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黄色ブドウ球菌は危険? 素手の調理で食中毒事故や死亡例も

オールアバウト / 2024年8月10日 20時45分

黄色ブドウ球菌は危険? 素手の調理で食中毒事故や死亡例も

【管理栄養士が解説】黄色ブドウ球菌は身近な菌ですが、食品に付着すると食中毒を引き起こすことがあります。「エンテロトキシン」という毒素の性質、黄色ブドウ球菌による食中毒を防ぐための3つのポイントについて、わかりやすく解説します。

百貨店で販売された「うなぎ」によって、大規模な食中毒が起こってしまいました。7月31日時点で、少なくとも161人が症状を訴え、うち1人が亡くなったことが報じられています。

「手袋をつけず、素手で調理をしていたことが原因」と報道されていますが、一般的な家庭では、調理は素手で行うことがほとんどでしょう。素手で行う調理はそんなにも危険なのかと、疑問に思う人も多いかもしれません。わかりやすく解説します。

黄色ブドウ球菌とは……身近だが、食品に付着するととても危険な食中毒菌

今回の食中毒を引き起こした原因は、「黄色ブドウ球菌」という食中毒菌です。食中毒菌といっても決して珍しいものではなく、健康な人であっても、のどや鼻の穴などに高確率で存在している菌です。おできやにきび、水虫などの化膿性疾患を起こす代表的な菌でもあります。

身近に存在する分、手洗いが不十分だったり、手指にケガをしていたりすると、素手で調理をしたときに黄色ブドウ球菌が食べ物に付着してしまうことがあります。でも、元々のどや鼻の穴にいても人体には深刻な影響を及ぼしていなかった菌によって、なぜ食中毒が引き起こされるのでしょうか?

それは、黄色ブドウ球菌が、食べ物に付着し、食べ物の中で増殖し始めると、「エンテロトキシン」という毒素が作られ、これが食中毒の症状を引き起こすからです。黄色ブドウ球菌は熱に弱いのですが、エンテロトキシンは熱に強い性質のため、一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒を防ぐことはできません。
 
今回の食中毒の事故は持ち帰り弁当によって起きています。調理してから食べるまでに時間があったために、弁当内でエンテロトキシンが増殖し、人の命を奪うほどの量に達してしまったのでしょう。

黄色ブドウ球菌による食中毒を防ぐ3つのポイント

身近にありながら、一歩間違えると非常に痛ましい事故を起こす黄色ブドウ球菌。この菌による食中毒を防ぐためには、3つのポイントがあります。

・手指の洗浄・消毒を十分に行うこと
・手指などに切り傷や化膿した部分がある場合、十分に工夫をすること
・食品は食べるまで10度以下で保存し、菌が増えるのを防ぐこと

「2」の手指などに切り傷や化膿部位がある場合は、基本的には、食品に直接触れたり、調理をしたりしないことが大切です。それでも、どうしても調理をせざるを得ない場合は、使い捨てのビニール手袋を使うなどして、食品に直接触れないようにしましょう。特に、調理済の食品は絶対に素手で触れないようにすることが大切です。

黄色ブドウ球菌の場合の食中毒予防のポイントは上記の3つですが、食中毒菌には、ほかにもさまざまな種類のものがあります。

性質はさまざまですが、いずれの食中毒も、食中毒予防の3原則である「菌をつけない、増やさない、やっつける」をしっかり守ることで、予防することができます。衛生にしっかりと気をつけて、毎日の食卓の安心と安全を守っていきましょう。

■参考
・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(食品衛生の窓)
・黄色ブドウ球菌(細菌)[Staphylococcus aureus](農林水産省)

平井 千里プロフィール

メタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。
(文:平井 千里(管理栄養士))

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