「この世のものとは思えない」壮絶な個室も…旅行ジャーナリストが目撃した「世界のトイレ事情」
オールアバウト / 2024年9月15日 21時15分
海外旅行で、旅行者にとって心配事の1つが「トイレ」事情ではないでしょうか。世界をまたいで活躍する旅行ジャーナリストが経験した千差万別の「トイレ事情」と心構えをまとめました。行く前に知って準備しておくに越したことはありません。
海外旅行先での心配事といえば、その1つに「トイレ事情」を思い浮かべる人は多いでしょう。旅行ジャーナリストとして世界のあらゆる国や地域をめぐった結果、筆者は「日本が最も清潔である」と断言します。
その上で、まさに千差万別な世界のトイレ事情について、エリア別に紹介しましょう。旅行の前に知って準備しておくに越したことはありません。
【アジア】いまだ多い、トイレットペーパーを「流してはいけない」国
トイレでトイレットペーパーをそのまま“流してはいけない”国・地域は、現在も多いことを覚えておきましょう。例を挙げると、「韓国」「台湾」「中国」「タイ」「ベトナム」「フィリピン」など。トイレの配水管が細い、トイレットペーパーの質が悪いなどの理由で、トイレが紙で詰まる原因となるからです。これらの国・地域のトイレには、女性用トイレであれば個室に生理用品用のごみ箱よりも大きめのごみ箱が設置されています。その場合、使用済みのトイレットペーパーはそこに入れます。
日本から近いアジア諸国でも、トイレットペーパーが流せないトイレはまだまだ多いのが実情。一方で、高級ホテルや空港などでは“流せる”トイレが徐々に増えてきてはいます。
【中国】「ニーハオトイレ」減少、地方はまだまだ注意
中国本土のトイレは、個室が仕切られておらず「ニーハオトイレ」と呼ばれるほど隣の人が丸見え状態になるトイレ事情がよく知られています。日本では考えられない話ですが、ほぼ毎年、中国本土を訪れる筆者が、都市部でニーハオトイレに遭遇することは今ではほぼありません。ただ、中国で地方へ行くと、路上で堂々と用を足している人を見かけることも。上海や北京などの都市部と地方ではトイレ事情も大いに異なります。
また、中国は水道事情も良くないので、たとえ高級ホテルであっても「水道水でうがい」など、絶対にしてはいけません。
【ヨーロッパ】トイレは公共・店舗ともに「有料」増加
駅などの公共トイレが「有料」である国・地域も多くあります。筆者も先日訪問したヨーロッパ圏の「フランス」「ドイツ」「イタリア」などでは、トイレの前にゲートがあり、利用料金が0.5ユーロだったり、1ユーロだったりします。支払いは、小銭を入口の皿に置くほか、クレジットカードのタッチ決済が対応していたりすることも。
また無料トイレより有料トイレのほうが、きれいかつ比較的安全であることが多い気がします。国・地域によっては、個室もあるトイレは犯罪の巣窟でないとも限りません。
トイレはできれば、カフェやレストランの利用時がおすすめです。また店舗利用ついでのトイレだと、レジでコイン(1ユーロ)代わりの「トークン」をくれたカフェもありました。
筆者が直近(2024年8月)訪れたフィンランドではこのパターンが多く、飛び込みで中華料理店にトイレ利用を頼むと「1ユーロ」と言われ、周りにトイレがなかったこともあり1ユーロ硬貨を渡して利用しました。日本のように公園などにトイレはなく、コンビニエンスストアもないため致し方ありません。
【インド】「壮絶」な現地事情、一方で「きれいなトイレ」も実はある
海外旅行先として事あるごとに話題にのぼる国の1つが「インド」です。トイレに限らず、旅行のハードルが高い国と言ってもいいでしょう。インドのトイレは、よく“壮絶”と言われます。公共トイレはもちろん、駅などのトイレも利用したことがある人からは「この世のものとは思えない」という感想も。そのため、筆者も実際にインドに行くと決まった時にはトイレに戦々恐々でした。
結果から述べると、「高級ショッピングモール」「高級ホテル」「博物館」「空港」などは、日本人でも余裕で利用できるレベル。
また、街中の「スターバックス」も、入口もしくは店内に警備員がいるため、店内のトイレは比較的きれいでした。しかもこれらすべて、トイレットペーパーがちゃんとあったのが驚きです。
唯一なかったのは、タージマハルの敷地内にあったトイレ。しかし清掃スタッフが多くいて、インドのわりには、まだきれいな状態でした。
インドのホテルでは、部屋にトイレがあってもトイレットペーパーがないこともありました。フロントでトイレットペーパーをもらっても、盗難防止のためなのか、量がとても少なくてびっくり。できることなら、トイレットペーパーは日本から持参がおすすめです。さらに思わぬところで役立つかもしれません。
【エジプト】悲惨といえば、「エジプト」も……
トイレが悲惨といえば「エジプト」も同様。観光地のトイレでは、入口でお金を支払うとトイレットペーパーをちぎって渡されました。そしてトイレの個室は日本とは比較にならないほど、もう目をつむって利用するしかないレベル。日本へ帰国直後、ツアー参加者全員が空港で「トイレがきれいっ!」と叫ぶほどでした。【アメリカ】スタバのトイレに「鍵がかかっている」理由
アメリカのトイレは、基本無料ではあるものの、誰しも利用できるわけではありません。日本人にもなじみのある「スターバックス」では、店内のトイレに基本、鍵がかかっています。店員にトイレを利用したいと伝えると、入室コードの番号を教えてくれます。これは、ホームレスなどの無断利用を防止するため。スタバ以外のカフェやレストランなどでも同様のパターンに遭遇したことがあります。店内のトイレを利用したければ、コーヒーなどを注文してから、店員に遠慮なく申し出ましょう。
【海外トイレ対策】日本から「持参してよかった」ものは?
海外へ行くたび、トイレに関して「日本以上に恵まれた国はない」と痛感します。それでも、旅先でのトイレ利用は避けられません。そのため、筆者が日本からあらかじめ持参するものがいくつかあります。まず、使用後にトイレへそのまま流せる携帯用の「おしりふき」です。トイレだけでなく食事の時などにも使える「ウェットティッシュ」も必須。また、「トイレットペーパー」も国・地域によっては必ず1個は今も持参します。
温水洗浄便座に慣れている人は、「携帯用おしり洗浄器」(携帯ウォシュレット)を日本からわざわざ持参します。海外では、ビデこそあってもウォシュレットは皆無と覚えておきましょう。
友人と一緒の部屋に泊まる場合、「携帯用トイレ消臭剤」もあると安心です。
(文:シカマ アキ(飛行機の旅ガイド))
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