1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

長男だから当たり前? 長男のくせに甘えるな? 口達者な姉から実家での「同居介護」を強要されてツラい

オールアバウト / 2024年8月18日 21時50分

長男だから当たり前? 長男のくせに甘えるな? 口達者な姉から実家での「同居介護」を強要されてツラい

最近両親の体が弱ってきた。実家から遠く離れたところに住む姉たちから「長男なんだから実家で同居介護しろ」と言われる。自分にも家庭があるのに……。親の介護を巡るきょうだいとのトラブルに悩む50代男性に、介護アドバイザーの横井孝治が寄り添います。

多くの人が直面するであろう「介護」。そこには介護離職、きょうだい間のトラブル、相続などさまざまな問題が横たわっているようです。本稿では介護に悩む人のエピソードを紹介しながら、介護アドバイザーの横井孝治が対応策や注意点などを解説します。

長男だから当たり前……

「姉さんたちはみんな口をそろえて言うんですよ。『長男なんだから実家で親と同居して介護しろ』と。どうしたらいいんですかね」

今回、介護の悩みを打ち明けてくれたのはマスオさん(仮名/50代男性)。子どものころから、口が達者な姉2人に言い負かされてきたと言います。

「80代になる両親は最近足腰が弱ってきて、自分たちで買い物に行くことも難しくなってきていたり、物忘れも増えてきたりしています。姉さんたちは実家から遠く離れたところで家族たちと暮らしているので、それよりは近いところにいる僕が対応せざるを得ない状況です。

親は姉たちに何も言いません。最終的には僕が何とかしてくれると思っているんでしょう」

マスオさんの自宅から実家までは車で1時間ほど。月に1回くらいのペースで親の様子を見に行き、毎週1~2回は電話をしているとのこと。自身も家庭があるマスオさんにとってこれはかなりの負担です。

「いくら姉たちより近いからといってもさすがにツラいじゃないですか。しかも、両親は認知症の検査や要介護認定を嫌がる。このままではらちが明かないので、今後のことを相談しようと頑張って姉さんに連絡を取ったんですよ」

「姉さん、親のことだけど、もうちょっと手伝ってくれないかな?」

「長男のくせに何を甘えているの? 私たちは嫁いだ身だし、手伝えることはないの。そうだ、奥さんに仕事を辞めてもらって日中の介護をやってもらえば? 夜や週末はあなたがやればいいんだし。あ、あと、施設に入れるなんてもってのほかだから。絶対にダメ、やめてよね」

彼女たちには親の介護をする気は一切なく、介護サービスを利用するための費用を負担するつもりもない。しかも、姉たちは両親に連絡をして「私たちから、マスオに同居して介護するようにちゃんと言っておくから」と伝えたとか。両親からも頼りにしていると言われてしまいました。

マスオさんによれば、彼女らが特に施設介護を断固拒否している理由は親の遺産目当てではないかと。

「長男だから、末っ子だからと両親からひいきされた記憶はありません。むしろ姉たちは学生時代に私大に通ったり、留学したりと楽しく過ごしていました。家を建てるときの頭金だって出してもらっている。僕はそんなことをしてもらったことはないですし、社会人になってからは毎月3万円ずつ仕送りまでしています」

姉たちは実家から離れたところに暮らしていることもあり、実家に足を運ぶのは数年に一度くらい。それでも、両親は孫たちにお年玉や誕生日プレゼントを送っているし、その代行をしているのはマスオさんだと言います。

「姉たちに何を言ってもムダ。おそらく看護師としてフルタイムで働く僕の妻をアテにしていると思うのですが、こんな状況を妻に相談して、仕事を辞めさせることなどできない。たとえ自分が無理して同居介護をするにしても、妻や子どもは犠牲にしたくありません。“長男だから”親と同居して介護するのが当たり前なのでしょうか」

「介護の敵」ではなく「人生の敵」では

マスオさんのように、親の介護についてきょうだい間でトラブルになるのはよくあることです。

まずマスオさんに強く伝えたいことは、現状のままでの同居はありえないということ。

お姉さんたちは「介護の敵」というより、もはや「人生の敵」ではないでしょうか。子どものころからのトラウマがあるかもしれませんが、このまま敵の言いなりになって自分の家族や自分自身を犠牲にするのは間違いだと思います。いかにお姉さんたちと戦うかが大事になってくるはずです。

また、もしも両親から過剰な期待をされているのであれば、なるべく早くに「同居は無理」「要介護度が高くなったら施設介護以外の選択肢はない」などと伝えてしまいましょう。

親と同居した場合、扶養の責任範囲が大きくなるだけでなく、介護離職に至る可能性も格段に高くなってしまいます。介護目的で同居するのはとてもリスクが高い行為なので、筆者はおすすめしていません。

「すべてをかなえよう」「全部100点を目指そう」と思うから破綻を招くわけです。無理なことは無理としっかり伝えて割り切るのが大事。

介護期間が1~2カ月で確実に終わるならともかく、数年、場合によっては10年、20年とかかることもある以上、無理せず持続できる方法を見つけるしかありません。心身共に適切な距離を保ち、できることだけをやりましょう。

何を守りたいのか、優先順位付けを

では具体的にはどのようなことをしたらいいのか。まずは実家近くの地域包括支援センターに足を運び、現状について話をしておきましょう。「親の介護について親や姉とまったく話が合わない」「自分はこれ以上サポートできない」などと伝えておくと、何かの支えになるかもしれません。

そして、少々強引な方法に感じるかもしれませんが、どうしてもお姉さんたちに口で勝てないのであれば、実家へ帰るのをやめ、電話もやめて、連絡はLINEのみにする……それくらい思い切って距離を置いてみてはいかがでしょうか。

テキスト上のやり取りならゆっくり自分で考えて思いを伝えることができるはず。口達者なお姉さんたちと同じ土俵に立たないことが重要です。

また、「うちの長男は優しいから甘えておけばいいや」と思ってしまっている両親に問題意識を持ってもらうことも忘れてはいけません。認知機能の低下が見られ、今後判断力が衰えていくであろう両親に最終的な意思決定をまかせるのは危険です。

「認知症の検査や要介護認定を受け入れないなら、今後自分は一切サポートしない」「仕送りも止める」「姉さんたちに世話を頼んで」と伝えてしまっていいのではないでしょうか。

なお、当面の介護や施設にかかる手間や費用については、LINEなどテキストでお姉さんたちに相談しましょう。もしも彼女たちが親の介護に協力しないなら相続放棄するように要求したいところ。弁護士などに依頼して親族間扶養公正証書などを作成し、話し合った内容を文書化しておくことはとても大事だと思います。

「妻や子どもを犠牲にしたくない」という思いは素晴らしいものです。ただし、奥さんやお子さんも、そんなお父さんが犠牲になるのはイヤだと思うのでは。なので、何を守るのか、優先順位を付けてほしいのです。もちろん親もきょうだいも大事。でも、妻子と自身以上に大切なものはないはずです。


横井 孝治プロフィール

両親の介護をする中で得た有益な介護情報を自ら発信・共有するため、2006年に株式会社コミュニケーターを設立。翌年には介護情報サイト「親ケア.com」をオープン。介護のスペシャリストとして執筆、講演活動多数。また、広告代理店や大手家電メーカーなどでの経験を生かし、販促プロデュース事業も行う。All About 介護・販促プロモーションガイド。
(文:横井 孝治(介護アドバイザー))

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください