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定年退職を迎えたらどうする? 今から準備したいこと

オールアバウト / 2024年8月5日 21時40分

定年退職を迎えたらどうする? 今から準備したいこと

限られた収入で、日々の生活や教育費・住宅ローンで目いっぱいの生活! 老後のことは定年が近づいてから準備するつもりと考えていませんか? それで間に合いますか?

老後のことなんてまだまだ先のこと?

30代、40代の方からみると、第二の人生のスタートといわれる定年退職を迎えるのはまだまだ先のことです。

セカンドライフ(老後の人生)のことよりも、日々の生活や子どもの教育・住宅ローンの支払い・家事や会社での仕事などの今の生活を守ることで精いっぱい、または、将来のことをアレコレと考えるより、今この時の人生を充実させたいと考えるご夫婦が多いようです。

しかし老後は必ずやってくるものです。そして少子高齢化や人口の減少などの構造を背景とする、年金をはじめとした社会保障制度の歪みによる、負担の増加と給付の削減などにより、それなりに生きていけばなんとかなる状況ではなくなってきました。

もし明日、定年退職を迎えたらどうしますか?

もし明日が、自分自身あるいはパートナーが定年退職を迎える日だとしたら……。一度目をつぶってゆっくりと3~5分ぐらいかけてイメージしてみませんか?

なぜなら私が日頃ファイナンシャル・プランナーとしてさまざまな方から相談を受ける中で、定年直前あるいは直後になって「これからどのように生きていけばいいのかわからない」というご夫婦が多いからです。

皆さんともに、定年を迎えるまでに漠然とセカンドライフについて考えてはいるのですが、あまりの生活環境の変化に直面して戸惑っているというのが本音のところです。

多くの方がもっと早くから第二の人生のことを近い将来に訪れることだと認識し、生き方や経済面の準備などをもっと早くから考えて準備しておけばよかったと言われます。ご自身のことですから当然ですね。

私たちのセカンドライフの姿は? 家計面

イメージしやすいように、モデルとして、夫は60歳で現役時代は会社員(部長)でしたが、定年後は仕事をせずに暮らしており、妻は専業主婦で57歳、子どもが2人いますが、共に社会人として別世帯を持ち自立している、という世帯をみてみます。

収入

●収入はゼロです。
(勤めていた会社によっては企業年金が給付される場合もあります)

●国民年金、厚生年金などの公的年金は原則65歳から給付されます。
(実際は生年月日や性別、加入していた年金の種類などによって年金給付開始年齢が異なります)

●年金が給付されるようになっても生活をまかなえる水準は受けとれません。

2019年の厚生労働省の年金財政検証結果では、現在の年金制度における国のモデルによる試算によると、2019年に年金をもらう人の給付水準は現役世代の平均所得の61.7%(所得代替率)です。

これが今30~40代の皆さんが年金を受けとる頃(25~30年後)には、それまでの経済状況の推移によって幅がありますが、基本的な所得代替率が50.0~51.9%となることが予想されています。

ちなみに50%以上の給付が受けられる人は本当にわずかな、厚生労働省のモデル世帯に合致するご夫婦だけで、ほとんどの方は30~40%台になります。

また、マクロ経済スライドという仕組みにより、物価や現役世代の賃金水準が上昇しても、給付される年金額の上昇が少しずつ抑えられていきます。

支出

基本的な生活費はほとんど変わりません。

仕事上の付き合いなどで使っていたお金は、自由な時間が増えた分、その過ごし方に必要な費用にシフトされ、場合によっては現役時代より生活費が増える場合もあります。

貯蓄

もし60歳で定年退職すると、年金を受給する65歳までの5年間は収入がありませんから、これまでに蓄えてきた預貯金や退職時に受けとった退職金を取り崩しながら生活をしていかなければなりません。

この5年間に財産を取り崩す額は生活費だけでも次のようになります。

(1)毎月25万円の生活費で過ごす場合
⇒25万円×12カ月×5年間=1500万円

(2)毎月30万円の生活費で過ごす場合
⇒30万円×12カ月×5年間=1800万円

(3)毎月40万円の生活費で過ごす場合
⇒40万円×12カ月×5年間=2400万円

年金を受けとり始めてからも月々の生活は年金では足りませんから、その後も蓄えを取り崩す生活が続きます。

仮に年金で入ってくるお金が、必要な生活費に対して月に5万円不足していたら、それを補うために自分で準備をしておかなければなりません。90歳まで生きるとして計算すると不足額の合計は次のとおりとなります。

不足額5万円×12カ月×25年間(65歳から90歳まで)=1500万円

前記の例で65歳までの年金をもらえない期間の生活費と合計すると3000万~3900万円の不足額になります。

この金額には車や家電製品の買換え、家のリフォーム費用、旅行の費用は入っていません。また子どもの結婚や住宅購入も援助資金などのライフイベントに関わる支出や、不測の事態(病気や事故など)に対応する臨時的な支出も含まれていません。

それらの備えを希望する場合はさらに数百万円から数千万円の準備が必要ということになります。

私たちのセカンドライフの姿は? 時間や人間関係など

家計面だけでなく、考えておくべきことはほかにもあります。

時間

現役時代の生活時間をざっくりと睡眠時間8時間、勤務時間8時間、自由時間8時間とすると、20~60歳までの自由時間は8時間×365日×40年で11万6800時間になります。実際には残業や通勤時間などを引くともっと短いとは思います。

セカンドライフ期の自由時間は、1日24時間から睡眠時間8時間を除いたものと考えると、60~80歳までの20年間でも、自由時間16時間×365日×20年間で11万6800時間になります。

仮に80歳までしか生きないとしても、20歳から定年まで会社で働いてきた時間と同じ長さの自由に使える時間をどのように有意義に過ごしていくか?がとっても大切なテーマになります。

夫婦関係や役割分担

これまで朝と夜と休日しかいなかった夫がいつも家にいるようになり、妻の生活サイクルや日常の過ごし方も変わってきます。家庭内の役割分担も考え直さないといけませんね。

人間関係

妻が専業主婦などの場合は、妻の人間関係は今までとあまり変化はありませんが、会社員だった夫の人間関係はガラリと変わります。

会社の中で培ってきた同僚や上司・部下・他の会社の友人たちも会社での肩書きや影響力がなくなると、急に疎遠になっていきがちです。

わかりやすい例でみると年賀状の数が激減し、会社で仕事を通じて知り合った人たちと飲んだりして付き合う回数も同じくです。

これまでご近所のお付合いは妻任せだったという夫は、一から地域や趣味などを通じて人間関係を作り上げる努力が必要な場合もあります。

新しい人間関係を作っていくなんて面倒だと受け止める方は、家庭の中、つまり妻だけを社会で唯一接する人間だと思うようになり、家にこもってしまうかもしれません。

今のうちから仕事を離れた人間関係づくりをしておいた方が、夫自身と妻のためにもなる気がしますね。

60歳までの時間を逆算して今から準備する

これまで書いたように、年齢に関わらず今からでも準備にとりかかりたい項目はたくさんあります。

それらの準備の軸となるものは、皆さんがどのように生きていきたいのか、そしてどのような夢を実現していきたいのかという未来へ向けての人生ビジョンだと考えます。

そこから逆算して、今から何年間の準備をする時間があるのか、どのように準備していくかという順番で考えると整理しやすくなります。これは実際に私がファイナンシャル・プランナーとしてライフプランの設計時に進める手順でもあります。

夫婦関係や交友関係づくり、セカンドライフを通じて楽しめる趣味づくりなどは皆さんがご自身で考えていただくとして、老後を支える財産づくりという観点でワンポイントお話しします。

将来のための財産を預貯金で準備する

2019年5月に金融庁の審議会から報告されて、世間の耳目を集めたいわゆる「2000万円問題」は、セカンドライフにおいて、夫婦世帯で年金だけでは2000万円不足するというものでした。

実際には、年金以外にこの金額があれば大丈夫というわけではないと、多くの方のライフプランを行うファイナンシャル・プランナーとして実感してます。

望むセカンドライフを過ごすために、仮にその倍額の資金を準備する目標を立てた場合で考えてみます。

今、35歳の夫婦が将来不足する金額として4000万円を、60歳の定年時までに今から準備する場合で、時間を逆算して考えてみましょう。

35歳の夫婦が60歳までに4000万円を預金で積み立てると……

税金の計算や手数料等は金融商品によって異なるため考慮していません。また預貯金ではほとんど金利がつかないので、わかりやすくするために金利ゼロで計算します。

●毎月13万3000円ずつ預金で積み立てていった場合
⇒4000万円÷25年間÷12カ月=約13万3333円

現在の日々の生活費や子どもの教育費、住宅ローンの負担などを考えると現実的には無理がありそうな金額です。

リスク分散しながら長期で運用する場合

分配金再投資型の投資信託などでリスクを分散しながら長期の時間を活用して運用する場合は期待される利回りによって次のとおりとなります。

(1)1%の利回りの運用の場合
毎月11万7000円の積立(積立元本3510万円、利息約495万円)

(2)3%の利回りの運用の場合
毎月8万9000円の積立(積立元本2670万円、利息約1341万円)

(3)5%の利回りの運用の場合
毎月6万7000円の積立(積立元本2010万円、利息約2020万円)

タンス預金やほとんど金利がつかない低金利の預金と比較するとかなり毎月の積立額が減りますね。

退職金があるなら……

もし不足分4000万円に対して退職金が1500万円見込めて、あと2500万円を今から準備する場合だと次のとおりとなります。

(1)1%の利回りの運用の場合
毎月7万4000円の積立(積立元本2220万円、利息約313万円)

(2)3%の利回りの運用の場合
毎月5万6000円の積立(積立元本1680万円、利息約843万円)

(3)5%の利回りの運用の場合
毎月4万2000円の積立(積立元本1260万円、利息約1266万円)

月々4万~5万円の積立となると現実的に実現の可能性が見えてきました。

ただし、収益性が高い金融商品になるほどリスクも大きくなります。それぞれの金融商品の内容やどのようなリスクをもっているのか、自分の目的に合っているのかなどをしっかりと見極めて選択していきたいですね。

このような資産運用はきちんと勉強して正しい運用プロセスをふまえていけば、かなりのリスクを低減することが可能となります。マネーに強くなって賢く金融商品を選択し活用していけるようになりたいものです。

いずれにしても幸せなセカンドライフを掴むかどうかは皆さんが決めていくことです。そのために今できることからひとつひとつ焦らずやっていきましょう!

文:平田 浩章(ファイナンシャルプランナー)

家計相談件数300件を超えるFP実務家。家計改善実務のノウハウや経験などを駆使し、家族を幸せにするのに必要なマネープランの知識や役立つ情報を発信している。各種マネー雑誌・コラム・家計診断の記事も執筆。
(文:平田 浩章(ファイナンシャルプランナー))

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