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50歳貯金50万円、子どもが独立し一人暮らしに。老後資金の不安を感じ…

オールアバウト / 2024年8月10日 6時10分

50歳貯金50万円、子どもが独立し一人暮らしに。老後資金の不安を感じ…

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、数年前に離婚して中古住宅を購入した50歳の会社員女性。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

一人暮らしを始めてから、初めて老後資金に不安を感じました

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回のご相談者は、3年前に離婚して中古住宅を購入した50歳の会社員女性です。お子さんが独立して初めて老後の不安を感じたそうです。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

愛犬吉宗さん(仮名)
女性/会社員/50歳
近畿/持ち家(一戸建て)

家族構成

一人暮らし

相談内容

数年前に離婚し、昨年まで賃貸に入居していました。ペット可物件のため、賃料が高かったこともあり、長期的に考え、中古一戸建てを購入。25年ローン。返済額は、賃料と同等額でした。75歳までローン返済があります。

給料が安く、毎月の生活での貯金はできていません。毎月30時間ほどの残業をして、現在の給料です。子どもが独立したため、一人暮らしとなり、赤字をまぬがれて生活ができるようになりました。雑費は、老犬の治療費が大半を占めています。ボーナスも少ないですが、全額を貯金にまわせるようになりました。

一人暮らしを始めてから初めて、老後資金に不安を感じました。今の会社では80歳まで雇用可能ですが、現在の給料は手当があっての金額のため、立場が変わると手当はなくなり、給料が下がります。うちの会社は、退職金制度はありません。

月の保険料が、かなりの負担になっていると思っています。保険の見直しも、必要なのかもしれませんが……。そこも含めて、どう老後資金を作っていくか、不安は募るばかりです。ぜひアドバイスをいただきたく、お願いいたします。

家計収支データ

愛犬吉宗さんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「愛犬吉宗」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)住居費について
・築25年の中古住宅を購入
・購入金額1800万円
・借入金額2200万円(リフォーム代込み)
・借入金利1.175%(団信を上乗せした金利)
・返済期間25年

このほか、固定資産資産税が5万2800円

(2)車両費について
208万5000円の借り入れで毎月2万円、ボーナス時4万円の返済。あと2年。残価69万円を一括払いか、再ローン。ガソリン代は1万5000円ほど。自動車保険4000円。

相談者コメント「中古車への買い換えも検討できます」

(3)保険について
・終身保険(死亡保障650万円、医療特約入院日額1万円、三大疾病保険料払込免除特約付き)=毎月の保険料1万6000円
・定期保険(5年ごと10万円。2039年8月満期105万円)=毎月の保険料6000円
・がん保険(終身タイプ)=毎月の保険料3600円
・個人年金保険(60歳から支払い開始、10年確定、年金額49万3000円)=毎月の保険料1万1000円

(4)通信費について
通信費は、テレビ、ネット、固定電話、携帯。

相談者コメント「半年以内には、使用してない固定電話の契約を中止する予定です」

(5)雑費について
雑費として、愛犬の病院代や関連費として3万~5万円ほどで、ペット保険が3000円。

(6)公的年金の見込み額について
老齢基礎年金77万8000円。厚生年金52万6000円。

(7)働き方について(相談者コメント)
地位が変わると、月3万円ほど下がります。住宅ローンがあるので、完済年齢の75歳までは働かないと、と思っています。転職の誘いがあります。月給総額45万円。残業なし。交通費別。現在より、手取り額は増えると思われます。ただ、75歳までの雇用は難しいようです。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:保険の見直しで毎月貯蓄を。60歳までにしっかり貯める
アドバイス2:60歳で収入が減っても、支出も減っているので貯蓄も可能
アドバイス3:転職で金銭的には余裕ができるが、ストレスが心配

アドバイス1:保険の見直しで毎月貯蓄を。60歳までにしっかり貯める

今現在、手元の貯蓄が少なく、不安になるのはわかりますが、これから貯蓄を増やしていけば過剰に心配されることはありません。大丈夫です。健康で1年でも長く働くことが大切になってきますので、体調管理だけは気を付けるようになさってください。

今、毎月の収支がほぼトントンで、貯蓄ができない状態とのことですが、家計支出のなかで削減できるのは保険です。お子さんも独立されたわけですから、保険は基本的に不要です。

まず、終身保険は払い済みとし、これ以降の保険料の支払いをストップします。ここまでの保険料分での保障は残ります。解約するのであれば、解約返戻金が支払われます。これまで支払った保険料総額よりは少ないですが、これ以上、保険料を支払って保障を確保する必要はありません。

定期保険も同じです。お祝い金が出るタイプですので、解約すれば、いくらかの解約返戻金が受け取れると思います。

がん保険は、がんが心配であれば残しても構いませんが、解約して医療共済に新規加入でいいと思います。2000円の掛金で最低限の医療保障を得ることができます。個人年金保険は、このまま続けてもいいでしょう。

こうして無駄な保険を解約することで、毎月の保険料を2万3000円ほど削減することができます。

さらに通信費の見直しを考えているとのことですから、合計すると、毎月2万5000円は貯蓄できるようになります。

毎月2万5000円で年間30万円。これにボーナスから25万円を加えて、年間55万円です。60歳までの10年間で550万円、今ある50万円を加えて600万円まで増やすことができるわけです。

また、現在、車のローンがあります。約3年後に残価69万円は一括で支払ってください。約70万円として手元に残るのは530万円です。ただ、ローンがなくなったわけですから、その分も貯蓄にまわすと年間で28万円、3年後からの7年間で196万円。合計すると726万円。これが60歳時点での貯蓄額になります。

アドバイス2:60歳で収入が減っても、支出も減っているので貯蓄も可能

管理職からはずれると3万円の収入減とのことで、その年齢がわかりませんが、仮に60歳以降、収入が3万円減ったとします。

しかし、この時点で家計支出は22万円程度には抑えられていますし、個人年金保険の保険料支払いもなくなります。貯蓄はそれまでのようにできなくなるかもしれませんが、毎月の収支がトントンであれば、貯蓄からの取り崩しはしなくてすみます。

加えて、60歳から個人年金保険の受け取りがあり、10年間で493万円です。これをそのまま貯蓄として残せるので、60歳時点の貯蓄726万円に493万円を加えた1219万円が70歳時点での老後資金となります。

実際には、60歳以降については、ご相談者が何歳まで働けるか、働くことができるかによります。70歳まで働くことができれば、貯蓄からの取り崩しはゼロです。

アドバイス3:転職で金銭的には余裕ができるが、ストレスが心配

転職された場合、現在より手取りで約120万円は増えると思われます。その分がまるまる貯蓄となれば、60歳までの10年で1200万円、65歳までの15年で1800万円が、上乗せできます。金銭的にはかなり余裕ができるのではないでしょうか。

ただ、業種は同じでも、職場が変わることでのストレスは誰しもあることです。これまでとは勝手の違う職場で、これまでどおりの働き方とはならないでしょう。転職でのストレスだけが心配です。

こればかりは、ご自身で判断していただくほかありませんが、現在の職場であれば、実際に80歳まで働くかは別として、勤務時間を減らしつつ、慣れた職場で働き続けられるという点は、大きなメリットのように感じます。

仮に、現在の職場で70歳まで働くとしたら、公的年金は繰り下げにし、年金額を増やすことができます。最大42%加算され、現在の見込み額である10万8000円から換算すると、月額15万4000円となります。

70歳時点の金融資産が前述のとおり、約1220万円あり、住宅ローンの残りは約500万円。これを一括繰り上げ返済すると、残りの金融資産は720万円ほどに減ってしまいますが、住宅ローンの支払いはなくなりますので、年金だけで十分に生活していくことができます。

また、つらいことですが、このころには愛犬も虹の橋を渡っていると思われますので、ペットにかかっていた病院代もなくなり、毎月の支出は10万円程度になっているのではないでしょうか。年金からの貯蓄も可能といえば可能です。

転職を判断されるときの、ひとつの材料にしていただければと思います。

最後に、住宅ローンの繰り上げ返済については、70歳時点で一括返済でも構いませんが、途中で200万円程度の繰り上げ返済が可能でしたら、返済期間の短縮にもつながり、75歳まで働かなくては、と無理をすることもなくなるでしょう。ただし、手元には1000万円は残すようにしてください。

老後にいくらあれば安心かは、人それぞれです。ご相談者は堅実に生活されています。本当の老後にどんな生活がしたいのか、そんなことも、この機に考えてみてください。健康で無理せず、1日でも長く働くことが、大切なことだと思いますよ。

相談者「愛犬吉宗」さんから寄せられた感想

貯蓄型保険の追加を考えていましたが、アドバイスは真逆のものでした。何かあったときのためにと加入していた保険が、経済的に圧迫していたことを痛感しています。家族状況の変化があったのにもかかわらず、見直しをしなかった。必要な保障だけを選び、貯蓄にまわしたいと思います。

かなり不安だった老後ですが、アドバイスいただいた貯蓄額を見て、少しは安心できました。老後に、どんな生活をしたいのか……のお言葉に、正直考えたことがありませんでした。返済返済、仕事仕事。そんな人生になるだろうと覚悟していたので。

一度きりの人生。したい生活とはどんなだろうと考えながら、心豊かな時間が生きられるように、今できることを一つずつ正していこうと思いました。背中を押していただき、ありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

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