新幹線に「半額」で乗れる方法があるって本当？ 安く乗る“裏技”を鉄道のプロが解説

新幹線といってもJR東海が運行している東海道新幹線、JR東日本などが運行している東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線などでサービスや購入方法が異なるので、分けて解説したい。

帰省や旅行などで新幹線に乗る機会も多いお盆休み。少しでも安く新幹線に乗車する方法について、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。

（今回の質問）
新幹線になるべく安く乗る裏技って？

（回答）
裏技はあるが、JR各社によって使いやすさや割引率はかなり差がある。路線ごとに割引方法を説明する。

東海道新幹線・山陽新幹線はエクスプレス予約がおトク

東海道新幹線に関しては、大々的な割引が行われていない状況だ。その中でも、会員制のエクスプレス予約であれば、いくつか気になる割引がある。

「早特」と呼ばれるもので、例えばEX早特28ワイドは、28日（4週間）前までの予約で、東京～新大阪が2480円安い1万2240円（通常期）、EX早特21ワイドなら、21日（3週間）前までの予約で2350円安い1万2370円となり、約16％OFFという計算になる。

「のぞみ」にこだわらなければ、EXこだまファミリー早特3がかなり安い。2名以上利用という限定だが、乗車日の3日前までに予約すれば、大人1人あたり東京～新大阪で1万80円、通常価格より4320円安く30％OFFだ。「こだま」は各駅停車で遅いというイメージがあるけれど、それは「のぞみ」に比べてのこと。東京～新大阪は駅の停車時間が長いにもかかわらず、4時間かからない。高速バスや在来線普通列車よりは圧倒的に速いということを忘れてはならない。

東京～名古屋で考えると、「ひかり」の利用も興味深い。「ひかり」には、停車駅のパターンがいくつもあり、中でも、新横浜～名古屋の停車駅が1つだけ（小田原あるいは豊橋）の列車は、後続の「のぞみ」に1度も抜かれることなく目的地に到着するのだ。「ひかり」「こだま」と「のぞみ」の車両は共通であり、運が良ければ最新型車両のN700Sに当たることもある。

しかも、「ひかり」の価格は「のぞみ」より安いし、65歳以上のシニア対象「ジパング俱楽部」割引が使用できて30％OFFだ。グリーン車も割引になるので、「のぞみ」普通車指定席の通常価格よりも安くグリーン車に乗れるというお得感もある。以上の割引は、お盆期間、年末年始、GW期間には通用しないので要注意だ。

東北新幹線などJR東日本の新幹線のおトクきっぷ

JR東日本では、さまざまな割引を用意している。「えきねっと」で買える「トクだ値」は、5～30％OFFなので注目の的だ。このチケットは、厳密にJR東日本エリアのみならず、JR北海道管内の新函館北斗、JR西日本管内（上越妙高～敦賀）にも適用される。

例えば、14日前までの申し込みで、東京～新函館北斗を「はやぶさ」に乗車して1万7410円（25％OFF）、東京～金沢を北陸新幹線乗車で9920円（30％OFF）という最安値で利用できる。期間限定だったり、席数に制限があったりするので、内容をよく確かめて利用したい。

株主優待券にも注目

JR東日本の株主優待券を使えば除外期間なく40％OFFで新幹線が利用できる。この場合は、厳密にJR東日本管内限定なので、北は新青森まで、北陸新幹線は上越妙高までとなる。

最近では「JRE BANK」がスタートし、その特典として株主優待券同様の40％OFF利用券が預金高などに応じて付与される。JR東日本ユーザーなら、一考の余地がある制度であろう。

JR西日本の株主優待券は50％OFFという破格のサービスだ。新幹線に関しては新大阪～博多、敦賀～上越妙高という区間限定ではあるけれど、魅力的なので余裕資金があるのなら株主になるのもいいと思う。

この記事の筆者：野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』（近代文芸社）を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』（共に平凡社新書）がある。
(文:野田 隆)