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65歳以降の在職老齢年金は厳密には老齢厚生年金の全部が支給停止になることはないと聞きましたが、本当でしょうか?

オールアバウト / 2024年8月20日 18時30分

65歳以降の在職老齢年金は厳密には老齢厚生年金の全部が支給停止になることはないと聞きましたが、本当でしょうか?

老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、在職老齢年金について、専門家が解説します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

今回は、在職老齢年金についてです。

Q:65歳以降の場合は、厳密には老齢厚生年金の全部が支給停止になることはないと聞きましたが、本当でしょうか?

「60歳以降の在職老齢年金による老齢厚生年金の全部支給停止についての質問です。65歳以降の場合は、厳密には老齢厚生年金の全部が支給停止になることはなく、老齢厚生年金の中に支給される部分があると聞きましたが、どの部分のことでしょうか?」(Dさん)

A:65歳以降の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「経過的(差額)加算部分」があります。「経過的(差額)加算」部分は、在職老齢年金の対象ではないため年収がどんなに高くても支給されます

60代前半でもらえる老齢厚生年金は、厚生年金保険加入期間中の報酬及び加入期間で計算され支給される特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)だけで構成されています。65歳以降になると、老齢厚生年金は厚生年金保険加入期間中の報酬及び加入期間で計算される「報酬比例部分」と「国民年金部分」「20歳前の厚生年金期間や定額部分との調整分である経過的(差額)加算」に分かれます。

在職老齢年金制度では、60歳以降厚生年金に加入している場合、老齢厚生年金部分の報酬比例部分だけが現在の年収(総報酬月額相当額)と調整されて支給されます。

例えば、65歳前に老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を年額96万円受給していて、現在年収900万円(月収60万円、賞与90万円2回)の場合、65歳以降の老齢厚生年金が再計算され年額120万480円(報酬比例部分120万円、経過的(差額)加算が480円)、老齢基礎年金が81万6000円(令和6年度満額)になったとします。

老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額10万円と総報酬月額相当額75万円(年収900万円÷12カ月)の合計額から基準額50万円を差し引いて計算すると65歳以降の老齢厚生年金は全額支給停止となります。全額支給停止になるのは老齢厚生年金の報酬比例部分だけです。

ただし老齢厚生年金の経過的(差額)加算月額40円(年額480円)は、老齢基礎年金月額6万8000円と一緒に支給されます。

厚生年金加入期間中の国民年金期間分の年金計算は1701円×480カ月=81万6480円として満額が支給されます。65歳以降は老齢基礎年金の満額を差し引いた480円のみ老齢厚生年金として支給されるのです。経過的(差額)加算は国民年金部分なので在職老齢年金の計算からはずすことになっています。

文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)

銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))

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