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一生に1度は訪れたいポーランドの祝日 儚く美しいスピチミェシュの花の道に、華やかなウォヴィチの行列

オールアバウト / 2024年8月6日 21時35分

一生に1度は訪れたいポーランドの祝日 儚く美しいスピチミェシュの花の道に、華やかなウォヴィチの行列

海外旅行に行くと現地のイベントやお祭りに出くわすことも。ポーランドでは5~6月頃に華やかな聖体節の祝日があります。2024年の聖体節のタイミングで実施されたプレスツアーに参加し、現地で体験したカトリック教徒が多いポーランドらしい祝日の様子をリポートします。

2024年の日本は、祝日が3連休になることが多い当たり年。海外にもさまざまな祝日がありますが、日本との大きな違いの1つは宗教に関連した祝日が多いこと。5月にプレスツアーで訪れたポーランドで「聖体節」と呼ばれる祝日を体験しました。ヨーロッパの中でも敬虔(けいけん)なカトリックの国であるポーランドらしい祝日の様子をリポートします。
2024年のポーランドの聖体節

聖体節って、どんな祝日?

聖体節の日のポーランド・スピチミェシュの教会前人口の約88%がカトリックのポーランドでは、宗教に関連した祝日が多め。その1つが聖体節です。キリスト教ではパンとワインをキリストの体と血として食す「聖体拝領」という儀式を日常的に行っていますが、年に1度、復活祭(イースター)から50日目の日曜日の次の木曜日は「聖体節」として、その意義が強調されます。日付は年によって変わり、2024年は5月30日でした。この日は祝日でスーパーなども休みになり、各地でミサや行列が行われます。

儚すぎる! 1日限りの「スピチミェシュ花の道」

スピチミェシュの花の道ポーランド中部にあるスピチミェシュという村は、聖体節に花の道を作ることで知られています。約2メートル幅のカラフルな道が約2キロも続き、とても華やか。2021年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されました。

美しい花びらや葉っぱで作られている花の道スピチミェシュの花の道は約200年の歴史がありますが、初期は今より控えめで、砂や小枝を使うのみだったそう。その後、花が加わり、第2次世界大戦後には現在のように凝った絵柄を描くスタイルになっていきました。

道のデザインは多彩で見飽きず、2キロ歩くのもあっという間花のじゅうたんを作るのは、近隣の約30家庭の村人たちです。数日前から、花びらや草、枝、葉っぱ、川の砂など必要な素材を集めます。店で買うのではなく、自宅の庭や近隣から集めてくるそうです。

聞けば、この日のために花を育てている人もいるとか。確かに道沿いの家々の庭にはカラフルな花が咲き誇っていました。

教会のまわりには花の道を作る子どもの写真パネルの掲示も作り方は、まずは道にチョークでデザインを描きます。次に大きな花や枝を固定するため、砂や土で仕切りを置き、花びらなどで埋めて仕上げていきます。準備はその日の午前中に数時間かけて一気に行われます。雨天決行ですが、季節柄そこまで天候が荒れることはないようです。

ちなみにこの作業、特に現場を仕切るリーダーはいません。みんな自分がやるべきことを分かっていて、黙々と作業をします。そんな伝統が、親から子へ、そのまた子へと引き継がれてきたのです。

教会前にある特別なデザインの花の道花の道は多くの人が見に来て、周辺には屋台なども出ますが、作ったからといって、お金が儲かるわけではありません。あくまで村民の純粋な信仰心と村への愛着から続いています。花の道の美しさもさることながら、その思いにも心を打たれます。

花の道を作る習慣のある場所は世界各地にありますが、約2キロもの長さの道を、村民が自分たちの庭の花をベースに作り上げるスタイルは、ほかにはあまりありません。最初は宗教的な意味はなく、ナポレオンが村を通ると聞き、歓迎のために用意したのがきっかけ。実際にはナポレオンは来なかったのですが、村民たちは花の道を作ることを続けたそうです。

翌日の片付けも住民たちで教会でのミサの後は、行列が花の道の上を歩きます。美しいままに保たれているのはたった数時間! 準備はほもちろん、片付けも村の人が担当。翌日に通りかかると、ちょうど片付けの途中で、花や草の匂いがイベントの余韻を残していました。

2024年5月オープンの聖体節記念センターユネスコの無形文化遺産に2021年に登録されてから、それまで数千人だった訪問者が約4万人まで増えたそうです。2024年の聖体節の日には、聖体節記念センターもオープンし、聖体節以外の日に訪れても、展示や映像で行事の様子を詳しく知ることができるようになりました。

華やかな行列にくぎ付け! ウォヴィチの聖体節

ウォヴィチの教会。ミサの最中、教会のまわりにも大勢の人がいたもう1つ、別の町の聖体節の様子も紹介します。スピチミェシュから東に約100キロ、首都ワルシャワからは西に約80キロの場所にあるウォヴィチです。この町では伝統的な衣装を身にまとった聖体節の行列が有名です。

かつては教会が支配したウォヴィチ公国があり、農業が盛んで豊かでした。旧市街の真ん中に大きな広場があるのは町の豊かさの象徴だそうです。

ミサの前になると、教会のまわりには民族衣装を着た人が続々集まってくる聖体節では、まずミサが1時間、その後行列が2時間ほど続きます。普段は静かな町ですが、この日ばかりは人でいっぱい。周辺で1番大きな教会なので、他の教区からも人が来ているのだそう。筆者のような観光客も多く、ツアーバスもやってきます。

行列では特別な旗を持って進むちなみにポーランドでは、教会は祈りの場です。現地の人が「西ヨーロッパを訪れたとき、誰も祈っていなくて驚いた。多くの観光客が見学に訪れていて、教会はまるでミュージアムのようだった」と話していたのが印象的でした。

刺しゅうもかつては家々でやっていたが、今は工房に頼む人が多いちなみに衣装は洗濯禁止です。自然の素材を使っているので、色が落ちてしまうのがその理由。冬がきたら、雪の上で軽く叩いて汚れを落とし、丁寧に保管しているとのこと。

撮影に笑顔で応じてくれたファミリーウォヴィチの人たちにとっても、1年に1度の特別な日。カメラを向ければにこやかな笑顔を向けてくれます。行列は止まりながらゆっくり進む日本では味わえない華やかなポーランドの聖体節。日本からポーランドへは、成田と首都のワルシャワ間を、LOTポーランド航空の直行便が結んでいます。2024年の聖体節は終了しましたが、来年以降の旅行プランに加えてみませんか?

取材協力:ポーランド政府観光局、LOTポーランド航空

古屋 江美子 プロフィール
旅行やグルメを中心にWebや雑誌など様々な媒体で活躍。これまでに訪れた国は約40ヶ国。出身地である山梨県の「やまなし大使」としてもさまざまな情報を発信中。
(文:古屋 江美子)

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