なぜ「海外の寿司」は日本と違うのか。ヴィーガン大国のドイツで見つけた「進化しすぎた寿司」3選
オールアバウト / 2024年9月20日 20時15分
ドイツ在住の筆者が現地で見つけた斬新すぎる寿司。カリフォルニアロールもびっくりのその姿とは……。背景にある現地の事情とともにお届けします。
ドイツの食べ物といえば、定番のビールやソーセージのほかに、牛肉や豚肉などを薄くなるまでたたき、パン粉を付けて揚げたシュニッツェル、細長い生地を結ぶような形にしたもちもちパンのプレッツェルなどが有名ですよね。
あまり魚を食すイメージがない国ですが、実はドイツでも寿司は大人気です。街中でも「SUSHI」という文字をよく見かけます。和食レストランだけでなく、多くのベトナム系レストランでも注文することができます。
ところが、はるばる海を越え、文化を超えて伝わった寿司の中には、私たち日本人からしたらちょっと驚くような変化を遂げているものも……! ドイツに在住する筆者が、これまでに現地で見かけた斬新な寿司をご紹介します。
揚げ寿司
まずは「揚げ寿司」です。日本の回転寿司でも揚げ物を具とした寿司や、カリフォルニアロールなどを見かけたことがある人もいるかもしれません。しかしなんとも驚くべきことに、この寿司はまるごと油で揚げていくスタイルです。その上にオーロラソースと、とんかつソースのようなものをかけていただきます。気になる味はというと、魚感はだいぶ控えめですが、ボリューミーなので食べ応えがあります。そして、意外と寿司酢が効いていました。
本来のヘルシーさを打ち消すような料理法ですが、とてもおなかが減っているときにはこちらを選んでしまうかも?
赤い寿司
「赤い寿司」と聞いて、赤身魚や赤飯を想像する人もいるかもしれません。しかし、現実はその想像の斜め上を行きます。街中で見かけたとき、筆者は衝撃のあまりしばらく立ち止まってしまいました。見たことのないほど赤い米がそこにはあったのでした。米が主食の国で育った別の友人も驚愕(きょうがく)していました。気になるこの赤さはビーツによるもの、とのこと。健康意識の高さがうかがえますね。好奇心が有り余る人はぜひ食べてみてください。
ヴィーガン寿司
先日、友人との会話の中でこのような出来事がありました。「最近○○というお店で寿司を食べたんだけど、とてもおいしかったよ」
「いいね、なんの魚の寿司を食べたの?」
「アボカドとキュウリ!」
「!?」
ドイツでは現在、人口の約12%がベジタリアン、さらに約3%がヴィーガン(完全菜食主義)です。ベジタリアンは肉の摂取を避ける食生活ですが、ヴィーガンは肉、魚介類、卵、牛乳など、動物由来の食品を全て避ける食生活を指します。2023年の統計ではドイツの人口は8390万人なので、約1000万人のベジタリアンと約250万人のヴィーガンがいることになります。
そのため、魚を使わず、アボカドとキュウリを使った「ヴィーガン寿司」という、「寿司=魚」の基本的な方程式に挑む、新しいスタイルの寿司が登場しました。
寿司が好まれる理由の1つとして、食生活の多様化があります。数人のグループで外食に行くときに、それぞれの食生活に対応したメニューがあるかどうかという点は非常に重要です。その期待に応えたのがこのヴィーガン寿司といえるでしょう。
元来の寿司文化もしっかり伝播
変わり種も多くある一方で、ガリもしっかりセットで付いてきたり、「Nigiri(にぎり)」のほかにも「Sashimi(さしみ)」が選べるなど、元来の寿司文化も伝わっているようです。アメリカ発祥のカリフォルニアロールも、アメリカ人が見慣れないのりへの抵抗感を軽減するために内外をひっくり返したあのスタイルになったといわれています。別の文化圏において、現地のニーズや文化に応える形で進化していく寿司は見ていて飽きません。海外旅行の際に現地の寿司メニューをチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。
この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)
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