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『エイリアン:ロムルス』見る前に知ってほしい「8つ」のこと! 原点回帰した傑作の理由を解説

オールアバウト / 2024年9月5日 20時15分

『エイリアン:ロムルス』見る前に知ってほしい「8つ」のこと! 原点回帰した傑作の理由を解説

9月6日より公開される『エイリアン:ロムルス』は、万人向けのエンタメ性が抜群、しかもシリーズの愛情と敬意にあふれた傑作でした。その面白さの理由と知ってほしいことを解説しましょう。(※サムネイル画像出典:(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.)

9月6日より『エイリアン:ロムルス』が劇場公開されます。

1979年に公開された『エイリアン』は「SFホラー」というジャンルの金字塔です。美しくも恐ろしい画作り、エイリアンのグロテスクな造形、そして恐怖演出まで、後継の作品に強い影響を与えています。

今回の『ロムルス』は、その『エイリアン』シリーズの通作7作目。本作がどういう人におすすめできるか、そもそもシリーズの魅力は何か、などについて「8つのポイント」から解説しましょう。

1:予備知識ゼロで楽しめる「入門」に最適な内容に

結論から申し上げれば、『エイリアン:ロムルス』は『エイリアン』シリーズを見たことがなくても全く問題ありません。
物語はほぼ独立していますし、後述する要素それぞれの魅力が極限まで高められた、エンタメ性抜群のアクションホラー映画になっているのですから。

物語上で分かりにくい部分はごくわずか。たとえ「分からない」ことがあったとしても、その不可解さや謎がむしろ恐怖や娯楽性にもつながっているのです。

2:時系列は『1』と『2』の間! シリーズファンがニヤリとする内容に

今回の『ロムルス』の物語の時系列は、『エイリアン』1作目と『エイリアン2』の間であることを知っておくといいでしょう。
付随して、シリーズを見ている人だとニヤリとできる小ネタやオマージュも備えており、時系列を踏まえるとより「なるほど!」と納得できる要素もあります。『エイリアン』入門にピッタリでありつつも、ファン向けのサービスもしっかりある、というバランスなのです。

また、2024年に制作された作品ながら、劇中のゴツゴツした機械などに「レトロフューチャー」的な魅力があり、それがやはり1980年代に作られたハリウッド映画を想起させるのもうれしいところ。それもそのはず、今作では『エイリアン2』の特殊効果チームを呼び寄せ、さらにはその後のVFX作業の基礎にもなった物理的なセット、クリーチャー、ミニチュアが可能な限り使用されていたりもするのです。
後述しますが、若者たちを中心に据えたのは『エイリアン2』での未公開シーンである「宇宙ステーションの廊下を子どもたちが走り回る様」が着想元になっていたり、2014年のゲーム『エイリアン:アイソレーション』が制作デザインに影響を与えたりもしていたのだとか。実際の本編からも、『エイリアン』シリーズへの愛情をたっぷり感じられるでしょう。

3:PG12指定ギリギリの恐ろしさ

注意点があるとすれば、「簡潔な肉体損壊および妊婦に関わる恐怖演出がみられる」という理由でPG12指定がされていること(12歳未満は保護者の助言・指導が必要)。実際に見たところ、その言葉通り、絶叫してもおかしくないほど刺激的なシーンがあるので、ある程度「覚悟」をした方がいいでしょう。(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.内容の分かりやすさはさておき、ガチで怖い(後述する理由で個人的にはシリーズ最恐)ことと、レーティングが示す通りに中学生以上推奨だとも忠告しておきます。逆に言えば、怖い映画に興味が出てきた中学生以上の人はこれ以上ない、2度とはないほどの恐怖体験ができるでしょう。

4:映画館で見るべき、ラージフォーマットもマッチする内容に

基本的にはミニマムな舞台での攻防戦が描かれる内容ですが、だからこそ他の観客との一体感がある、閉ざされた場所である劇場でこそ見るべき内容だと断言します。

なおかつ、臨場感のあるアトラクション的な見せ場もあり、時にはスケール感のあるスペクタクルも展開する本作。今回の『ロムルス』は、ホラーとして本気で怖かった『エイリアン』と、「今度は戦争だ!」というキャッチコピー通りの派手なアクションへとジャンルを変えた『エイリアン2』の「いいとこ取り」「どちらの魅力もあるお得な内容」と言ってもいいでしょう。 そのため、迫力の音響と大画面で映画を堪能できる「IMAX」、座席の動きなどのさまざまな演出が楽しめる「4DX」、“黒”が映える「Dolby Cinema」、3画面に広がる「ScreenX」という、ラージフォーマットそれぞれでの鑑賞もきっといい選択になるでしょう。

これ以外の予備知識はなくてもいい、というくらいでもありますが、ここからは内容に触れつつ、決定的なネタバレはしないように、過去シリーズを振り返りながら『エイリアン:ロムレス』の解説をしましょう。

5:あらすじから『ドント・ブリーズ』の監督らしい内容

今回の『ロムルス』のあらすじは、植民地の劣悪な環境で暮らす6人の若者たちが、漂流中の宇宙ステーションを乗っ取ろうとするというもの。専門知識も、戦闘能力も、特別なスキルも持ち得ていない、社会的に恵まれてはいない若者たちを描いているのです。
それを踏まえて注目したいのは、監督が日本でもスマッシュヒットをした2016年公開のホラー『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス監督であること。『ドント・ブリーズ』は、若者たちが「泥棒」に入り、そこにいた恐ろしい存在(盲目の元軍人の老人)から逃げまどいつつも戦う内容であり、さらには若者たちの「貧しさ」がそもそもの行動原理になっているなど、今回の『ロムルス』と符合しているところがとても多いのです。

それだけでなく、「音を立てないようする」といったハラハラドキドキの展開も『ドント・ブリーズ』から受け継がれています。後述するエイリアンの第2形態である「フェイスハガー」は「目がない代わりに音と体温に反応する」生態であり、その側を通らなければならなくなる「音を立てたら終わり」な「鬼ごっこ」も展開するのです。
その他のシチュエーションでも、「制限された空間」が生かされた攻防戦はスリリングで、時には驚きのギミックが飛び出し、さらに物語を盛り上げてくれます。その発端、スリル満点のアイデア、恐怖シーンの見せ方に至るまで、「『ドント・ブリーズ』の監督が撮った『エイリアン』」として大いに納得できる&極限まで面白くなるように工夫された作品なのです。

なお、タイトルの「ロムルス」とは、ローマ帝国の建国神話に登場する双子「ロムルスとレムス」が元ネタで、劇中ではロムルスとレムスの2つのブロックに宇宙ステーションが「分かれている」ことも面白いギミックになっています。この異なる視点を描きながらシチュエーションを盛り上げることも、『ドント・ブリーズ』に通ずるポイントです。

6:「形態変化」がシリーズ中でも最恐に

個人的に、今回の『ロムルス』のエイリアンは過去最恐でした。その理由の筆頭は、エイリアンの特徴である「形態変化」の恐ろしさが、1作目を踏襲しつつも、より強く打ち出されていることにあると思います。
卵のような第1形態「エッグチェンバー」から不穏ですし、今回のポスターアートになっている第2形態「フェイスハガー」は「顔に抱き付く者」という名前の通り人間の顔に張り付く時点で気持ち悪い……そのまま人間を殺したりはしない理由が分かっていく過程には、『エイリアン』を知らない人こそ、いい意味で「生理的嫌悪感」を抱くことになるのではないでしょうか。
第3形態「チェストバスター」が「胸部を破壊する者」と名付けられた意味は……知らない人のためにここでは秘密にしておきましょう。

第4形態「ゼノモーフ」は昆虫が進化したような造形の、人間よりも大きな成体。唾液や体液が強酸性で全てを溶かす姿も含め、対峙(たいじ)するだけで絶望を与えるような存在でした。

今回の『ロムルス』における最大の恐怖は、実はそれ以外のことにあるのですが……それはどう記そうがネタバレになるのでここでは伏せておきましょう。

ともかく、変化していく形態それぞれで人間たちが蹂躙(じゅうりん)されていく様が、他のホラー映画のキャラクターと一線を画すエイリアンの怖さなのだと、再認識したのです。

7:「弱い」と思われた者たちによる反骨精神の物語

前述してきたエイリアンの造形は男性器(第1形態のエッグチェンバーは女性器)をモチーフにしていることがよく知られており、その「生理的嫌悪感」もまた恐怖を呼び起こしますし、1作目『エイリアン』では女性への性暴力のメタファーが込められた場面もあります。

『エイリアン』シリーズの主人公はいずれも女性であり、特に4作目までのシガニー・ウィバーが演じた「リプリー」は、「強い女性」のアイコン的な存在でもあります。
だからこそ、性暴力への反撃、またはフェミニズムの精神も根底にあるシリーズともいえるでしょう。1作目の序盤こそ主人公らしい描かれ方をしていなかったリプリーが、​決して諦めず、最後まで戦い抜く姿に勇気づけられますし、それは同時に現実の男性優位・支配的な社会構造への反骨精神の象徴とも解釈できるのです。

今回の『ロムルス』ではさらに、経験も知識も乏しい、社会で搾取される若者たちを中心に据えていますし、やはり主人公となるのは女性。世間からは「弱い」立場とされる者たちが自立し戦い抜く姿は、1作目のオマージュであるとともに、より強調されています。

客観的には弱い存在にも思える女性および若者たちが、恐ろしく強く、到底かなうはずもないエイリアンにどう立ち向かうのか……そこで打ち出される知恵と勇気は、娯楽として楽しめること以上に、現実の生きる希望へもつながる意義も、強く感じるのです。

8:アンドロイドの存在と、運命にあらがう選択をする物語

『エイリアン』シリーズにおいて、アンドロイド(人間の姿形を模したロボット)のキャラクターの存在は欠かせません。極めて合理的な判断で動き、話し方も人間味に欠けているようでいて、「それだけではない」奥行きを感じさせるアンドロイドたちは、それぞれで忘れられないインパクトを与えてくれていました。

今回の『ロムルス』におけるアンドロイドは、主人公の「弟」です。ギャグ(ダジャレ)を連発したりもしますがウケはイマイチ。仲間からも「ゴミ」だと罵倒されるふびんなキャラクターなのですが、彼には中盤からとある変化が訪れ、主人公たちの選択に強い影響を与えることになります。

合理的な判断をするアンドロイドの存在を持ってして、逆説的に人間が人間たるゆえん、つまりはヒューマニズムが見えてくるというのも『エイリアン』シリーズの特徴といえるでしょう。(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.また、1作目の『エイリアン』および、シリーズ5作目『プロメテウス』と6作目『エイリアン:コヴェナント』を手掛けたリドリー・スコット監督は、他の映画でも「機械的に構築された社会構造に置かれた者」を主人公とし、彼らが「残酷な運命に立ち向かう」物語を多く描いてきました。

「弱い」立場の若者および女性を主人公としていることも併せて、やはり本作は『エイリアン』シリーズの「原点回帰」にして、「運命にあらがう選択の物語」として実に完成された作品だと思います。

おまけ:2024年はホラーの超当たり年!

2024年はこの『ロムルス』も含め間違いなくホラー映画の当たり年、いや、もはやホラー映画の歴史の転換点といえます。

現在公開中の『Chime』と『サユリ』は日本のホラー映画の二大巨頭と断言できるほど、この『ロムルス』と同日より公開の韓国ホラー『憑依』も娯楽性抜群の内容でしたし、翌週である9月13日から公開の『アビゲイル』も「誘拐した少女がヴァンパイアでした」という設定を最大限に生かしたアイデアの数々が楽しくて仕方がない内容でした。
さらには9月27日より36年ぶりの続編となるホラーコメディー『ビートルジュース ビートルジュース』、『Chime』を手掛けた黒沢清監の最新作にして菅田将暉が「転売屋」を演じる『Cloud クラウド』も公開と、ホラー映画ファンにはうれしい悲鳴が止まりません。
2024年傑作ホラー映画のビッグウェーブに乗るためにも、まずは『ロムルス』を楽しんでほしいです。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
(文:ヒナタカ)

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