洗濯が失敗する“漂白剤のNG使用例”……「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」の正しい使い分けとは?
オールアバウト / 2024年8月29日 21時15分
衣類を白くする漂白剤。その役割は漂白剤の種類によって異なります。しかし、使い方を間違えると思わぬ失敗が起こることも……。今回は、漂白剤の間違いやすいポイントやNG使用例を、「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」に分けてご紹介します。
漂白剤といえば、「衣類を白くしてくれる」「除菌力がある」とイメージする人は多いでしょう。もちろんそれは間違いではありませんが、使い方を間違えてしまうと、白くするつもりが色が剥げてしまったり、着色してしまったりと、思わぬ失敗が起こることもあるのです。
今回は、そのような失敗を防ぐための漂白剤の正しい使い方についてご紹介します。
用途によって使い分けたい! 漂白剤は大きく分けると3種類
漂白剤は大きく分けると3種類あります。まずは酸化作用によって色素を分解してくれる「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」。そして還元作用によって色素を分解してくれる「還元型漂白剤」となります。「還元型漂白剤」は業務用として使われることが多く、主に鉄分によってついた黄ばみなどを漂白する目的で使われることが多いです。
そのため、一般的な生活の中で使うのは「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」の2種類。「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」は、使用できる製品が異なります。
「酸素系漂白剤」は色柄物に使えますが、「塩素系漂白剤」は白物のみ。次亜塩素酸ナトリウムが主成分の「塩素系漂白剤」のほうが漂白力は強いですが、色柄物に使ってしまうと色落ちしてしまうのです。
さらに細かく分けていくと、「酸素系漂白剤」には液体タイプと粉末タイプがあります。液体タイプは過酸化水素が主成分となるものが多く、日頃の洗濯で洗剤と一緒に入れて使うのに向いている漂白剤です。一方、粉末タイプは過炭酸ナトリウムが主成分となるものが多く、黄ばんだ衣類やシミがついてしまった衣類の漂白などに向いています。
間違えやすいポイント
次に、SNSなどでよく見かける間違えやすいポイントをご紹介します。粉末の「酸素系漂白剤」は酸性ではない
「酸素系漂白剤(粉末)」の主成分は「過炭酸ナトリウム」で、どちらにも「酸」の字が入っているからでしょうか。オキシクリーンなど、粉末タイプの「酸素系漂白剤」を「酸性」と紹介しているのをよく見かけます。粉末の「酸素系漂白剤」は、正しくは弱アルカリ性となります。「塩素系漂白剤」はまぜるな危険
「塩素系漂白剤」には、商品パッケージに大きく「まぜるな危険」と書かれています。これは酸性のものと混ざると有毒なガスを発生し、命にかかわる重大な事故を招く可能性があるからです。残念ながら、最近のSNSでは「塩素系漂白剤」を他の洗浄剤などと混ぜて使う方法が散見されます。漂白剤にあるのは「除菌力」で「殺菌力」ではない
「殺菌力」は文字通り菌を殺す作用のことで、この言葉を使えるのは「医薬品医療機器等法」の対象になる「医薬品」や「医薬部外品」になります。洗剤や漂白剤などに使えるのは「菌を減少させる」という意味での「除菌」という言葉です。漂白剤にあるのは、「殺菌力」ではなく「除菌力」となります。「酸素系漂白剤」のNG使用例
それでは、「酸素系漂白剤」と「塩素系漂白剤」でそれぞれ起こりやすい失敗を挙げていきます。粉末の「酸素系漂白剤」を使い、密閉袋で漬けおきするのはNG
粉末の「酸素系漂白剤」をお湯で溶かして衣類や靴などを漬けおき漂白したいときに、チャック付きの保存袋など密閉した状態で漬けおきするのはNGです。酸素が発生して爆発する可能性があります。袋の一部を開けるなどして、発生した酸素が抜けるようにしてください。オキシクリーンを販売しているグラフィコからは、酸素の抜け穴があるオキシ漬け専用バッグも発売されていますよ。
「酸素系漂白剤」が使えないものがある
「酸素系漂白剤」は「塩素系漂白剤」に比べて作用が優しいので、何にでも使えるようなイメージかもしれませんが、使えないものもあります。液体タイプ、粉末タイプともに、水洗いできないものや金属製のファスナーやボタンがついているものには使用することができません。また、粉末タイプの場合、毛や絹に使用することもNGです。「塩素系漂白剤」のNG使用例
前述のとおり、「塩素系漂白剤」は色柄物には使えず白物だけに使えますが、白物でも失敗してしまうことがあるのです。白いワイシャツを漂白したら襟が黄色くなった
白いワイシャツだからと安心して「塩素系漂白剤」で漂白したら、襟の部分だけが黄色く着色することがあります。これは、襟の中に入っている芯の素材と「塩素系漂白剤」が化学反応を起こしてしまったことが要因です。必ず衣類の洗濯マークを確認してから使うようにしましょう。白いパーカーを漂白したらピンクになった
日焼け止めクリームが衣類に残っていると、紫外線吸収剤が塩素系漂白剤と化学反応を起こし、ピンクやオレンジになることがあります。この場合、日焼け止めクリームの成分を衣類から落とせば色もなくなるので、日焼け止めクリームがついている部分をよく洗うことで色を落とすことができます。
ゴムがゆるくなった
靴下などのゴムが入っているものを漂白すると、突然ゴムが切れたようにゆるくなってしまうことがあります。これは、ゴムに使用されているポリウレタンが「塩素系漂白剤」によって弱くなり伸びてしまったことが原因です。この他、水洗いできないものや金属製のもの、陶器や漆器などにも、「塩素系漂白剤」は使うことができません。
「塩素系漂白剤」も「塩素系漂白剤」も衣類に使用する場合、まずは洗濯マークを必ず確認するようにしましょう。衣類以外に使用する場合は、使用する前にインターネットで調べるのがおすすめ。今の時代、インターネットで調べれば、使えるか使えないかはすぐに分かります。
衣類であってもそうでなくても、洗濯マークや情報を確認してから使うようにすると失敗しないですみますよ。
(文:矢野 きくの(節約・家事・100円ショップガイド))
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