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親子ゲンカはもうおしまい。中学受験で子どもを追い込まず、信頼関係を高める「親の関わり方」2つ

オールアバウト / 2024年8月24日 21時25分

親子ゲンカはもうおしまい。中学受験で子どもを追い込まず、信頼関係を高める「親の関わり方」2つ

子どものためを思って中学受験を始めたのに、親子ゲンカが増えて家庭の雰囲気が悪くなったと感じている人もいるのでは? 今回は中曽根陽子さんの新刊『親子で勝ち取る最高の合格』の一部を抜粋・再構成し、子どもを追い込まない関わり方をご紹介します。

中学受験を最高の経験にするために何より大事なのは、「親と子どもとの信頼関係」です。

断っておきますが、最高の経験とは、志望校に合格することだけではありません。

受験なので合格はもちろん目指しますが、それよりもやってよかったと思えること。そして、受験が終わったあとも子どもが成長し続けられるようになること。この2つが成し遂げられてこそ、「中学受験が最高の経験になった」といえるのではないでしょうか。

そのために、受験軸を決めること、それを家族でたまに見直し修正することが必要だということを拙著『親子で勝ち取る最高の合格』でお伝えしています。

ただ、それも「親子の信頼関係」があってこそできます。信頼関係がない相手に本音は言えませんし、前向きな話し合いはできません。長い受験生活の中では、予想もしないことが起きるでしょう。気持ちや決意が変わることだって、当然あります。

そのときに、対応の仕方を間違えると、親子関係にヒビが入るだけでなく、子どもの心に傷を負わせてしまうことにもなりかねません。

だからこそ、何か困ったときに話し合える関係性でいることが、親子でタッグを組んで行う中学受験にとって大事なことなのです。このとき、親が子どもとの関わりや日々の暮らしの中で気をつけたいのは次の3つ。

・壊さない
・追い込まない
・構いすぎない

この記事では、2つ目の「追い込まない」についてご説明します。

親子の信頼関係づくりで大事なのは「追い込まない」こと

少しでも成績を上げようと、子どもの横に張りついて勉強をさせたり、仕事で使うような「完璧な学習スケジュール」をつくって、計画どおり進んでいるか随時チェックしたり、毎日のやるべき課題を全て紙に書いて子どもに渡したり……。

一概にこれらが悪いとはいいませんが、親が受験に必死になりすぎると、気づかぬうちに子どもを追い込んでしまうこともあるので、注意が必要です。

親のコントロールがいきすぎると、しこりが残ることがあります。

また、両親ともに受験に必死になると、子どもの逃げ場がなくなってしまいます。反対に、無関心もやめましょう。受験軸を共有したワンチームとして、ゴールを目指すのがベストだと思います。ここからは、心理学をベースにした子どもを追い込まない2つの関わり方をお伝えします。

「ポジティブアプローチ」で関わる

心理学では「できているところに注目し、そこを伸ばしたほうが人は伸びる」ということがわかっています。この関わり方をポジティブアプローチと呼びます。

反対に「できないところや問題にフォーカスし、その原因を探って解決しようとすること」をギャップアプローチといいます。ギャップアプローチは、問題解決の手法として一般的に使われますが、悪いところはどこかを見ていくので、ダメ出しになりがちです。 一方ポジティブアプローチは、実現したい未来を考えて、その実現のために具体的にどうするかを考えていくので、革新が生まれやすいといわれています。

私たち大人は、「できないところをできるようにすることが勉強だ」と教わってきているので、子どもの勉強を見るとき、できていないところを指摘し、できるようにしようとします。でも実は先ほどお伝えしたとおり、「できないところよりできるところに注目したほうが、能力は伸びる」のです。

だから、お子さんの能力を伸ばしたいと思ったら、ポジティブアプローチを心がけましょう。できているところに注目し、そこを伝えて励ますのです。できたところを認めてもらった子どもは、まず安心します。そのうえで、さらによくなるためにはどうしたらいいかを考えれば、いろいろな方法を考えつくでしょう。 こういう話をすると、「ほめたらもうこれでい いと思って、やらなくなるのでは?」と言う方がいますが、そうではありません。

できると思えば行動が変わり、結果が変わるから、自尊感情が高まり、さらに理想を実現しようという行動ができる。いい循環が起きるから、いい結果を引き寄せられるのです。

これは受験全体に共通する考え方です。誰にでも苦手科目、得意科目がありますね。親はつい苦手科目を頑張らせたくなりますが、そこに意識を向けすぎると、勉強が苦痛になってしまいかねません。

まずは、得意科目で自信をつけてあげたほうがいいでしょう。お子さんにしてみたら、得意なこと、できることをするので、楽しいし結果も出やすいはず。

得意科目に余裕ができれば、他の科目に時間を割くことができますよね。その中で、不得意科目の攻略法も、具体的に考えてみたらいいと思います。

「子どもの成績が伸び悩む」などネガティブなことが起きたときこそ、親のやるべきことは、ダメ出しではなく、ポジティブアプローチです。

しなやかマインドをセットする

ポジティブアプローチの他に、親ができることが「マインドセットを整える」ことです。困ったことが起きたとき「あーもうだめだ!」と思うか、「なんとかなる」と思うか。

この違いは、その人のマインドセットによって生まれます。マインドセットとは、簡単にいうと「無意識の思考のクセ・思い込み」。

近年、知識 · スキルよりも、マインドセットがポジティブであるか否かが、仕事の成果を出すうえで重要だともいわれています。

マインドセットは「成長型(グロースマインドセット)」と「固定型(フィックストマインドセット)」の2種類に大別されます。ここでは、成長型を「しなやかマインドセット」、固定型を「こちこちマインドセット」と呼ぶことにしましょう。

「しなやかマインドセット」は「自分の能力は努力次第で成長させることができる」という考え方であり、「こちこちマインドセット」は「能力は元々決められていて変わらない」という考え方です。

どちらのマインドセットを持つかで、失敗に対する捉え方も変わります。「こちこちマインドセット」の人にとって、失敗は能力が足りない証明なので、失敗する可能性のある挑戦は避ける傾向があります。一方、「しなやかマインドセット」の人にとっては、失敗は成長へのプロセスだと思えるので、挑戦することが楽しいし、少々の失敗でも落ち込みにくく立ち直りも早い傾向があります。

「しなやかマインド」を育てる3つの方法

では、「しなやかマインドセット」を育てるにはどうしたらいいのでしょうか?

実は、どちらのマインドセットを持つようになるかは、小さい頃からの親の関わり方や声かけの影響が大きいといわれています。親が子どもとの関わりの中で意識したいことは次の3つです。

1. 能力は伸びることを伝える

これは、シンプルに、「能力は努力すれば伸びるよ」と伝えることです。

ある学校で、こんな実験が行われました。Aクラスの子どもたちには、数学者の写真を見せ「この数学者は普通の人だったけれど、数学が大好きで、一生懸命取り組んだ結果、すばらしい発見をしたんですよ」と伝えました。Bクラスでも同じ写真を見せたのですが、そのとき「この数学者は天才で、すばらしい発見をしたのですよ」と伝えたのです。すると不思議なことに、学期の終わりにテストの点がよくなり、算数を好きになったのは、Aのクラスの子どもたちだったのです。「能力は努力すれば伸びると伝えられた→そう信じて努力した→楽しく勉強ができて、結果的に成績も上がった」というポジティブな流れが起きたのでしょう。

2. 結果ではなく、行動やプロセスに注目する

模試の結果が出てきたとき、いい点数を取れていたら、ほめますよね。でもそのほめ方が、逆にこちこちマインドセットを育ててしまっているかもしれません。

こんな実験があります。小学5年生500人に簡単なパズルをしてもらいました。簡単なパズルなので、できる子がほとんどです。パズルを解いた子どもたちの半分に対しては「あなたは賢いに違いない」と能力をほめました。もう半分に対しては、「あなたは一生懸命やったに違いない」とその努力をほめたのです。

その声かけのあとで、パズルを解いた子全員に「次にやるパズル」を選んでもらったところ、能力をほめられた子どもたちは簡単なパズルを選び、努力をほめられた子どもたちの9割が難しいパズルを選びました。つまり、能力をほめられた子どもは、「次に失敗したら、能力がないと思われてしまう」と無意識に考えてしまい、挑戦をしなかったのです。

結果にフォーカスするか、努力にフォーカスするかで、こんなに結果は変わります。ぜひ、結果(偏差値や点数)ではなく、お子さんが努力していること(行動 • プロセス)にフォーカスして、それを具体的に伝えてあげましょう。

3. 親が失敗を悪いこととしない

親が失敗を悪いことだと思っていると、子どももそう思うようになります。親が失敗するのは悪いことではないと思っていれば、子どもも自然にそう思うようになります。

親だって失敗することがありますよね。そのとき、それを隠さず「ママも失敗しちゃっ た」と言えるかどうかが大事です。「失敗するということは、何かに挑戦した証。うまくい かなかったら、またやってみればいい」家庭の中で、そんな空気をつくれたらいいですね。

受験は「親子の信頼関係」で9割決まる

2024年8月22日発売の『親子で勝ち取る最高の合格』(青春出版社)では、親子の信頼関係づくりで大切な残り2つのポイント、「壊さない」「構いすぎない」についても具体的な事例を交えて説明しています。

受験は、その子の人としての育ちの大事な機会になりますが、やり方を間違えるとしこりを残すことにもなりかねません。そして、中学受験では、そのどちらになるかを左右するのは、親の関わり方が大きいのです。それだけに、『親子で勝ち取る最高の合格』では、一貫して受験軸を持つことを提案しています。

「中学受験をやってよかった!」と家族で言い合え、親子ともに成長できたと実感できる。そんな「最高の合格」を手にするためのヒントを詰め込みました。

「中学受験をしてみようかな」と思っている方には、これからの受験生活を充実したものにするために、そして、中学受験をしているけれど「なんだかうまくいかない」「これでいいのか不安になる」などの悩みがある方には、そのモヤモヤを晴らし、最後まで一緒に伴走するガイド役として、読んでいただけたら幸いです。

この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
(文:中曽根 陽子)

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