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なぜパリ五輪会場のトイレには「便座」がなかったのか。日本と異なる、フランスの「衝撃トイレ事情」

オールアバウト / 2024年9月5日 21時25分

なぜパリ五輪会場のトイレには「便座」がなかったのか。日本と異なる、フランスの「衝撃トイレ事情」

パリ五輪の開催も相まって、世界中から観光客が集まるパリ。しかし、トイレ事情は日本と全く異なります。パリで暮らす筆者が見た「衝撃の事実」をご紹介します!

日本のトイレに慣れていると、パリのトイレ事情に衝撃を受けることがあります。数も少なく、見つけるのにひと苦労。フランスにはコンビニがないため、トイレを探しにあちこち歩き回る必要があるのです。しかしようやく見つけた先で待っているのは、「トイレットペーパーがない」「便座がない」「有料!」といった驚きの光景です。公衆トイレは無料で使えますが、日本とはかなり構造が違うため戸惑ってしまいます。

使用後は“丸洗い”の公衆トイレ。床は毎回「水浸し」

パリ市内には約750の公衆トイレがあります。ただ、定員は1人のみ。男女共用で、基本的には24時間使用可能かつ無料です。トイレットペーパーはありますが、たまに切れていることもあるので先に確認が必要です。ドアを開けるには、トイレの外にあるボタンを押す必要があり、押すと自動でドアが開閉します。このとき、ボタン下にあるランプに注意! 色によって使用可能かどうか、分かる仕組みになっています。「青」のランプが点灯しているときは、「LAVAGE(洗浄中)」という意味です。

では「LAVAGE(洗浄中)」とは何でしょうか。実はパリの公衆トイレは、使用後に便器も、床も含めてトイレが「丸ごと」洗浄されます。つまり、床は毎回水浸しになってしまうということ。一応、乾燥まではしてくれるのですが、時間にして10~15分は待たなければいけません。

パリ市は五輪を機に、市内約半分の公衆トイレを最新のものに交換したそうです。現在は水と電気の使用量を減らした「環境にやさしい」公衆トイレに交換されていますが、清潔度においては疑問が残るといえるでしょう。

地元フランス人はどこを利用するのか

では、現地の人は急ぎの時にどこでトイレを利用しているのでしょうか。多いのは、「コーヒー代を払ってカフェを利用する」という使い方です。実際に、フランス在住歴6年の筆者も、最も利用するのがカフェのトイレ。1杯2.5~3ユーロ(約400~480円)のコーヒー代を払って、落ち着いた状態でトイレに向かいます。清潔度は普通か、普通以下。というのも、フランスにはウォシュレットがありませんし、日本のようにこまめに掃除する習慣もありません。有名な美術館でも清潔なトイレを見かけるのは珍しいことです。「トイレ掃除で運気アップ!」といった意識は全くありません。

大型施設のトイレはほとんどが有料

もう1つは、大型デパートやショッピングセンターに行く方法です。しかし大型施設のトイレはほとんどが有料だと思っておいた方がいいでしょう。例えば、パリの老舗デパート「ギャラリー・ラファイエット」では、6階のみが無料で使用可能です。それ以外の階では全てのトイレが有料でした。ショッピングセンターでも有料トイレを導入しています。値段はだいだい1ユーロ(約160円)。現金かカードでお金を払い、出てきたレシートチケットに「QRコード」が印刷されていますので、それを出入り口にかざして入ります。こちらは清掃スタッフがこまめに掃除しているため、清潔度に問題はありません。

フランスのトイレは、なぜ便座がないのか

さて、フランスでは「便座のないトイレ」をよく見かけます。これを初めて見た時にはかなりの衝撃を受けました。空港やサービスエリア、コンサート会場など、規模が大きくなればなるほど「便座がない」のです。最近では、五輪の競技会場のトイレにも便座がありませんでした(筆者が訪れたのは水泳、柔道の競技会場)。その理由をフランス人に聞いてみると、「掃除の効率アップ」「すぐ壊されるから」とのことです。理由は分からなくもないですが、日本人にとっては大きな衝撃ですね……。もちろん清潔度は良くありません。

さらに、公共でも家庭でも、フランスのトイレは水圧が弱いです。場合によっては2回流すことが必要な時も。フランス人が日本のトイレを称賛する背景にはこうした“自国のトイレ事情”があるようです。

この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
(文:大内 聖子)

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