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地元民の“積み残し”問題やホテル代高騰以外にも……関西3空港の「発着枠」拡大で何が起こる?

オールアバウト / 2024年8月13日 19時40分

地元民の“積み残し”問題やホテル代高騰以外にも……関西3空港の「発着枠」拡大で何が起こる?

大阪・関西万博の開催を控えた需要増に対応すべく、関西3空港の「発着枠」が増えることになる。それに伴い、関西エリアはどう変わるのか。すでにあるオーバーツーリズム以外にも、観光客の増加による「新たな問題」の発生も懸念されている。

関西には、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹空港)、神戸空港と3つの空港がある。半径約30キロメートルのエリア内にある3空港でほぼ終日、多くの飛行機が行き交うため、飛行ルートや発着回数などが各空港であらかじめ定められている。

先日、国が示した新たな飛行ルート案を地元自治体が合意した。2025年の大阪・関西万博の開催も控えた需要増への対応とともに、すでに問題となっているオーバーツーリズムなども合わせて解説する。

2025年4月の万博開催になんとか間に合わせる

関西空港の国際線など。2024年6月(筆者撮影)
新たな飛行ルートの案はもともと、2025年の大阪・関西万博に向け、空港を発着できる便数の上限である「発着枠」を増やしたいと、関西の経済団体などが国に要望したことが始まり。

そこで国が2023年、国が関西空港の西に位置する「淡路島の上空を通る飛行ルート」を増やすことなどを、大阪府や兵庫県など地元自治体に提示していた。

実際に新たな飛行ルートが運用されると、関西空港で1時間あたり45回から60回に、神戸空港で1日あたり80回から120回に、発着枠がそれぞれ増えることとなる。大阪・関西万博の開催直前、2025年3月下旬から運用開始予定だ。

最大の懸念「飛行機の騒音問題」はどうなる?

関西空港からの離陸。奥に見えるのが淡路島(筆者撮影)
関西空港では現在、「海上」「大阪府」「和歌山県」「淡路島」の上空が飛行ルートとして設定され、風向きによってそのルートが変わる。

例えば、北風時は関西空港を出発(離陸)すると、淡路島上空では島北部を通過する2ルートがある。今回の新たな飛行ルートでは、淡路島の中南部を飛ぶ2ルートも加わる。

この3空港を離発着する飛行機の数は非常に多く、飛行ルートはすでに飽和状態となっている。今回の発着枠拡大の対象外ではあるものの、伊丹空港も国内線の基幹空港として、7~21時の運用時間で発着枠が1日370回の混雑空港である。

新たな飛行ルートが設定された場合、最大の懸念として「飛行機の騒音問題」が、地元から出ていた。これに対し、新たな飛行ルートでの運用時間を「6時半~23時まで」に制限すること(関西空港は24時間運用)、淡路島上空を飛行する高度を現在の2400メートル以上より900メートル低い1500メートル以上として発着枠を増やしつつも、住宅地など陸上を通過する際はできるだけ高い高度を飛行することも前提条件とされた。

関西空港と神戸空港、発着枠増で何が変わる?

神戸空港。ポートアイランドの沖にある(筆者撮影)
コロナ禍の後、インバウンドの急増などもあり、関西空港では国際線の新規就航や運航再開などが相次ぐ。記録的な円安による「お得感」に加え、来年には大阪・関西万博の開催もあり、外国人旅行客がさらに増えることが見込まれる。

一方、現在は国内線のみの神戸空港では、万博開催時に国際線のチャーター便、2030年に国際線の定期便就航も、今回の発着枠拡大で視野に入れる。発着枠を増やすことはある意味、神戸空港では長年の悲願ともいえる。

万博開催前に、新たな飛行ルートが認められ、関西、神戸の各空港での発着枠が増えることが決まったのは朗報だ。京都や奈良など国内屈指の人気を誇る観光地を抱え、交通アクセスも便利な関西エリアは、世界あらゆる地域からの外国人旅行客から人気が高い。その空の玄関口である関西空港への就航や増便を望む外資系航空会社は、今も多くある。

神戸空港はコンパクトなターミナルと利便性もいい(筆者撮影)
また神戸空港は、ターミナル駅である三宮までポートライナーで直通18分とアクセスがいい。加えてコンパクトなターミナルで使い勝手よく、駐車場の搭乗者割引などもあって阪神間や淡路島、さらに徳島県や岡山県などからの利用者も少なからずいる。

オーバーツーリズム、さらに別の問題も発生中

上空から見た関西空港(筆者撮影)
飛行機の便数が増えると、旅行客の数も増える。これに伴うのが「オーバーツーリズム」で、日本国内ではすでに大きな問題となっている。

例えば、京都。路線バスに大きなスーツケースを持参して利用しようとする外国人旅行客が後を絶たたない。そのため、普段利用の京都市民や通学で利用する学生らがバスに乗れずに積み残しにあう事態に。バス会社側も、京都駅と金閣寺、清水寺など主要観光地を結ぶ直通バスを先日から運行開始したものの、解決には至っていない。外国人旅行客によるマナー悪化もSNSなどで日々散見される。

また、インバウンドの急増で、日本国内のホテル相場も高騰している。国内旅行すらしづらくなっているだけでなく、出張で動くビジネスパーソンへの影響は深刻だ。遠方のやや不便なホテルに泊まらざるを得ない、カプセルホテルやネットカフェ、夜行バスなどで出張費削減などの話も耳にする。

さらに、日本全国で深刻化する人材不足は空港も例外ではない。日本の各空港で一時期、保安検査場の係員が足りずにピーク時間帯で長蛇の列となるのが問題視され、グランドハンドリング業務(地上支援作業)を行うスタッフを募集してもなかなか集まらない事態は全国共通の問題となっている。いずれも、コロナ禍の航空需要激減で離職した人たちが今、戻らないケースが多い。

いずれにせよ、大阪・関西万博を境に今よりさらに混雑必至。これらの問題なども早急に対策する必要があるのではないだろうか。

この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も行う。
(文:シカマ アキ)

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