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山手線は緑色、中央線はオレンジ色。JRの「路線カラー」はどのようにして決まった?

オールアバウト / 2024年9月8日 20時15分

山手線は緑色、中央線はオレンジ色。JRの「路線カラー」はどのようにして決まった?

JRの路線には、「山手線→緑色」「中央線→オレンジ色」といったように、それぞれ色がついている。この色がどのように決まっていったのかはご存じだろうか。「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。

お出かけや仕事に、多くの人が利用するJRの電車。山手線は緑色、総武線は黄色といったように、それぞれの路線ごとに色がついているが、この色がどのようにして決まっていったかはご存じだろうか。

「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。

(今回の質問)
山手線→緑色、中央線→オレンジ色……JRの路線の色はどのようにして決まったんですか?

(回答)
元々は誤乗防止のため別の色を使ったとされている。その後、路線カラーとして何種類かに色分けされた。

ブドウ色の車両が走った国鉄時代

国鉄時代の国電と言えば、この塗装ばかりだった蒸気機関車が主力であった旧国鉄の車両の色は、煤煙(ばいえん)によって汚れが目立たないように黒やブドウ色(焦げ茶色)が主体だった。首都圏や関西圏で活躍していた通勤電車(国電)もブドウ色ばかりで、よく言えば重厚、華やかさとは無縁のものだった。

「乗り間違い」を防ぐため、別カラーが登場

まずはオレンジ色の新性能電車が登場。関西では大阪環状線がこの色だった1957年、都内を走る中央線に101系(登場時は90形)電車が登場した。それまでの車両とは一線を画す「新性能電車」で、ドアは両開きとなり、塗装も鮮やかなオレンジバーミリオン一色。利用者、特に丸の内に通勤する女性からは「金魚」の愛称で呼ばれた。

なぜオレンジ色になったのか、正確なことは不明だが、当時の担当課長が夫人の愛用していたセーターの色にヒントを得たとの説が有力である。カナリア色の101系。JRから引退後、埼玉県の秩父鉄道で復活した中央線に続き、この101系は山手線に投入される。その際、中央線と競合する東京駅や新宿駅での乗り間違いを防ぐため別の色にすることが提案され、カナリアイエローの電車が走り始めた。

ところが、101系ではオーバースペックということになり、変電所などの設備も大幅に増強する必要に迫られることに。そこで、経済性を重視した103系が登場することとなり、車体色はウグイス色(ライトグリーン)とすることが決まったのだ。すでに走っていたカナリア色の101系は、そのまま中央線緩行&総武線に異動。このあたりから、国電は路線別に色を変えることとしたようだ。スカイブルーの103系。関西の阪和線羽衣支線で走っていた頃の写真その後、1965年になると京浜東北線に103系が投入され、車体色はスカイブルーとなった。さらに、1971年の常磐線複々線化開業にともない、常磐線快速電車はエメラルドグリーンの103系がデビューした。これ以後、新たな単色カラーが加わることはなかった。

現在は窓下のストライプのみが色別に

1973年に武蔵野線が新規開業したとき、車体色がどうなるのか気になった。残るは紫色? との予想もあったがはずれ、中央線と同じオレンジバーミリオンに決まった。青梅線・五日市線も、旧型国電が一掃されて101系、103系が使われているが、中央線への乗り入れもあり、色はオレンジバーミリオンである。

長らくブドウ色の旧型国電が走っていた南武線は過渡期にはオレンジと黄色の混成編成もあったが、最終的には黄色に落ち着いている。鶴見線も黄色の101系、103系が走っていた。京阪神エリアではウグイス色の正面に白帯を加えた塗装の103系が関西本線や奈良線で活躍した関西では、大阪環状線がオレンジバーミリオン、東海道線(京都~大阪~西明石)の各駅停車はブルー、関西本線(奈良~湊町)はウグイス色(正面に白帯追加)、福知山線は大阪~宝塚電化開業と同時にカナリア色の103系が配置された。いずれも、首都圏の路線で使用された塗装ばかりだった。現在の中央線の主力E233系。ストライプのみオレンジ色だJRが発足して以降、ステンレスの電車が主流となると、窓下のストライプのみが色別となり、101系、103系、201系時代のカラーがそれぞれの路線に引き継がれている。

この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
(文:野田 隆)

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