きましょう。女性は、趣味や習い事、交友関係などを見直すのも有効と言われています

老後資金は、収入や能力に応じた金融商品、例えば財形年金貯蓄や私的年金(iDeCoや国民年金基金など)、保険商品・外貨預金・預貯金・金・投資信託・株式・新NISAなど優遇税制を考慮してコツコツと蓄え運用し準備しましょう。投資商品にはリスクがありますので注意をしてください。

退職後も無理のない働き方、例えば、現役時代から取り組んでいる副業を継続したり、資格や趣味、特技などを活かして在宅ワークやアルバイト、スポットワーク(*)、ネット販売などで毎月3万~5万円程度の収入を得たりする道がありそうです。

*スポットワーク:短時間・単発の(短い時間と期間だけ働く)働き方を指す(一般社団法人スポットワーク協会)

では最後に、最も不安に感じている終末期のサポートについてご紹介します。

厚生労働省が終活サポートに着手

身寄りがないおひとり様の最大の悩みは、終末期の対応です。入院や介護施設への入所の際の身元保証、終末の医療、財産管理、葬儀や納骨をはじめさまざまな死後の事務整理など自分では対応できないことが山とあります。

これらの問題に対応すべく厚生労働省が身寄りのない高齢者等を対象に、2024年度2つのモデル事業、(1)包括的な相談・調整窓口の整備、(2)総合的な支援パッケージ(意思決定支援を確保しながら、日常生活支援に加えて、身元保証や死後の事務支援を併せて提供する取り組み)、を試行的に実施し課題を検証します。詳しくは「持続可能な権利擁護支援モデル事業について」(令和6年厚生労働省)をご参照ください。

すでに類似したサポートを行っている自治体もあります。人生の終末期を託せる社会のサポート体制が整い、「お金」の準備をキッチリと行えば、社会の同調圧力から解放され、自分らしい平安な老後を過ごすことができそうです。厚生労働省に期待しましょう!

文:大沼 恵美子(ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザー)

大沼FP・LP設計室代表。FPとして2002年に独立開業。「健康は食のバランスから、貯蓄は生活のバランスから」という考えを提唱する。企業や地方自治体等の各種セミナーやFP資格取得講座、福祉住環境コーディネーター資格取得講座の講師も務める。
(文:大沼 恵美子(ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザー))

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